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前編(ミレイユ視点)
⑭ ※
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「ミレイユは、身体に残る傷跡を汚いという。でも、私にとって、この傷跡は、どんな高価な宝石よりも、煌びやかな装飾品よりも美しく見える」
胸に残る真新しい傷を指先でクルクルと撫でられ、その緩慢な刺激に身体の奥底が疼き出す。
「私の命を救ったこの傷跡を、ミレイユは汚いものだと言う。今の私の魔力ならば、全ての傷跡を消し去ることも可能でしょう。――でも、消してあげない。この傷跡は私とミレイユを繋ぐ鎖だ。貴方は、この傷が身体に残る限り、私の存在を忘れることは出来ない。だから、消さない。この傷跡を見るたびに、私を想い出し発情する雌になればいい。私だけのものだ、ミレイユ」
私の首筋にディーク様が顔を埋めた瞬間、ピリッとした痛みに襲われ、私の唇から叫声が放たれる。ディーク様が顔を上げると、首から一筋血が流れ落ちた。
血を流す私の首筋を舐め上げるディーク様の血のように赤い瞳と、そんな彼の様子を恍惚とした表情を浮かべ見つめる碧色の瞳がかち合い、二人の視線が鏡越しに絡まる。
――――、男を誘う獣のような私。そんな醜い私を、欲している男がいる。
鏡に映るディーク様の赤い瞳が、獰猛な色を浮かべる。獲物を前に舌なめずりする獣の王を鏡の中の私が誘う。唾液で濡れ赤く淫靡に輝く下唇を己の舌で舐め、ディーク様を誘う。耳元でゴクリっと鳴った喉音に、浮かべた笑みが深くなった。
もっと私を求めて欲しい。
狂おしいほど、私を求めて溺れて欲しい。
その想いに刺激された心が、自分の中に閉じ込めたはずの欲望を解放する。欲望を滲ませたディーク様の瞳を鏡越しに見つめ、私は自分の意志で足を開いていく。膝をたて、足をM字に開けば、柔毛の下に隠された二つの花弁からトロリと蜜がこぼれ落ちるのを感じた。
あぁぁ、見られている。
鏡に映し出された私の痴態が、鏡の中のディーク様を誘う。胸の頂で主張する赤く熟れた果実も、橙色の光に照らされぬらぬらと光る二つの花弁も、余すことなくディーク様の目に写っている。そして、辺り一面に満たされた甘い香りが脳を酔わせ、私をさらに大胆にさせた。
背中をディーク様の胸に預け、腰を浮かせると、M字に開いた脚をさらに大きく開き、腰を揺らす。そんな私の痴態を見つめるディーク様の瞳が、獰猛な獣のように残忍な光を宿す。そして、鏡越しのディーク様を見つめ、下唇を舐めた時だった。鏡を見ていた私の身体が反転する。次に気づいた時には、私を押し倒したディーク様を見上げていた。
噛み付くように唇を塞がれ、歯列を割りディーク様の舌が私の口内へと侵入する。
もう、抵抗することはしなかった。嬉々として彼の舌を受け入れる。吸って、吸われて、二人の舌が絡まり、含みきれなかった唾液が顎を伝い落ちていく。痛いくらいの口淫が、激しく求められているようで単純に嬉しかった。
「ミレイユ、煽ったのはあなたですからね。もう、止まれって言われても、止まれない」
「ふふ……、止まれって言っても、止まるつもりなんてないでしょ」
私の言葉に、ディーク様の瞳が驚きからか見開かれる。
きっと彼は、私が誘うような言葉を吐くような女だとは思っていない。容姿に自信がなくて、性に疎くて、自分の存在価値がわからなくなり、卑屈になって最愛の主人から逃げ出すような女。だけど、そんな自分を愛していると言ってくれたディーク様。ミレイユだから側にいて欲しいと言ってくれた。その言葉が、どれほどの喜びを私に与えたかなんて、きっと彼は気づきもしない。
ディーク様は言った。
魔王の伴侶になれるのは、女オークのみ。それが真実なら、私の存在意義はまだある。
心の中で燻り続けた想いが、満たされていく。騎士という役目を奪われ、空虚となった心が、満たされていく。
鏡の中の私が笑った。男を淫らに誘う淫魔のように、妖艶な私が笑った。
「……ディーク様。淫らなミレイユは、お嫌いですか?」
見上げたディーク様の赤い瞳が、ギラリと光った。欲望を滲ませた瞳を美しいと感じた次の瞬間には、獣と化したディーク様から与えられる痛いくらいの愛撫に意識が削がれる。
