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7かぼ!馬車の中でもからかいたい
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「今日のおはようスープがなんだって?」
かぼパンが怪訝そうに見つめる先にはスープ皿に入ったみそ汁がある。
「私たちの世界では普通だけど、この世界からみたら怪しい液体代表のなめこ汁ですっ!」
「名ばかりの世界では普通の……このキノコは本当に食べられるのか?」
「うん、怪しいでしょう?」
「ああ」
かぼパンはなんとも言えない顔で頷いた。
「良いから食べて!みそ汁はね、私の世界では毒消しとまで言われているのよ」
「ほう」
毒消しと言う言葉でかぼパンの嫌そうな表情は期待のこもった顔付きへと変わる。
そして静かになめこ汁を口に入れた。
もぐもぐと口を動かしている姿をランと2人で見守る。
「おいちい」
またもや噛んでしまったかぼパン。
可愛がりたい心が溢れ出たけど、ヌメヌメを喉に詰まらせたら危ないからね。
黙ってニコニコ顔で見守っていると、少し不満そうな表情。
「可愛いって言わないのか?」
「え?なに?言って欲しいの?!」
「ちがうっ、可愛い攻めが無くなったかと確認したんだ!そんな事より全然大人に戻らないじゃないかっ!」
「それなぁ~。おかしいねー」
かぼパンは期待していなかったと大きく溜め息を吐いたけど、なめこ汁はきちんと完食したのだった。
「ねぇ、かぼパンが執務室に行っちゃうと暇で死にそうなんだけど。昨日もマシューの所に話しに行って……」
「マシューと!?何を話したんだ?」
不思議そうな顔で聞いてくるけど本当の事は言いにくい。
実はかぼパンのお母様の話を聞いたから。ご健在だけど、お父様が亡くなったショックで田舎の別荘に引き篭もってしまったらしい。祖母のお葬式にも参列しなかったとか。
かぼパンも子供の姿になって不安だっただろうに、母の支えもなく心細かったんじゃないだろうか。
私はかぼパンの手を取りぎゅっと握った。
「かぼパンが意外と良い王様だって話」
「当たり前だ!そんな事よりマシューの仕事の邪魔をするな」
「はーい、でも今日は休みだって言ってたから街でも案内してもらおうかな」
かぼパンの手がぴくっと動いたと思ったら小さな指先で私の手を軽くつねった。
「せっかくの休みの邪魔をするな!街なら僕が案内してやる」
「いいの!?かぼパンありがとう!」
「呼び出したのは僕だからな。それと、なぜこちらが用意した服を着ないんだ?昨日と同じ服装じゃないか」
「あ~、せっかく準備してくれたけど私にはワンピースが豪華すぎて」
普段パンツスーツで仕事をしていた私にはフリルや宝石付きのデザインワンピースはかなり厳しい。
一応着てみたけど違和感がありすぎて、鏡の前で笑ってしまったのよ。
「そうか、服は好みがあるからな。ついでに名ばかりが着られる服でも買おう」
「ありがとう!私はズボン派なの」
「この世界は女性でズボンを履く人は少ないが、名ばかりの服はとても似合っている。この世界でも好きなものを着るといい」
たしかにズボン履いている女性はいなさそう。でもズボンを否定せず、似合うと言ってくれるところが紳士だわ。
いつもすぐムキになってわーわー言うけど、意外と懐が広い。
早速、白に金の装飾がされた豪華な馬車に乗込みいざ出発。
「馬車豪華だね!凄い、中まで模様が彫られてるし、シートが固くないしさすが王様の馬車だよ」
「そうだろう」
得意げな顔のかぼパンが可愛らしくてたまらない。
ニヤニヤしていると、かぼパンの隣に座っているランもニヤニヤ。
目が合うと親指をグッと立てたラン。
可愛いかぼパン、もっと見たいですよね……!
