マアト・ラーの夫君たち(アルファポリス改訂版)

ひーにゃん

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プロローグ

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 その日僕は南アフリカ、ヨハネスブルクで行なわれた学会の帰り、叔父の住むパリに向かう為の飛行機に乗っていた。
 南ア航空1085便。
 アフリカの飛行機はとてもじゃないが搭乗遠慮願うような機体も多いがこの機体は最新のボーイング787。
 そのファーストクラスの座席に一人鎮座している。
 パリまでは約11時間のフライトだ。今はちょうど半分位の旅程か。
 ホントはエジプトに寄りたかったんだけど、「旨いもの食わせてやるしさ、来いよ。久しぶりだしさ。」との叔父のお言葉に、〈ま、いいか〉と。ファーストクラスのチケットもくれたし。

 僕の名前は真亜都明良。17才。
 アメリカで有名なふたつの大学と院をスキップで終了した、俗に言う天才児というヤツだ。
 別に自慢してる訳じゃない。
 子供の頃は辛い事も少なくなかった。周囲の無理解は本人も家族をも傷つける。
 僕の場合は同じ天才児だった叔父が早くに気づいて引き取ってくれたので事なきを得たわけだけど。
 僕はIQが高いだけじゃなくて見たもの、読んだもの、聞いた事をすべて記憶することができるんだ。
 今、所属している大学には僕を研究する部署があるくらい。

 それから僕の容姿。こちらは今現在苦労している。ほんの数時間前までまとわりつかれて大変だった。各分野で世界的権威とか言われている大センセーがストーカーかっていうの。
 日本人の父と北欧貴族の令嬢を母に持つ僕は見事に女顔、母親似だ。多少、顔の凹凸がなだらかなのが父親に似たのか。
 どうせなら180cmを超えるその身長が似たかったですよ。お父さん。
 僕の摂取する栄養はほとんどが脳へいくようで悲しいかな162cmの身長はここ一年変わっていない。
『はぁ』
 溜息をついて機内持ち込みのリュックを取り上げた。
 その時耳をつんざく爆発音と激しい揺れに襲われ、僕は咄嗟に手にしていたリュックを背負った。
『爆弾テロか?』
 ゾッとする考えが頭を過る。
 “パシュッ”という耳慣れない破裂音とそれにつづく“ピシッ、ピシュピシュッ”という不吉な音に振り返るとファーストクラスと後部との境に亀裂が床から天井へ、そして天井を這うように走って反対側の床に向かっている。
『折れる!』
 それからは一瞬だった。
 先にコックピット側が一気に脱落しシートベルトをしていなかった僕は外に放り出された。
 高度12000mから落下していく。
『さすがの最新鋭機も爆発には耐えられないよな。』『やっぱりエジプトに行ったほうがよかったよな。』意識が薄れていく。
『死ぬんだ。』
 そしてブラックアウトした。
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