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ep9
ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 運も実力のうち
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なんだか俺は気恥ずかしくなってしまった。
そんなこと言われてもどうリアクションすればいいのかわからない。
俺が黙っていると───────佑ニーサンがこんな事を言い始めた。
「まあ、こういうトコも全部ひっくるめてそっくりだよねぇ~」
え?と俺が聞き返すと佑ニーサンはこう続けた。
「鈴木君も中学生の頃はこんな感じだったからねぇ~見かけよりシャイで繊細なとことかもよく似てるよ~」
それを聞いた鈴木先輩はまた大きな声で笑った。
「なに言ようるんじゃ!ワシは今でもシャイで繊細じゃがの!」
そうだろうか。
俺はチラリとルームミラー越しに運転席の鈴木先輩を見た。
威風堂々としていて貫禄がある。
今風の男性アイドルみたいな華奢さとは逆のベクトルの顔立ちだが────────不思議な色気もあるように感じられる。
硬派でストイックな雰囲気は女より男にモテそうでもある。
その上この若さで既婚者、子どもも二人いてベルファイアに乗ってるなんてなかなかの強キャラじゃないか。
俺に似てる要素なんて微塵も感じられない。
何もかもが俺とは真逆じゃないか。
ぼんやりとそんな事を考えながらもまた少し沈んだ気分になっていると──────────概史がこんな事を言い出した。
「あwwそういえばwwさっき途中までしか聞いてないんですけどwwwなんでベルファイア安く買えたんですかww」
普通じゃあり得ない金額なんじゃwwないですかwwwという概史の質問に対し、鈴木先輩は頷く。
「おお、そうじゃのう。確かに」
まぁ、たまたまなんじゃけどな、と鈴木先輩は缶コーヒーを喉に流し込みながら答えた。
「前に働いとった工場で仲良うなった社員さんがおったんじゃがのう。ワシが辞めた後もたまに一緒に飯食ったりしとったんじゃ」
鈴木先輩ってコミュ力高いですもんねwwと概史が相槌を打つ。
「その社員さん、都内の本社の方から飛ばされてここに来とってのう。本人はもうここに骨を埋める気でおってベルファイアも一括で買うたみたいなんじゃけど」
本社の方で人事異動があったらしゅうて、予想外にその人は本社に戻ることになってしもうたんじゃ、と鈴木先輩は少し寂しそうに続けた。
「え~?仲良くなったのにお別れとか寂しいねぇ~?」
佑ニーサンがそう言うと鈴木先輩は複雑そうな表情を浮かべた。
「元々、都内の大学出とる人じゃったしの。本来じゃったらこんな田舎の工場に来るはずじゃなかったらしいんじゃけど……対立しとる派閥の役員だかが失脚したとかでのう。この人の上司に当たる人が呼び戻してくれたとかなんとか」
なるほどねぇ~と佑ニーサンが感心したように頷く。
「社内政治とか色々複雑なんだねぇ~。じゃあ、その人がこっちの工場送りになってたのも派閥のパワーバランス的な何かがあったのかもねぇ~」
まあ、ワシには難しい事はようわからんのじゃがのう、と鈴木先輩は眉間に皺を寄せた。
「それでの、その人が本社に帰るに当たって……都内の社宅には駐車場が無いいうことがわかってのう。それで車を手放すいうことになったらしいんじゃ」
あ~、と佑ニーサンが大きく頷く。
「都内って駐車場だけでも3~5万とかするって言うもんねぇ」
維持費もだけど駐車場代が高すぎるよねぇ、という佑ニーサンの言葉に概史が食いついた。
「駐車場で五万とかwwこっちだといい部屋借りれるじゃないスかwww」
めっちゃ高いな、都会の駐車場。
こっちだと土地は余ってっからな。
田んぼや畑の端とかに停めてる家もあるくらいだ。
「もっと高いとこだと8万とかもあるみたいよ~」
佑ニーサンの言葉にまた概史がゲラゲラ笑い始めた。
「8万www無理ww払えないww」
まあそうじゃのう、と鈴木先輩も相槌を打った。
「都内に戻るとなったら車はやっぱり持ってくのは難しいけぇのう。じゃけぇその人も売って処分しようと思うたらしいんじゃが──────」
なるほど、そうだよな。
比較的新しい年式、しかも人気のベルファイアなら値崩れもないだろうしかなりの金額になりそうだが……
「バックドアに大きい凹みがあったらしゅうてのう、それで査定額がとんでものう下げられたらしゅうて──────中古車屋と喧嘩したらしいんじゃ」
あらら、と佑ニーサンが反応した。
「買い叩かれちゃったんだねぇ~まあ、よくあるよね~」
それで買い叩かれるくらいならいならまだ知り合いに譲った方がマシ、みたいな話になっての、と鈴木先輩は苦笑いした。
「それってwwwめっちゃ棚ぼたじゃないスかwwwマジでチートww」
概史がそう言って面白がる。
