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琴乃
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いつの頃だったのか。
栄華を誇った貴族の家に、琴乃という姫君がいた。
琴乃は、とても賢く、美しかったので、皆に人気があった。
しかし、彼女にも、欠点が一つ…………優雅ではあるが、とても遊びたい盛りだった。
「姫様。」
姫君は、邸の庭で、花を摘んでいた。
「何?久光。」
一人の、身なりの美しい少年が姫君に駆け寄った。
「ほら、御覧下さい。綺麗でしょう。彼処に、沢山咲いておりました。」
「本当に?」
姫君は目を輝かせる。
姫君とあって、美しい物は大好きだ。
「行きましょう、久光。」
姫君は恥じること無く、久光という少年の手を取り、走る。
「まぁ、姫様?今まで何をなさっておられたのですか。そんなにお召し物を汚されて。」
戻ると、珠寿という名の、女房が姫君に駆け寄ってきた。
姫君の着ていた衵や袴の裾は、泥で汚れていた。
「お召かえをしましょう。」
珠寿は姫君の衣を脱がし、真新しい衣を着せた。
「全く。もう少し、大人しくなさいませ。御髪も乱れておりますよ。」
珠寿はそう言いながら、姫君の髪を櫛でといてやる。
「そうですわ、姫様は、大人しく為さって下されば、非の打ち所のない、完璧な姫君ですのに。」
近くにいた、別の女房もそう零した。
「完璧じゃ、つまらないわ。」
当の姫君は、笑っていたのだが。
栄華を誇った貴族の家に、琴乃という姫君がいた。
琴乃は、とても賢く、美しかったので、皆に人気があった。
しかし、彼女にも、欠点が一つ…………優雅ではあるが、とても遊びたい盛りだった。
「姫様。」
姫君は、邸の庭で、花を摘んでいた。
「何?久光。」
一人の、身なりの美しい少年が姫君に駆け寄った。
「ほら、御覧下さい。綺麗でしょう。彼処に、沢山咲いておりました。」
「本当に?」
姫君は目を輝かせる。
姫君とあって、美しい物は大好きだ。
「行きましょう、久光。」
姫君は恥じること無く、久光という少年の手を取り、走る。
「まぁ、姫様?今まで何をなさっておられたのですか。そんなにお召し物を汚されて。」
戻ると、珠寿という名の、女房が姫君に駆け寄ってきた。
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「お召かえをしましょう。」
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「全く。もう少し、大人しくなさいませ。御髪も乱れておりますよ。」
珠寿はそう言いながら、姫君の髪を櫛でといてやる。
「そうですわ、姫様は、大人しく為さって下されば、非の打ち所のない、完璧な姫君ですのに。」
近くにいた、別の女房もそう零した。
「完璧じゃ、つまらないわ。」
当の姫君は、笑っていたのだが。
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