[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

SPD

文字の大きさ
882 / 1,153
ep9

ep9『ナイト・オブ・ファイヤー』 倫理観と人生の強制破壊

しおりを挟む
それって─────────鈴木先輩には黙っておけって意味だよな!?

俺の全身は体温が下がり、氷のように冷たくなる。

どういうことだよ……

俺にこの秘密を背負えと!?

重すぎる。

こんな恐ろしい事実、俺の手には余り過ぎる。

余りすぎてバーストしちまう。

ただ拉致られた奥さんを助けに来ただけだっていうのに、俺はなんて話を聞いてしまったんだろう。

俺は心の底から話を立ち聞きしてしまった事を後悔していた。

こんなことなら正面からドアを開けて普通に入っていけば良かった。今更遅いんだけどさ。

俺の顔が真っ青になってるのを感じたんだろう、春崎小紅がこちらをチラリと見てこう言った。

「あ、おにーさんて羽威刄闇(ワイバーン)の人……?」

なんかさ、もういいからこのオネーサン連れて帰ってよぉ、と春崎小紅は困惑した様子で俺に言った。

そうだよな。持て余すよな、お前もさ。

「アタシさ、族同士の抗争とかマジでどうでも良かったしぃ……」

春崎小紅にとって俺の登場は渡りに船だったんだろう。

「これでお姉ちゃんの気が済んで吹っ切れるんならって思って協力しただけでぇ……でもなんか意味ないっていうかぁ……」

こういうのってぇ、やっぱ当人同士で話し合わないと意味なくない……?という春崎小紅の発言はもっともなものだった。

ていうか、コイツやっぱ普通な奴なんだな。

常識的な考えを持ち合わせてるっていうかさ。

ああ、と俺は混乱しつつも頷く。

「話し合い?」

奥さんは春崎小紅の発言に対し、クスクスと笑いながらこう返す。

「そんなものに意味なんてないです。だって有斗くんはもう絶対に八宇と別れるなんて出来ないんですから」

え、と春崎小紅が小さく声を漏らす。

「その為に八宇はまた妊娠してるんです。二人を絶対に元サヤになんて戻させませんよ」

春崎小紅の顔も真っ青になっているのが手にとるようにわかった。

なんだよこれ。

なんだ?

何を言っている……?

まるで異なる価値観と倫理観、それからその手段。

一般人でしかない俺と春崎小紅は正気の範疇を遥かに越えたロジックの前にただ立ち尽くしていた。

なんだよこれ?

俺は一体何を聞かされているんだ?

目眩がするような常軌を逸した状況に春崎小紅は耐えられなかったのだろう。

「じゃあ、アタシはもう帰るからぁ……」

お兄さん、あとよろしくね、と言いながら春崎小紅はヨロヨロと裏口のドアに消えていく。

おいおいおいおい、ちょっと待ってマジで!?

俺を一人にしないでくれよ春崎!

途方に暮れながらも俺は─────────残り全ての気力を振り絞ってこうやっとの思いで声を掛ける。

「さ……さあ、帰りましょう、先輩の奥さん」

スマホでタクシーでも呼びましょうか、と俺がビクビクしながら声を振り絞ると奥さんはニッコリと笑った。

でもその目は笑ってないんだ。

「ええ。ありがとうございます。でも大丈夫ですよ」

迎えの車を呼びましたから、と静かに奥さんは言った。

「先に家に戻ってますね、八宇は一人で平気ですから」

その次に奥さんは────────俺に念押しするように静かにこう言った。





















「有斗くんに“”伝えといて下さいね」

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

処理中です...