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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 戦場のセラピスト
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藤川さんはノートをパタリと閉じ、少し伸びをした。
「それにしても……こんなに熱心に活動されてるなんて思ってもみませんでした」
藤川さんは凄いんですね、と俺が何気なく言うと小泉が何故かしたり顔で腕組みをする。
「そうだぞ。藤川はな、これ以外にも寝る間も惜しんで“BMG”の活動に尽力してるんだ」
てか、なんでちょっと小泉が得意げになってんだよ?
「それって───────生理用品の設置以外の活動も沢山やってるんですか?」
俺が尋ねると藤川さんは鞄からタブレットを取り出す。
「そうね。10代の少年少女からの相談をSNSを中心に受けてるわ。それと、ネット環境が与えられて無い子の為に相談ダイヤルも設置してるの」
中高生からの相談か。なかなか大変そうじゃないか。
「それって全部タダで引き受けてるんですか?時給とか出なくて完全ボランティアで?」
思わず驚いた俺に対し、藤川さんはまた柔らかく微笑んだ。
「私達が自分で決めたことだしね。それに、とってもやり甲斐のある取り組みだって感じてるの」
「最近、何か目立った大きな相談はあったのか?」
小泉がそう問いかけると、藤川さんは少し戸惑うような表情を浮かべた。
「ええ……最近、何やらおかしな噂をあちこちで耳にしていて──────」
おかしな噂?と小泉が怪訝そうな様子で聞き返す。
「主に女子中学生の間で……カリスマ的な存在になってる男性が居るって話なんだけど─────」
藤川さんは慎重に言葉を選ぶような素振りでゆっくりと話す。
カリスマ的な存在?男?どういう意味だろうか。その言い回しだと同年代の男子じゃなくて大人の男ってことか?
教え方がべらぼうに上手い塾講師?予備校の名物講師的な??
それともカリスマ美容師みたいなやつだろうか。
「その男性を崇拝しているかのような女子生徒があちこちの学校で増えてるって話なの」
???
カリスマ男性のファンが増えてる?
それって別に気にするような事でもないんじゃないだうか。
女子ってちょっとイケメンが居るとすぐに大騒ぎするだろ?
むしろイケメンにキャーキャー言ってんのって平常運転なんじゃねぇの?
俺がそう思っていると、小泉の顔色が少し変わった。
「……それは──────もしかしたら私の聞いた話と同じ人物なのかもしれないな」
「ん?どういうこと?そんなに噂になってる評判のカリスマなのか?」
俺がそう聞き返すと小泉は歯切れの悪い様子で答える。
「え……まあ、カリスマでイケメンっていうのは本当なんだが──────」
「じゃあ別に良くね?カリスマイケメンとかSNSや雑誌とかにもゴロゴロ居るんだし……それともなにか?」
ソイツが女子に悪さでもしてるのか?と俺が尋ねると小泉は黙った。
ん??どういうこと?なんだそのリアクションは?
「悪さしてるって事ではないらしいのよね。その逆っていうか」
「逆って?」
藤川さんの言葉に対し俺も反射的に聞き返す。てか、二人ともなんか煮え切らねぇ感じの受け答えだな?
「……その……彼の職業っていうか、肩書きが──────“セラピスト”らしいんだ」
小泉がなんとも言いにくい様子でそう絞り出す。
「セラピスト???よく知らんけどなんか楽器とかやんの??」
初めて聞く単語に俺も戸惑う。カリスマ演奏家ってこと?
「いや、演奏はしないぞ。セラピストってのは主に人を癒したり治療したりする人の事を指すんだ」
小泉がなんとも言えない表情で俺に説明する。
「治療?人を癒す?」
ゲームでいうところの回復役みたいなイメージなんだろうか。ヒーラーってやつ?
そこまで考えてふと、俺は二人の表情からなんとなくその意味を悟った。
ブラック企業勤めでボロボロになってる会社員じゃあるまいし、体力が有り余ってる女子中学生に癒しとか治療とかって必要か?
いや、女子にとったら学校生活とかスクールカースト、人間関係そのものが既に戦場みたいなモンかもしれねぇけどさ。
これってさ、話の流れからするとそういう意味じゃないんじゃね?