「かぼパン、お膝に座る?」
問いかけるとかぼパンはムッとした表情を見せた。
「座るかっ」
「はぁ、残念」
「本気で僕が座ると思ったのか?」
「ちょっとね」
かぼパンはジト目で私を見つめ、座るわけがないだろうと呟いた。
「じゃあ私がかぼパンのお膝に座ろうかな」
「なぜそうなる!」
かぼパンは敬遠するように立ち上がり、わたわたと慌てた。
きゃー!慌てている姿、可愛い!かわいいー!
かぼパンはランが持っていた鞄を奪い取ると膝に乗せ抱え込んだ。鉄壁ガードだ。
だがかぼパンよ。鞄を抱きしめる姿も可愛いすぎるのよ!あー可愛い!もっと色んなかぼパンが見たい!
「じゃぁ私はランのお膝に座ろうかな」
「だからなぜそうなる?そこに座っていれば良いだろう!」
シャーッと聞こえてきそうな顔のかぼパンだが、ランはニッコリと笑った。
「私は良いですよ?どうぞ膝に座ってください」
ランの言葉にかぼパンは口をポカンと開けて目を見開いた。時が止まったように動かない。
良い!ラン、分かってるねぇ。驚いた顔も可愛いすぎる!
「ラン、さすがだわ」
「お任せください」
「じゃあ早速」
私が立ち上がると、かぼパンは鞄を置き、慌てて立ち上がった。
「ダメだっ」
「ランは良いって言ってるよ?」
「馬車で膝に乗るとかありえないだろう!」
「私たちの世界では普通だけど?」
「それでもダメ!」
「なんで?」
「ラ……ランの膝は僕のものだからだあぁぁぁ!」
力一杯叫んだかぼパンの姿に口元を押さえ笑いをこらえる。なんて可愛い生き物なの?はあっ、可愛すぎてキュンキュン!
僕のものと言われたランは顔を崩し、ここぞとばかりにかぼパンを抱き上げ膝に乗せた。
うああ!心の底から羨ましい。でも、かぼパンのあの恥ずかしいけど、言っちゃった手前どうにも出来ないって言う表情がたまらなく……
「はあっ、可愛いっ……!」
私の言葉にがっくりと項垂れたかぼパンであった。
かぼパンが怪訝そうに見つめる先にはスープ皿に入ったみそ汁がある。
「私たちの世界では普通だけど、この世界からみたら怪しい液体代表のなめこ汁ですっ!」
「名ばかりの世界では普通の……このキノコは本当に食べられるのか?」
「うん、怪しいでしょう?」
「ああ」
かぼパンはなんとも言えない顔で頷いた。
「良いから食べて!みそ汁はね、私の世界では毒消しとまで言われているのよ」
「ほう」
毒消しと言う言葉でかぼパンの嫌そうな表情は期待のこもった顔付きへと変わる。
そして静かになめこ汁を口に入れた。
もぐもぐと口を動かしている姿をランと2人で見守る。
「おいちい」
またもや噛んでしまったかぼパン。
可愛がりたい心が溢れ出たけど、ヌメヌメを喉に詰まらせたら危ないからね。
黙ってニコニコ顔で見守っていると、少し不満そうな表情。
「可愛いって言わないのか?」
「え?なに?言って欲しいの?!」
「ちがうっ、可愛い攻めが無くなったかと確認したんだ!そんな事より全然大人に戻らないじゃないかっ!」
「それなぁ~。おかしいねー」
かぼパンは期待していなかったと大きく溜め息を吐いたけど、なめこ汁はきちんと完食したのだった。
「ねぇ、かぼパンが執務室に行っちゃうと暇で死にそうなんだけど。昨日もマシューの所に話しに行って……」
「マシューと!?何を話したんだ?」
不思議そうな顔で聞いてくるけど本当の事は言いにくい。
実はかぼパンのお母様の話を聞いたから。ご健在だけど、お父様が亡くなったショックで田舎の別荘に引き篭もってしまったらしい。祖母のお葬式にも参列しなかったとか。
かぼパンも子供の姿になって不安だっただろうに、母の支えもなく心細かったんじゃないだろうか。
私はかぼパンの手を取りぎゅっと握った。