「ひゃぁ――っ! あぁぁ……、ダ、ダメ…………」
脚の間に顔を埋めたディーク様が、二つの花弁に包まれた蜜口をむしゃぶりつくように舐め回す。秘裂を下から上へと舐め上げ、ほころび始めた花弁を割り開き、蜜道へと舌をねじ込まれる。そして、狭く閉ざされた蜜道をこじ開け、深く浅くと抜き差しを繰り返す舌の動きと連動するかのように、秘裂の上部、まだ包皮を被った蜜芽をぐちゅっと押しつぶされ、腰が跳ねた。
性急で強過ぎる愛撫に悲鳴のような叫び声が上がる。淫らに男を誘う女の真似事をしても、性に疎い自分を一瞬で変えることなど出来はしない。ジュルジュル、ヌプヌプと卑猥な音を派手に立たせ、『何がダメなのですか? 煽ったのはミレイユだ』と宣いながらも、責め立てる手を止めないディーク様の本気を感じ、頭の中で、『むやみに男を煽ってはいけない』と今さら肝に銘じたところで、後の祭りだった。
「ミレイユ、わかりますか? 貴方の蜜口が私の指を美味しそうに頬張っていますよ」
「ヒッ!? いいやぁぁぁ――、あぁぁ……」
「さっきまでは、一本でもきつく指を食んでいたのに、今は二本目も美味しそうにしゃぶっている。こうやって、動かして開いてやると中から愛液が指を伝って落ちてくる」
「あぁぁ、やだぁ……、動かさない、でぇぇ……」
「そうですか? 私にはミレイユが気持ち良さそうにしか見えませんが。ほらっ、ここを強く押すと――――」
「いっ――――、あぁぁ、むり……」
深く突き入れられた二本の指が、蜜道の中のある一点。抜き差しされる指が掠るたびに、疼くような快感を生み出す場所を強く押され、背が弓形にのけぞる。今まで感じたこともない閃光のような快感に、目がチカチカする。急上昇と急降下を同時に味わったかのような浮遊感に、脳が酩酊し、私は考えることを放棄した。
「ミレイユ、気をやったようですね。軽く潮も噴きましたか」
「えっ!? ――――、嘘……」
ディーク様の言葉に見下ろせば、彼の顔が濡れている。その様に、ようやく自分が粗相をしてしまったのだと気付き、血の気がひく。私は慌てて起き上がると、ベッドの上へと疼くまると、ディーク様へ頭を下げた。
子供のように漏らしてしまった事実が、自分を追いつめ、眦に涙が浮かぶ。
「ウソ……、漏らし……、ディーク様、申し訳ありません」
「ミレイユ、怒っていませんから顔を上げてください」
謝り続ける私を抱き起こし、ディーク様は向かい合う形で私を膝の上へと抱き上げる。そして、眦に溜まった涙の粒をキスで吸い取ると、私の唇へとキスを落とした。
「粗相をしたわけではないですよ。亜人種のオーク族は、身体の構造が人間に近い。人間の女は、最高潮に気持ち良くなると、お小水を出す穴と同じ場所から潮という透明な液体を吹き出すことがあると聞きました。男が、気をやる時に男根から飛沫を噴き出すのと同じですね。それだけ、ミレイユは私の愛撫に感じてくれたということでしょ? 男にとって、好きな女が自分の愛撫に感じてくれることほど、嬉しいことはない」
「す、好きな女!?」
「そうですよ。ミレイユは、私の愛する人でしょ」
「あっ……」
我に返った後に伝えられる愛の告白ほど恥ずかしいものはない。頬がみるみると赤く染まっていく。散々、痴態を晒してきて今更だが、恥ずかしさからディーク様の顔がまともに見られなくなり、慌てて、彼の胸へと顔を埋める。
「少し安心しました。さっきは、ミレイユに誘われて嬉しいと思う反面、そんなことを教えた男がいたのかと嫉妬してしまい、ひどく虐めてしまった」
「えっ!? 嫉妬した?」
ディーク様の言葉に思わず、彼の胸から顔を上げていた。そして、自分を見下ろすディーク様の優しい瞳に、胸がキュッと鳴る。
「私は、急激に成長した分、まだ心が大人になりきれていないのかもしれません。貴方に群がる男を、全て殺したいと思うくらいには、嫉妬深い。大人になれない私は嫌ですか?」
不安そうな光を宿した赤色の瞳と視線が絡まる。ちょっぴり勝ち気な黒い瞳の奥に寂しさを宿し、『一緒に寝てもいい?』と不安そうに尋ねる黒髪の少年の面影が脳裏をよぎり、胸を切なく痛ませる。
