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ep8
ep8『愚者の宝石と盲目の少女たち』 致死量の罪 投与された罰
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「何で一條が今晩死ぬんだよ?お前らが実況殺人でもするって言うのか?」
おかしいだろ、と俺がやや詰問気味に訊ねると春崎はひらひらと手のひらを振った。
「そんなことするワケないでしょ♡やっぱ発想がざこだよねぇ♡」
アイツは失敗したケジメとして自分で飲んだだけだし♡と春崎は意味ありげに嗤う。
「……飲んだって────────何をだ?」
俺がもう一度訊き返すと春崎は鼻で笑うようにこう答えた。
「“免罪酒”ってヤツだよ♡ま、これを飲んだのは一條だけじゃないしね♡」
免罪酒?一條だけじゃない?
コイツは何を言ってるんだ?
意味がわからない。
コイツの言っていることもその内容も何もかもが俺には理解出来なかった。
「なあ、お前───────────」
俺がそう言い掛けた瞬間だった。
ふと正面を見ると春崎の姿は消えていた。
「……は?」
言いたいことだけ好きに言い散らかして去っていった春崎小紅を名乗る人物。
一体、何者だったんだ?
いや。
今ここで俺が考えても答えは出ないだろう。
とにかく。
───────これは一刻を争う事態になってるんじゃないのか?
そう判断した俺は学校に引き返し、佐々木に報告する事にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……そう。それは興味深い話だわ」
俺からの報告を聞き終わった佐々木はノートにペンを走らせ、何か考え込む様子を見せた。
「わたしは専門家でも何でもないし、断定は出来ないのだけれど─────────」
そう言いながら佐々木は本棚から何冊かの本を取り出した。
『早わかり薬品辞典 』『ビジュアル「毒」図鑑 250種 』といったタイトルが並んでいる。
「もしもわたしの推測が当たっているのなら───────この薬品である可能性が極めて高いわ」
パラパラとページを捲りながら佐々木はそう呟く。
「え?薬品?」
ええ、と佐々木は俺の問いかけに対し頷く。
「その春崎という少女の言葉通りならこの薬品がそれに該当するわね」(※1)
佐々木はトントンと指先でページを指し示す。
「日本中毒学会の分析のあり方検討委員会(現分析委員会)の薬毒物分析の指針に関する提言のなかで──────────「中毒起因物質15品目」のひとつに挙げられているものでもあるわ」
ただ、と佐々木は眉間に皺を寄せながら続けた。
「いつ頃、どれくらいの量が投与されたかは定かではないけれど───────もし本当なら時間はそう残されてはいないでしょうね」
どういうことだよ、と俺が聞き返すと佐々木は静かにこう言った。
「口から摂取した場合の致死量は30~100mL…… 投与後40~72時間までは無症状の場合が多いけどそれ以降は……」
30ml?
1cc = 1mlだよな?めっちゃ少なくね?
大さじ1杯が15ccだからさ、2杯くらいでもう危険ってことか!?
調味料レベルの量でアウトな薬品!?
「消化器系への障害、(悪心、嘔吐、腹痛、下痢、急性膵炎)、呼吸器系への障害、(浅く早い呼吸、呼吸困難)意識障害や脳浮腫(徐脈、呼吸停止、心停止)などの症状が現れた後に───────」
一呼吸置いてこうハッキリと断言した佐々木の言葉に俺はドキリとした。
「最悪の場合、死亡する恐れがあるわ」
(※1)
模倣による事故や事件を未然に防ぐ為、作中に登場する薬品名は表記しないものとする。
参考文献 https://medicalnote.jp/
おかしいだろ、と俺がやや詰問気味に訊ねると春崎はひらひらと手のひらを振った。
「そんなことするワケないでしょ♡やっぱ発想がざこだよねぇ♡」
アイツは失敗したケジメとして自分で飲んだだけだし♡と春崎は意味ありげに嗤う。
「……飲んだって────────何をだ?」
俺がもう一度訊き返すと春崎は鼻で笑うようにこう答えた。
「“免罪酒”ってヤツだよ♡ま、これを飲んだのは一條だけじゃないしね♡」
免罪酒?一條だけじゃない?
コイツは何を言ってるんだ?
意味がわからない。
コイツの言っていることもその内容も何もかもが俺には理解出来なかった。
「なあ、お前───────────」
俺がそう言い掛けた瞬間だった。
ふと正面を見ると春崎の姿は消えていた。
「……は?」
言いたいことだけ好きに言い散らかして去っていった春崎小紅を名乗る人物。
一体、何者だったんだ?
いや。
今ここで俺が考えても答えは出ないだろう。
とにかく。
───────これは一刻を争う事態になってるんじゃないのか?
そう判断した俺は学校に引き返し、佐々木に報告する事にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……そう。それは興味深い話だわ」
俺からの報告を聞き終わった佐々木はノートにペンを走らせ、何か考え込む様子を見せた。
「わたしは専門家でも何でもないし、断定は出来ないのだけれど─────────」
そう言いながら佐々木は本棚から何冊かの本を取り出した。
『早わかり薬品辞典 』『ビジュアル「毒」図鑑 250種 』といったタイトルが並んでいる。
「もしもわたしの推測が当たっているのなら───────この薬品である可能性が極めて高いわ」
パラパラとページを捲りながら佐々木はそう呟く。
「え?薬品?」
ええ、と佐々木は俺の問いかけに対し頷く。
「その春崎という少女の言葉通りならこの薬品がそれに該当するわね」(※1)
佐々木はトントンと指先でページを指し示す。
「日本中毒学会の分析のあり方検討委員会(現分析委員会)の薬毒物分析の指針に関する提言のなかで──────────「中毒起因物質15品目」のひとつに挙げられているものでもあるわ」
ただ、と佐々木は眉間に皺を寄せながら続けた。
「いつ頃、どれくらいの量が投与されたかは定かではないけれど───────もし本当なら時間はそう残されてはいないでしょうね」
どういうことだよ、と俺が聞き返すと佐々木は静かにこう言った。
「口から摂取した場合の致死量は30~100mL…… 投与後40~72時間までは無症状の場合が多いけどそれ以降は……」
30ml?
1cc = 1mlだよな?めっちゃ少なくね?
大さじ1杯が15ccだからさ、2杯くらいでもう危険ってことか!?
調味料レベルの量でアウトな薬品!?
「消化器系への障害、(悪心、嘔吐、腹痛、下痢、急性膵炎)、呼吸器系への障害、(浅く早い呼吸、呼吸困難)意識障害や脳浮腫(徐脈、呼吸停止、心停止)などの症状が現れた後に───────」
一呼吸置いてこうハッキリと断言した佐々木の言葉に俺はドキリとした。
「最悪の場合、死亡する恐れがあるわ」
(※1)
模倣による事故や事件を未然に防ぐ為、作中に登場する薬品名は表記しないものとする。
参考文献 https://medicalnote.jp/
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