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秋桜 それがコスモス 言うてこれ
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ある中秋の晴れた日、地方を走る鉄道
の中で起こった話。2列ずつ進行方向
に並んだ2人掛けのソファに、若い男
がドッカと座り込み、土足の片足を
シートの上に乗せていて、座席を
独り占めするばかりか、座面をモロに
汚損して、その膝の上に肘をかけ、
頭を項垂れてうたた寝していた。
地方とはいえ移民が大量流入してきた
昨今なので、日本の道徳やマナーを
知らない外国人なのかも知れなかった
が、ぱっと見は、小汚くもただ単に
ワイルドぶっている日本人の乱暴者と
いった風貌。だが温厚な日本人は極端
な異端児を前にすると、まず気後れ
してしまう。注意したところで、大人
しく従う知能がありそうにもないのと、
圧倒的な暴力の気配に、誰もが何も
言い出せないでいた。3駅が過ぎ4駅
が過ぎ、誰もが不快な思いだけを
心に忍ばせていた時、それは現れた。
誰かがそばに佇んでいる気配に、乱暴
者が微睡から目を覚まし、顔を上げる
と同時に、その誰かを睨みつけた。
前に仁王立ちしていた者は、緑の長髪
のウィッグを被り、豹柄の黄色黒の
上下のビキニを身にまとい、同じく
豹柄のロングブーツを履いていて、
頭髪の隙間から2本の鬼のツノと思し
き装飾まで施していたのだが、明らか
に中年の男性だと思しき、ドラム缶の
ような体躯と、毛むくじゃらの手足を
突き出していて、一目で精神の安定を
疑うような、ジェンダーがトランス
しているオーラに包まれていた。
乱暴者は急な異常事態に気勢を削が
れて、一瞬たじろぎそうになったが、
それまでそうして生きてきたように、
先制の圧力と、有無を言わさぬ
捕食者の咆哮で、目の前の変態に
挑み掛かる。
「んだテメェ!!文句があんのかゴルァ!!」
変態中年は顔色ひとつ変えず1ミリも
引かないで、やや高い女声の
奇声で言った。
「ウチはダッチャマンだっちゃ!
そんなことしたら
皆んなの迷惑なので
ダメダッチャーーー!!」
そう言い終わらないうちに片手に
ぶら下げていたラジカセを電車の
通路に置くと、プレイボタンを押した。
大音量で車内を響かせたのは、
やはり、往年のアニメソング
(うる星やつら)のテーマソングだった。
<好きよ。好きよ。好きよ、うっふん>
<あ~あ~、男の人って……>
極彩色の世界観に、乗客たちはたじろ
いでいたが、乱暴者はついに暴力革命
で制圧する腹積りを決めて、弾かれた
ように立ち上がった。
その刹那、ダッチャマンは早打ち
ガンマンスタイルで、豹柄のパンツの
後ろに差し込んでいた
テイザーガンを抜き取ると、乱暴者の
左太ももに無感動に発射した、即ち
乱暴者は、強烈な電撃に
感電することになり、そのまま
前のめりに倒れて気絶した。
ダッチャマンはテイザーガンのケーブル
を回収すると、ラジカセを止めて、
次の停車駅で降りて行った。
ドアが閉まる刹那、彼は吠えた。
「駄目だっちゃよ!!」
乗客たちは晴れやかな気分になり、
車窓からは秋の千切雲の
アーティスティックな空が見えた。
の中で起こった話。2列ずつ進行方向
に並んだ2人掛けのソファに、若い男
がドッカと座り込み、土足の片足を
シートの上に乗せていて、座席を
独り占めするばかりか、座面をモロに
汚損して、その膝の上に肘をかけ、
頭を項垂れてうたた寝していた。
地方とはいえ移民が大量流入してきた
昨今なので、日本の道徳やマナーを
知らない外国人なのかも知れなかった
が、ぱっと見は、小汚くもただ単に
ワイルドぶっている日本人の乱暴者と
いった風貌。だが温厚な日本人は極端
な異端児を前にすると、まず気後れ
してしまう。注意したところで、大人
しく従う知能がありそうにもないのと、
圧倒的な暴力の気配に、誰もが何も
言い出せないでいた。3駅が過ぎ4駅
が過ぎ、誰もが不快な思いだけを
心に忍ばせていた時、それは現れた。
誰かがそばに佇んでいる気配に、乱暴
者が微睡から目を覚まし、顔を上げる
と同時に、その誰かを睨みつけた。
前に仁王立ちしていた者は、緑の長髪
のウィッグを被り、豹柄の黄色黒の
上下のビキニを身にまとい、同じく
豹柄のロングブーツを履いていて、
頭髪の隙間から2本の鬼のツノと思し
き装飾まで施していたのだが、明らか
に中年の男性だと思しき、ドラム缶の
ような体躯と、毛むくじゃらの手足を
突き出していて、一目で精神の安定を
疑うような、ジェンダーがトランス
しているオーラに包まれていた。
乱暴者は急な異常事態に気勢を削が
れて、一瞬たじろぎそうになったが、
それまでそうして生きてきたように、
先制の圧力と、有無を言わさぬ
捕食者の咆哮で、目の前の変態に
挑み掛かる。
「んだテメェ!!文句があんのかゴルァ!!」
変態中年は顔色ひとつ変えず1ミリも
引かないで、やや高い女声の
奇声で言った。
「ウチはダッチャマンだっちゃ!
そんなことしたら
皆んなの迷惑なので
ダメダッチャーーー!!」
そう言い終わらないうちに片手に
ぶら下げていたラジカセを電車の
通路に置くと、プレイボタンを押した。
大音量で車内を響かせたのは、
やはり、往年のアニメソング
(うる星やつら)のテーマソングだった。
<好きよ。好きよ。好きよ、うっふん>
<あ~あ~、男の人って……>
極彩色の世界観に、乗客たちはたじろ
いでいたが、乱暴者はついに暴力革命
で制圧する腹積りを決めて、弾かれた
ように立ち上がった。
その刹那、ダッチャマンは早打ち
ガンマンスタイルで、豹柄のパンツの
後ろに差し込んでいた
テイザーガンを抜き取ると、乱暴者の
左太ももに無感動に発射した、即ち
乱暴者は、強烈な電撃に
感電することになり、そのまま
前のめりに倒れて気絶した。
ダッチャマンはテイザーガンのケーブル
を回収すると、ラジカセを止めて、
次の停車駅で降りて行った。
ドアが閉まる刹那、彼は吠えた。
「駄目だっちゃよ!!」
乗客たちは晴れやかな気分になり、
車窓からは秋の千切雲の
アーティスティックな空が見えた。
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