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序章〜ぜろ〜
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序章~ぜろ~
「なんでだよエミリ……信じてたのに……」
体を打つ雨水の冷たさが頬を伝う。
これは俺の涙なのか、それとも雨なのか
もうそんなのどうだっていい。
なんで俺がこんな目に、、、。
こうなってしまったのも遡ると8時間前。
俺はただの自動車工場に勤務する一般的な派遣社員だった。
名前は堀井 春風(ホリイ ハルカゼ)。
何の変哲もない23歳。
アニメとかゲーム、ラノベとかが好きな中肉中背男性だ(見た目はもう残念な程に“普通”としか言いようがないんだ。)
その残念すぎるぐらいの“普通”な俺は今、最大なピンチに苛まれてる。
ぐぎゅるるるぎゅるるるるッ
「は、腹が痛ェ、、、。」
…そう。下痢だ。
どうやら朝にシリアルを食べたのだが、それにかけたミルクが悪かった様で、猛烈な腹痛に襲われた。
重く反復するような痛みに堪えきれず俺は腹を押え座り込んでしまった。
「堀井くん?」
すると同じ工場の班長が突然座り込んだ俺を心配そうな顔を覗き込んだ。
「は、班長、、、!」
「どうしたんだ。顔が蒼白じゃないか。そんなんじゃ仕事もままならないだろう?一旦事務所で休んできなさい」
いつもは効率の悪い俺を叱ることが多い鬼班長だが、俺の今の顔色がよほど悪いらしく、事務所での休憩を許された。
「ぅ、、ぁはい、、、。」
腹痛で呻きなのか返事なのかはっきりしない声で応え、俺は立ち上がった。
班長の横を通り過ぎた時にボソッと「最近の若者は軟弱だな」と聞こえた気がしたが、この痛みを味わってから言いやがれと心の中で毒づく。
事務所につくと備え着いているトイレに駆け込み、中で呻きながら籠ることになった。
「やっとでたよ、、、…?」
やっと腹痛から解放されスッキリとした顔で出てきた俺は何か様子がおかしいことに気づいた。
「あれ?…火事?」
工場内には炎が燃え広がっており、まさに地獄絵図。
「なんだこれ、、、?え?なんの冗談だよ…?」
目の前の惨状に信じれず、目を何度も擦る。
「夢じゃない…?なんでこんなことに…?」
見た感じでは人は全員避難しており、この燃え盛る工場内に残されてる人は俺だけのようだ。
「げほっげほっ…ひ、避難しなきゃ…」
灰や一酸化でむせながらも急いで出入口の方に向かった
然しその道中で
ガシャァァァァァッ
火で耐え着れなくなった車の部品が激しく地に降り注ぐ。
間一髪で避けたが運悪く炎に囲まれ、もう脱出は不可能な所まで追い込まれてしまった。
「は、ははは、、、。もう終わりじゃんかよ…。」
絶望。この状況を一言で表すとしたらこの言葉だろうなぁ、と余裕のない頭で考えた
「ここで、、死にたくはねぇな、、、ゲホッゴホッ…俺の最後が火に焼かれて死ぬ?ははは…そんな死に方なんてごめんだな。ぅうっ!つううぅ…!」
避けた拍子で尻もちを着いてしまったが立ち上がろうと足に力を込めると、激痛が走る。どうやら足を捻ってしまったみたいだ。
「おいおい…もしかして俺…やばい感じ…?」
燃え盛る炎を見つめながら呟く
「こりゃー…。やばいな…。絶体絶命じゃん。」
今思えばこの目を背けたくなる現状から放った独り言が未来の俺をどうにかしてしまったのかもしれない。
「どうなってもいいから、、、ここから入れる保険ありますかねー。だれでもいいんで助けてください…」
ガッシャァアアアアアッ
そこで俺の意識は途絶えた。
「なんでだよエミリ……信じてたのに……」
体を打つ雨水の冷たさが頬を伝う。
これは俺の涙なのか、それとも雨なのか
もうそんなのどうだっていい。
なんで俺がこんな目に、、、。
こうなってしまったのも遡ると8時間前。
俺はただの自動車工場に勤務する一般的な派遣社員だった。
名前は堀井 春風(ホリイ ハルカゼ)。
何の変哲もない23歳。
アニメとかゲーム、ラノベとかが好きな中肉中背男性だ(見た目はもう残念な程に“普通”としか言いようがないんだ。)
その残念すぎるぐらいの“普通”な俺は今、最大なピンチに苛まれてる。
ぐぎゅるるるぎゅるるるるッ
「は、腹が痛ェ、、、。」
…そう。下痢だ。
どうやら朝にシリアルを食べたのだが、それにかけたミルクが悪かった様で、猛烈な腹痛に襲われた。
重く反復するような痛みに堪えきれず俺は腹を押え座り込んでしまった。
「堀井くん?」
すると同じ工場の班長が突然座り込んだ俺を心配そうな顔を覗き込んだ。
「は、班長、、、!」
「どうしたんだ。顔が蒼白じゃないか。そんなんじゃ仕事もままならないだろう?一旦事務所で休んできなさい」
いつもは効率の悪い俺を叱ることが多い鬼班長だが、俺の今の顔色がよほど悪いらしく、事務所での休憩を許された。
「ぅ、、ぁはい、、、。」
腹痛で呻きなのか返事なのかはっきりしない声で応え、俺は立ち上がった。
班長の横を通り過ぎた時にボソッと「最近の若者は軟弱だな」と聞こえた気がしたが、この痛みを味わってから言いやがれと心の中で毒づく。
事務所につくと備え着いているトイレに駆け込み、中で呻きながら籠ることになった。
「やっとでたよ、、、…?」
やっと腹痛から解放されスッキリとした顔で出てきた俺は何か様子がおかしいことに気づいた。
「あれ?…火事?」
工場内には炎が燃え広がっており、まさに地獄絵図。
「なんだこれ、、、?え?なんの冗談だよ…?」
目の前の惨状に信じれず、目を何度も擦る。
「夢じゃない…?なんでこんなことに…?」
見た感じでは人は全員避難しており、この燃え盛る工場内に残されてる人は俺だけのようだ。
「げほっげほっ…ひ、避難しなきゃ…」
灰や一酸化でむせながらも急いで出入口の方に向かった
然しその道中で
ガシャァァァァァッ
火で耐え着れなくなった車の部品が激しく地に降り注ぐ。
間一髪で避けたが運悪く炎に囲まれ、もう脱出は不可能な所まで追い込まれてしまった。
「は、ははは、、、。もう終わりじゃんかよ…。」
絶望。この状況を一言で表すとしたらこの言葉だろうなぁ、と余裕のない頭で考えた
「ここで、、死にたくはねぇな、、、ゲホッゴホッ…俺の最後が火に焼かれて死ぬ?ははは…そんな死に方なんてごめんだな。ぅうっ!つううぅ…!」
避けた拍子で尻もちを着いてしまったが立ち上がろうと足に力を込めると、激痛が走る。どうやら足を捻ってしまったみたいだ。
「おいおい…もしかして俺…やばい感じ…?」
燃え盛る炎を見つめながら呟く
「こりゃー…。やばいな…。絶体絶命じゃん。」
今思えばこの目を背けたくなる現状から放った独り言が未来の俺をどうにかしてしまったのかもしれない。
「どうなってもいいから、、、ここから入れる保険ありますかねー。だれでもいいんで助けてください…」
ガッシャァアアアアアッ
そこで俺の意識は途絶えた。
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