「出会った頃から大好きですよ。大人になりたくて背伸びをしていたディーク様も、立派な魔王様になられたのに、大人になりきれないディーク様も。どんなディーク様だって、愛しています」
背中へと回された腕の力が強まる。苦しいくらいの抱擁に、私の心が温かな想いで満たされていく。
ディーク様もまた、どんな私でも愛してくれるのだろう。
自分の容姿に自信がない私でも、騎士としての存在価値を失った私でも、小悪魔のように男を誘う女となった私でも、ディーク様は愛してくれる。
「――――、私の愛しい人。どうか、ディーク様の花嫁にしてください」
私の背に回されたディーク様の手が震えている。まるで私を花嫁にする事を躊躇っているかのように、何も言葉を発しないディーク様の態度に悟る。
きっと、彼は私にまだ伝えていないことがあるのだと。
胸に残る真新しい傷を指先でクルクルと撫でられ、その緩慢な刺激に身体の奥底が疼き出す。
「私の命を救ったこの傷跡を、ミレイユは汚いものだと言う。今の私の魔力ならば、全ての傷跡を消し去ることも可能でしょう。――でも、消してあげない。この傷跡は私とミレイユを繋ぐ鎖だ。貴方は、この傷が身体に残る限り、私の存在を忘れることは出来ない。だから、消さない。この傷跡を見るたびに、私を想い出し発情する雌になればいい。私だけのものだ、ミレイユ」
私の首筋にディーク様が顔を埋めた瞬間、ピリッとした痛みに襲われ、私の唇から叫声が放たれる。ディーク様が顔を上げると、首から一筋血が流れ落ちた。
血を流す私の首筋を舐め上げるディーク様の血のように赤い瞳と、そんな彼の様子を恍惚とした表情を浮かべ見つめる碧色の瞳がかち合い、二人の視線が鏡越しに絡まる。
――――、男を誘う獣のような私。そんな醜い私を、欲している男がいる。
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噛み付くように唇を塞がれ、歯列を割りディーク様の舌が私の口内へと侵入する。
もう、抵抗することはしなかった。嬉々として彼の舌を受け入れる。吸って、吸われて、二人の舌が絡まり、含みきれなかった唾液が顎を伝い落ちていく。痛いくらいの口淫が、激しく求められているようで単純に嬉しかった。
「ミレイユ、煽ったのはあなたですからね。もう、止まれって言われても、止まれない」
「ふふ……、止まれって言っても、止まるつもりなんてないでしょ」
私の言葉に、ディーク様の瞳が驚きからか見開かれる。
きっと彼は、私が誘うような言葉を吐くような女だとは思っていない。容姿に自信がなくて、性に疎くて、自分の存在価値がわからなくなり、卑屈になって最愛の主人から逃げ出すような女。だけど、そんな自分を愛していると言ってくれたディーク様。ミレイユだから側にいて欲しいと言ってくれた。その言葉が、どれほどの喜びを私に与えたかなんて、きっと彼は気づきもしない。
ディーク様は言った。
魔王の伴侶になれるのは、女オークのみ。それが真実なら、私の存在意義はまだある。
心の中で燻り続けた想いが、満たされていく。騎士という役目を奪われ、空虚となった心が、満たされていく。
鏡の中の私が笑った。男を淫らに誘う淫魔のように、妖艶な私が笑った。
「……ディーク様。淫らなミレイユは、お嫌いですか?」
見上げたディーク様の赤い瞳が、ギラリと光った。欲望を滲ませた瞳を美しいと感じた次の瞬間には、獣と化したディーク様から与えられる痛いくらいの愛撫に意識が削がれる。
「ひゃぁ――っ! あぁぁ……、ダ、ダメ…………」
脚の間に顔を埋めたディーク様が、二つの花弁に包まれた蜜口をむしゃぶりつくように舐め回す。秘裂を下から上へと舐め上げ、ほころび始めた花弁を割り開き、蜜道へと舌をねじ込まれる。そして、狭く閉ざされた蜜道をこじ開け、深く浅くと抜き差しを繰り返す舌の動きと連動するかのように、秘裂の上部、まだ包皮を被った蜜芽をぐちゅっと押しつぶされ、腰が跳ねた。
性急で強過ぎる愛撫に悲鳴のような叫び声が上がる。淫らに男を誘う女の真似事をしても、性に疎い自分を一瞬で変えることなど出来はしない。ジュルジュル、ヌプヌプと卑猥な音を派手に立たせ、『何がダメなのですか? 煽ったのはミレイユだ』と宣いながらも、責め立てる手を止めないディーク様の本気を感じ、頭の中で、『むやみに男を煽ってはいけない』と今さら肝に銘じたところで、後の祭りだった。