確かに。
謎の成り行きによって破格の値段でベルファイアを手に入れた鈴木先輩は───────かなりの豪運の持ち主でもあるだろう。
そんなこと言われてもどうリアクションすればいいのかわからない。
俺が黙っていると───────佑ニーサンがこんな事を言い始めた。
「まあ、こういうトコも全部ひっくるめてそっくりだよねぇ~」
え?と俺が聞き返すと佑ニーサンはこう続けた。
「鈴木君も中学生の頃はこんな感じだったからねぇ~見かけよりシャイで繊細なとことかもよく似てるよ~」
それを聞いた鈴木先輩はまた大きな声で笑った。
「なに言ようるんじゃ!ワシは今でもシャイで繊細じゃがの!」
そうだろうか。
俺はチラリとルームミラー越しに運転席の鈴木先輩を見た。
威風堂々としていて貫禄がある。
今風の男性アイドルみたいな華奢さとは逆のベクトルの顔立ちだが────────不思議な色気もあるように感じられる。
硬派でストイックな雰囲気は女より男にモテそうでもある。
その上この若さで既婚者、子どもも二人いてベルファイアに乗ってるなんてなかなかの強キャラじゃないか。
俺に似てる要素なんて微塵も感じられない。
何もかもが俺とは真逆じゃないか。
ぼんやりとそんな事を考えながらもまた少し沈んだ気分になっていると──────────概史がこんな事を言い出した。
「あwwそういえばwwさっき途中までしか聞いてないんですけどwwwなんでベルファイア安く買えたんですかww」
普通じゃあり得ない金額なんじゃwwないですかwwwという概史の質問に対し、鈴木先輩は頷く。
「おお、そうじゃのう。確かに」
まぁ、たまたまなんじゃけどな、と鈴木先輩は缶コーヒーを喉に流し込みながら答えた。
「前に働いとった工場で仲良うなった社員さんがおったんじゃがのう。ワシが辞めた後もたまに一緒に飯食ったりしとったんじゃ」
鈴木先輩ってコミュ力高いですもんねwwと概史が相槌を打つ。
「その社員さん、都内の本社の方から飛ばされてここに来とってのう。本人はもうここに骨を埋める気でおってベルファイアも一括で買うたみたいなんじゃけど」
本社の方で人事異動があったらしゅうて、予想外にその人は本社に戻ることになってしもうたんじゃ、と鈴木先輩は少し寂しそうに続けた。
「え~?仲良くなったのにお別れとか寂しいねぇ~?」
佑ニーサンがそう言うと鈴木先輩は複雑そうな表情を浮かべた。
「元々、都内の大学出とる人じゃったしの。本来じゃったらこんな田舎の工場に来るはずじゃなかったらしいんじゃけど……対立しとる派閥の役員だかが失脚したとかでのう。この人の上司に当たる人が呼び戻してくれたとかなんとか」
なるほどねぇ~と佑ニーサンが感心したように頷く。
「社内政治とか色々複雑なんだねぇ~。じゃあ、その人がこっちの工場送りになってたのも派閥のパワーバランス的な何かがあったのかもねぇ~」
まあ、ワシには難しい事はようわからんのじゃがのう、と鈴木先輩は眉間に皺を寄せた。
「それでの、その人が本社に帰るに当たって……都内の社宅には駐車場が無いいうことがわかってのう。それで車を手放すいうことになったらしいんじゃ」
あ~、と佑ニーサンが大きく頷く。
「都内って駐車場だけでも3~5万とかするって言うもんねぇ」
維持費もだけど駐車場代が高すぎるよねぇ、という佑ニーサンの言葉に概史が食いついた。
「駐車場で五万とかwwこっちだといい部屋借りれるじゃないスかwww」
めっちゃ高いな、都会の駐車場。
こっちだと土地は余ってっからな。
田んぼや畑の端とかに停めてる家もあるくらいだ。
「もっと高いとこだと8万とかもあるみたいよ~」
佑ニーサンの言葉にまた概史がゲラゲラ笑い始めた。
「8万www無理ww払えないww」
まあそうじゃのう、と鈴木先輩も相槌を打った。
「都内に戻るとなったら車はやっぱり持ってくのは難しいけぇのう。じゃけぇその人も売って処分しようと思うたらしいんじゃが──────」
なるほど、そうだよな。
比較的新しい年式、しかも人気のベルファイアなら値崩れもないだろうしかなりの金額になりそうだが……
「バックドアに大きい凹みがあったらしゅうてのう、それで査定額がとんでものう下げられたらしゅうて──────中古車屋と喧嘩したらしいんじゃ」
あらら、と佑ニーサンが反応した。
「買い叩かれちゃったんだねぇ~まあ、よくあるよね~」
それで買い叩かれるくらいならいならまだ知り合いに譲った方がマシ、みたいな話になっての、と鈴木先輩は苦笑いした。
「それってwwwめっちゃ棚ぼたじゃないスかwwwマジでチートww」
概史がそう言って面白がる。
確かに。
謎の成り行きによって破格の値段でベルファイアを手に入れた鈴木先輩は───────かなりの豪運の持ち主でもあるだろう。
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