俺、勇者として召喚されたのに詰みました。〜これブチ切れ案件じゃないっすか?〜

なこ。

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第六話〜エミリの思惑①〜

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ー王宮ーEmiliy sideー


「よくぞ戻った。小坂エミリよ。」


「…。」



「さぁ、余に例のものを見せよ。」


「うふふ…。そう焦らないでください。」





「もうここに居るじゃありませんか。」








私はいつも運が良かった。






ナキラ国では貧民生まれで親は邪魔な私を捨てた。
1人の私は明日食べるご飯もままならない生活だったけど、
運が良かったのか、5歳まで病気にかかることなく育った。




ある日果物屋で盗んだりんごをかじりながら路地でボーッとしてた私を老いぼれた爺ちゃんが拾った。


その爺ちゃんは汚い私を奴隷にすることなく、生きる為の知識と力を教えてくれた。

厳しくてお節介なお爺ちゃんだったけど…私は爺ちゃんが大好きだった。

優しい手は私を撫でるためにあって、髭だらけの顔は私を安心させるために微笑んでくれた。
それが私にとって、凄く幸せだった。




だけど。



その爺ちゃんは王国に私を売った。



王国の騎士に掴まれた手を何回も必死に逃れようともがいたけど、
大人の力には決して叶わなかった。

何度も私に背を向けた爺ちゃんに「助けて」て言ったんだよ。

お爺ちゃんは私の方を振り返ることはなく、そのまま扉がしまった。



私は王国の騎士として私は身請けされ、毎日厳しい特訓の毎日を過ごした。

たまに男だらけの騎士団に女の私が居るからか、夜中寝床に侵入してくる不届き者もいた。

だけど全て返り討ちにした。


私は強い。

この中でトップレベルになれるほどに。



そして幾度か他国との戦争があり私達騎士団が駆り出されたが、

その中で私は素晴らしい戦績を挙げ、王から男爵の地位を貰えた。



男爵の地位を貰い受けた私にとある招待状が届いた。
それには王宮で行われる舞踏会の招待が書かれていた。


そして私は初めての舞踏会で人生がかわった。



幼い頃から容姿がいい事を気づいてはいたが、舞踏会ではあらゆる男性が声をかけられ、確信した。


私は見た目がいい。




私は容姿の良さを自分の欲のために利用した。




ある男には大金を貢いでもらい。


ある男には世界に一つのダイヤをもらい。


ある男には土地の権利書をもらった。


もっとほしい。
もっともっともっと。



私は王国一の美男と言われる男性に近づいた。


男は私に酔いしれ、私だけを愛し、私だけのために動いた。

私はこれに幸せを感じていた。



その男性が王国の皇女の婚約者とも知らずに。



私は気づいたらあらゆる者の目の敵にされ、傾国の美女とも言われだしたある日王国に呼び出された。



呼ばれた理由は、私が男を誑し込む魔女の疑惑がかけられたからだった。


何度も違うと叫んだが、もう遅かった。




私は幽閉され、腐ってるスープとカチコチになったパンを齧る羽目になった。



私は運が良かったのに。



今まで私が幸せになるようになっていたのに。




なんで。






私は急に檻から出され裸足のまま民衆の中を歩かされた。

時折動物の死骸や残飯やらが頭めがけ飛んできて痛かった。




しばらく歩くと広場に断頭台があった。


あ、私死ぬのか。



絶望的な状況なのに私の頭は冷静に状況を理解した。


「早く屈め」

王国騎士が偉そうに命令をする。


体をかがめて首穴に頭を通した私の体を兵士は足で体重をかけ起き上がれないようにする。

「ぅ…」


何日もまともなご飯を食べれず疲労感が溜まった体にはキツい重さだ。


私を踏むこの兵士はどことなく誰かに似ていた。


王や民主が私を見て早く首をはねろと囃し立てる。



その様子を見て私は


何故か笑っていた。



「馬鹿たちめ。私は這い戻る!お前らを蹴散らすために、、、!」









気づいたら私は



ここにいた。




神殿のようなあの場所に。






近くに倒れていた男を見下ろし拷問して状況を聞こうかと思ったが、
どうもこの腑抜けた面のこの男を尋問してもいい情報なんてもってそうも見えない。

ならば

利用しよう。





私は彼と行動を共にした。

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