[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep10.

ep10.『聖母と道化、その支配人』 スクラッチされる記憶・とろける崩壊

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そうだ、俺は何かを忘れていて──────────

俺は必死で記憶を手繰り寄せる。

夢?何かの夢を見てたっけ?今朝?

それってどんな夢だった?

俺は何をしていた?

ふわりと宙を舞う白いもの。

真っ暗な空間に煌めく、散りばめられた宝石。

なんだろう?雪?

屋外?真夜中ってこと?

断片的なイメージが浮かぶが正解には辿り着けない。

真っ白なもの。純白でふんわりとした────────これはなんだろう?

赤と金色。アンティーク風の色。

打ち鳴らされる鐘と荘厳な音楽。コーラス隊。

上から降り注ぐもの。

宙に浮かぶ空間に佇む誰か。

それは俺も含むのか?

それすらもわからない。

俺の正面に居るのは─────────── 一体誰だ?

俺は神に祈ったり悪態をつく。

神を信じているんだか信じていないんだか全くわからない。支離滅裂だ。

俺は罰を受けたかったのか?

それとも救われたかった?

一体どうなりたかったって言うんだ?

柔らかい感触と体温。

官能的な予兆。

跳ねる心臓に狂っていく倫理観。

多分俺は何かを全部捨てようとしていたんだ。そんな気がする。

人生?命?それとも─────────自分の魂そのもの?

俺がぼんやりと思考を巡らせていると目の前に塔が現れる。

「あww先輩www出来ましたよwww」

ホットケーキを重ねた塔のてっぺんからメープルシロップがとろりと掛けられている。

更にそのてっぺんに鎮座しているバターのかけらがアクセントになっていた。

実に美味そうな仕上がりじゃないか。流石だな、概史のやつ。

俺が感心していると───────不意に甘くとろける塔は目の前で音を立てて崩壊する。

「ちょwww撫子www」

お前はさっき食ったばっかりだろwwwと概史がゲラゲラ笑う。

そうは言っても食べ足りなかったんだろう。

ブッ刺したフォークで塔を崩壊させ、悠々とホットケーキを食べる撫子には謎の余裕と“凄味”がある。

もう少しで何かを思い出せそうでもあるし、一気に忘れそうでもある。










概史が取り分けてくれたホットケーキを頬張りながら俺は─────────ただひたすら甘いものと壊されるものに心が救われた気がした。






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