[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep10.

ep10.『聖母と道化、その支配人』River

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一階の入り口の付近にある受付────────小さなカウンターに俺達は近付いた。

カウンターのショーケースにはいくつかの商品券なんかが並んでいる。

受付に人は居らず、『御用の方はベルを鳴らしてください』というラミネート加工された表示が貼り付けられていた。

戸惑っていても仕方がない。

俺がそのボタンを押すと、30前後と思しき店員が品出しの手を止めてこちらにやってきた。

「……はい、いらっしゃいませ」

何かお探しでしょうか、と店員はやや不思議そうな表情で俺達を見つめている。

それもそうだ。

手を繋いだ中学生二人組が来るにしては不自然な店であり売り場だもんな。

しかし、店員はそこまで不審者を見るような目つきで俺達を見ていた訳でもないってことが理解できた。

この店舗では学生服も取り扱っている。或いは、布地やハギレなんかも置いてある。

カッターシャツの予備でも買いに来たか、もしくは文化祭の劇で使うような芝居用の衣装の布地を買いに来たって思われたのかもしれない。

「どういった商品をお探しでしょうか。当店は東館と西館がございまして─────────」

店員はフロアマップを取り出し、俺達を案内してくれようとしている。

いえ、と俺はその言葉を遮ってこう言った。

「隣にいるのは水森唯という女子です。ここの社長さんと話がしたい。名前を出せばわかると思いますよ」

俺がそう言うと店員はポカンとした表情で俺と水森唯を交互に見つめた。

「……は?」

まあそういうリアクションになるよな。

「─────孫娘が会いに来たって社長に伝えるだけでいい。直通電話とかあるんでしょう?」

俺がそれだけ言うと、店員は内線電話を取ってどこかに電話し始めた。

「……あの、一階受付に社長のお孫さんを名乗る中学生が来てるんですが─────────」

はい、はい、わかりました、と店員は電話の向こうの人物との会話を終えると受話器を置いた。

「……あいにく社長は只今不在でして────────ただ、直ぐに戻られるとのことです」

ふむ。

一応、向こうに話は通ったんだろうか。

「社長到着までの間、西館の五階のフロアでお待ちいただくようにと────────ご案内しますね」

店員はやや強張った表情でもう一度俺達を交互に眺めた。

よし。

社長がここに来る。

ダメ元で言ってみるもんだな、と俺が思っていると────────────横の水森唯が小さく震えていた。

(……ここまで来りゃもう大丈夫だろ?)

小声でそう言うと水森唯は首を小さく振った。

(……どうしよう。私、なんて言えば──────────)

店員がエレベーターの場所まで俺達を案内する。

「大丈夫だって」

古いエレベーターに乗り込むとギシギシと軋んだ音が響き、ドアが閉まった。





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