「ミレイユ、わかりますか? 貴方の蜜口が私の指を美味しそうに頬張っていますよ」
「ヒッ!? いいやぁぁぁ――、あぁぁ……」
「さっきまでは、一本でもきつく指を食んでいたのに、今は二本目も美味しそうにしゃぶっている。こうやって、動かして開いてやると中から愛液が指を伝って落ちてくる」
「あぁぁ、やだぁ……、動かさない、でぇぇ……」
「そうですか? 私にはミレイユが気持ち良さそうにしか見えませんが。ほらっ、ここを強く押すと――――」
「いっ――――、あぁぁ、むり……」
深く突き入れられた二本の指が、蜜道の中のある一点。抜き差しされる指が掠るたびに、疼くような快感を生み出す場所を強く押され、背が弓形にのけぞる。今まで感じたこともない閃光のような快感に、目がチカチカする。急上昇と急降下を同時に味わったかのような浮遊感に、脳が酩酊し、私は考えることを放棄した。
「ミレイユ、気をやったようですね。軽く潮も噴きましたか」
「えっ!? ――――、嘘……」
ディーク様の言葉に見下ろせば、彼の顔が濡れている。その様に、ようやく自分が粗相をしてしまったのだと気付き、血の気がひく。私は慌てて起き上がると、ベッドの上へと疼くまると、ディーク様へ頭を下げた。
子供のように漏らしてしまった事実が、自分を追いつめ、眦に涙が浮かぶ。
「ウソ……、漏らし……、ディーク様、申し訳ありません」
「ミレイユ、怒っていませんから顔を上げてください」
謝り続ける私を抱き起こし、ディーク様は向かい合う形で私を膝の上へと抱き上げる。そして、眦に溜まった涙の粒をキスで吸い取ると、私の唇へとキスを落とした。
「粗相をしたわけではないですよ。亜人種のオーク族は、身体の構造が人間に近い。人間の女は、最高潮に気持ち良くなると、お小水を出す穴と同じ場所から潮という透明な液体を吹き出すことがあると聞きました。男が、気をやる時に男根から飛沫を噴き出すのと同じですね。それだけ、ミレイユは私の愛撫に感じてくれたということでしょ? 男にとって、好きな女が自分の愛撫に感じてくれることほど、嬉しいことはない」
「す、好きな女!?」
「そうですよ。ミレイユは、私の愛する人でしょ」
「あっ……」
我に返った後に伝えられる愛の告白ほど恥ずかしいものはない。頬がみるみると赤く染まっていく。散々、痴態を晒してきて今更だが、恥ずかしさからディーク様の顔がまともに見られなくなり、慌てて、彼の胸へと顔を埋める。
「少し安心しました。さっきは、ミレイユに誘われて嬉しいと思う反面、そんなことを教えた男がいたのかと嫉妬してしまい、ひどく虐めてしまった」
「えっ!? 嫉妬した?」
ディーク様の言葉に思わず、彼の胸から顔を上げていた。そして、自分を見下ろすディーク様の優しい瞳に、胸がキュッと鳴る。
「私は、急激に成長した分、まだ心が大人になりきれていないのかもしれません。貴方に群がる男を、全て殺したいと思うくらいには、嫉妬深い。大人になれない私は嫌ですか?」
不安そうな光を宿した赤色の瞳と視線が絡まる。ちょっぴり勝ち気な黒い瞳の奥に寂しさを宿し、『一緒に寝てもいい?』と不安そうに尋ねる黒髪の少年の面影が脳裏をよぎり、胸を切なく痛ませる。
「出会った頃から大好きですよ。大人になりたくて背伸びをしていたディーク様も、立派な魔王様になられたのに、大人になりきれないディーク様も。どんなディーク様だって、愛しています」
背中へと回された腕の力が強まる。苦しいくらいの抱擁に、私の心が温かな想いで満たされていく。
ディーク様もまた、どんな私でも愛してくれるのだろう。
自分の容姿に自信がない私でも、騎士としての存在価値を失った私でも、小悪魔のように男を誘う女となった私でも、ディーク様は愛してくれる。
「――――、私の愛しい人。どうか、ディーク様の花嫁にしてください」
私の背に回されたディーク様の手が震えている。まるで私を花嫁にする事を躊躇っているかのように、何も言葉を発しないディーク様の態度に悟る。
きっと、彼は私にまだ伝えていないことがあるのだと。
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