「かぼパンが意外と良い王様だって話」
「当たり前だ!そんな事よりマシューの仕事の邪魔をするな」
「はーい、でも今日は休みだって言ってたから街でも案内してもらおうかな」
かぼパンの手がぴくっと動いたと思ったら小さな指先で私の手を軽くつねった。
「せっかくの休みの邪魔をするな!街なら僕が案内してやる」
「いいの!?かぼパンありがとう!」
「呼び出したのは僕だからな。それと、なぜこちらが用意した服を着ないんだ?昨日と同じ服装じゃないか」
「あ~、せっかく準備してくれたけど私にはワンピースが豪華すぎて」
普段パンツスーツで仕事をしていた私にはフリルや宝石付きのデザインワンピースはかなり厳しい。
一応着てみたけど違和感がありすぎて、鏡の前で笑ってしまったのよ。
「そうか、服は好みがあるからな。ついでに名ばかりが着られる服でも買おう」
「ありがとう!私はズボン派なの」
「この世界は女性でズボンを履く人は少ないが、名ばかりの服はとても似合っている。この世界でも好きなものを着るといい」
たしかにズボン履いている女性はいなさそう。でもズボンを否定せず、似合うと言ってくれるところが紳士だわ。
いつもすぐムキになってわーわー言うけど、意外と懐が広い。
早速、白に金の装飾がされた豪華な馬車に乗込みいざ出発。
「馬車豪華だね!凄い、中まで模様が彫られてるし、シートが固くないしさすが王様の馬車だよ」
「そうだろう」
得意げな顔のかぼパンが可愛らしくてたまらない。
ニヤニヤしていると、かぼパンの隣に座っているランもニヤニヤ。
目が合うと親指をグッと立てたラン。
可愛いかぼパン、もっと見たいですよね……!
「かぼパン、お膝に座る?」
問いかけるとかぼパンはムッとした表情を見せた。
「座るかっ」
「はぁ、残念」
「本気で僕が座ると思ったのか?」
「ちょっとね」
かぼパンはジト目で私を見つめ、座るわけがないだろうと呟いた。
「じゃあ私がかぼパンのお膝に座ろうかな」
「なぜそうなる!」
かぼパンは敬遠するように立ち上がり、わたわたと慌てた。
きゃー!慌てている姿、可愛い!かわいいー!
かぼパンはランが持っていた鞄を奪い取ると膝に乗せ抱え込んだ。鉄壁ガードだ。
だがかぼパンよ。鞄を抱きしめる姿も可愛いすぎるのよ!あー可愛い!もっと色んなかぼパンが見たい!
「じゃぁ私はランのお膝に座ろうかな」
「だからなぜそうなる?そこに座っていれば良いだろう!」
シャーッと聞こえてきそうな顔のかぼパンだが、ランはニッコリと笑った。
「私は良いですよ?どうぞ膝に座ってください」
ランの言葉にかぼパンは口をポカンと開けて目を見開いた。時が止まったように動かない。
良い!ラン、分かってるねぇ。驚いた顔も可愛いすぎる!
「ラン、さすがだわ」
「お任せください」
「じゃあ早速」
私が立ち上がると、かぼパンは鞄を置き、慌てて立ち上がった。
「ダメだっ」
「ランは良いって言ってるよ?」
「馬車で膝に乗るとかありえないだろう!」
「私たちの世界では普通だけど?」
「それでもダメ!」
「なんで?」
「ラ……ランの膝は僕のものだからだあぁぁぁ!」
力一杯叫んだかぼパンの姿に口元を押さえ笑いをこらえる。なんて可愛い生き物なの?はあっ、可愛すぎてキュンキュン!
僕のものと言われたランは顔を崩し、ここぞとばかりにかぼパンを抱き上げ膝に乗せた。
うああ!心の底から羨ましい。でも、かぼパンのあの恥ずかしいけど、言っちゃった手前どうにも出来ないって言う表情がたまらなく……
「はあっ、可愛いっ……!」
私の言葉にがっくりと項垂れたかぼパンであった。
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