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ゆっくり食べると生活習慣病を予防できます

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[ゆっくり噛みながら食べると満腹感が得られます]
 満腹感は、胃をはじめとする消化官の壁が拡張することに加え、血液中に糖分等の栄養が行き渡る事によって得られます。当然、満腹感を得られれば、それ以上何かを食べようという気にはなりません。ゆっくり食事をすると、食べている間に胃の中で食べ物が消化され小腸へと流れていき、それに伴って血糖値が上昇し、食欲が治まっていきます。
 また、咀嚼を多くすることで満腹感を高められるとも言われています。結果的に、ゆっくり嚙みながら食べる事は食べ過ぎの防止にも繋がります。

[早食いは肥満や逆流性食道炎を引き起こします]
 それに対し早食いは、栄養が吸収される前に次から次へと食べ物が消化管に送り込まれる為、血糖値の上昇による満腹感が得られません。本来は時間をかけて全身に栄養がいきわたる事で満腹感を得られますが、早食いをすると胃がパンパンに膨らむことで満腹だと感じてしまいます。その結果、食事の後に消化吸収が始まり、満腹感を超えた倦怠感や日中の眠気を引き起こします。
 また、食事をすると脳の満腹中枢に信号が送られますが、胃に食べ物が入ってから満腹中枢が働くまでタイムラグがある為、早食いをすると食べ過ぎてしまう可能性が高くなります。これにより、肥満や生活習慣病のリスクも高くなります。
 さらに、早食いの方は噛まずに飲み込む傾向にありますが、大量の食べ物を頬張り一気に飲み物で流し込むと、食べ物よりも軽い胃酸が押し上げられて、胸焼けや逆流性食道炎を引き起こします。胃はあらゆる物を溶かす強力な胃酸を出すと同時に、胃自体は胃酸で溶けないよう身を守る物質も出している非常に高度に進化した臓器です。しかし、ひとたび胃酸が胃の外に出ると、他の臓器は溶かされて傷ついてしまいます。逆流性食道炎を防ぐ為にも、早食いはできるだけやめましょう。
 
[時計を見ながら食事しましょう]
 忙しい日々の中で、ゆっくりと食事を取る事が難しい方も多いと思います。しかし、早食いは肥満を引き起こし、様々な生活習慣病の原因となります。早く食べる事で時間が得したように思われるかもしれませんが、体にとって良いことはありません。15分から20分程度をかけて食事をする事が理想ですが、早食いが習慣になっている方は、まず今より少しだけでも長い時間をかけて食事する事から始めてみましょう。時計を見ながら時間を意識して食べる事がおすすめです。
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