つまりその癒しとやらには─────────性的なニュアンスが含まれてるって事じゃないだろうか。
「それにしても……こんなに熱心に活動されてるなんて思ってもみませんでした」
藤川さんは凄いんですね、と俺が何気なく言うと小泉が何故かしたり顔で腕組みをする。
「そうだぞ。藤川はな、これ以外にも寝る間も惜しんで“BMG”の活動に尽力してるんだ」
てか、なんでちょっと小泉が得意げになってんだよ?
「それって───────生理用品の設置以外の活動も沢山やってるんですか?」
俺が尋ねると藤川さんは鞄からタブレットを取り出す。
「そうね。10代の少年少女からの相談をSNSを中心に受けてるわ。それと、ネット環境が与えられて無い子の為に相談ダイヤルも設置してるの」
中高生からの相談か。なかなか大変そうじゃないか。
「それって全部タダで引き受けてるんですか?時給とか出なくて完全ボランティアで?」
思わず驚いた俺に対し、藤川さんはまた柔らかく微笑んだ。
「私達が自分で決めたことだしね。それに、とってもやり甲斐のある取り組みだって感じてるの」
「最近、何か目立った大きな相談はあったのか?」
小泉がそう問いかけると、藤川さんは少し戸惑うような表情を浮かべた。
「ええ……最近、何やらおかしな噂をあちこちで耳にしていて──────」
おかしな噂?と小泉が怪訝そうな様子で聞き返す。
「主に女子中学生の間で……カリスマ的な存在になってる男性が居るって話なんだけど─────」
藤川さんは慎重に言葉を選ぶような素振りでゆっくりと話す。
カリスマ的な存在?男?どういう意味だろうか。その言い回しだと同年代の男子じゃなくて大人の男ってことか?
教え方がべらぼうに上手い塾講師?予備校の名物講師的な??
それともカリスマ美容師みたいなやつだろうか。
「その男性を崇拝しているかのような女子生徒があちこちの学校で増えてるって話なの」
???
カリスマ男性のファンが増えてる?
それって別に気にするような事でもないんじゃないだうか。
女子ってちょっとイケメンが居るとすぐに大騒ぎするだろ?
むしろイケメンにキャーキャー言ってんのって平常運転なんじゃねぇの?
俺がそう思っていると、小泉の顔色が少し変わった。
「……それは──────もしかしたら私の聞いた話と同じ人物なのかもしれないな」
「ん?どういうこと?そんなに噂になってる評判のカリスマなのか?」
俺がそう聞き返すと小泉は歯切れの悪い様子で答える。
「え……まあ、カリスマでイケメンっていうのは本当なんだが──────」
「じゃあ別に良くね?カリスマイケメンとかSNSや雑誌とかにもゴロゴロ居るんだし……それともなにか?」
ソイツが女子に悪さでもしてるのか?と俺が尋ねると小泉は黙った。
ん??どういうこと?なんだそのリアクションは?
「悪さしてるって事ではないらしいのよね。その逆っていうか」
「逆って?」
藤川さんの言葉に対し俺も反射的に聞き返す。てか、二人ともなんか煮え切らねぇ感じの受け答えだな?
「……その……彼の職業っていうか、肩書きが──────“セラピスト”らしいんだ」
小泉がなんとも言いにくい様子でそう絞り出す。
「セラピスト???よく知らんけどなんか楽器とかやんの??」
初めて聞く単語に俺も戸惑う。カリスマ演奏家ってこと?
「いや、演奏はしないぞ。セラピストってのは主に人を癒したり治療したりする人の事を指すんだ」
小泉がなんとも言えない表情で俺に説明する。
「治療?人を癒す?」
ゲームでいうところの回復役みたいなイメージなんだろうか。ヒーラーってやつ?
そこまで考えてふと、俺は二人の表情からなんとなくその意味を悟った。
ブラック企業勤めでボロボロになってる会社員じゃあるまいし、体力が有り余ってる女子中学生に癒しとか治療とかって必要か?
いや、女子にとったら学校生活とかスクールカースト、人間関係そのものが既に戦場みたいなモンかもしれねぇけどさ。
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