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エピローグ
オークの花嫁
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真魔王誕生を祝う式典を終え、未だお祝いムード漂う王城は、華やかな雰囲気に包まれていた。右を見れば、メイド服に身を包んだ猫獣人の侍女が、ひっきりなしに訪れる来客の対応に追われ、左を見れば、山と積まれた書類を両手に抱えたリザードマンの従者が、廊下を急足で駆け抜ける。忙しなく立ち回る魔王城の使用人の誰一人として、かの御方の護衛騎士だった女オークの戦士が、消えていることに、気づいていない。
そんな中、ある使用人の男が、隣で床磨きに精を出す男に声をかけた。
「なぁ、最近、あの女オーク見ていないよな? 魔王様の護衛騎士の」
「は? 女オーク? そんな奴いたか? 魔王城で働く使用人は、皆、中級魔族以上だろうが。あんな、下級魔族が魔王城にいるわけないだろう」
「……、それもそうだな。俺の勘違いか」
「お前、それ他の奴に言うなよ。そもそも魔王となられるお方の護衛騎士が、女オークなんて言う下級魔族のはずがないだろう。それこそ魔王様に対する不敬だって、首をはねられるぞ。絶大な魔力を持つ魔王様の側に侍るには、それ相応の魔力を持つ高級魔族のお方でなければならないだろうが」
「確かに……、やっぱり、俺の勘違いか。それよか、魔王様のお妃様は、どんな御方がなるんだろうな? あれだけ美しい魔王様だぜ。きっと、妃になる女魔族も、絶世の美女だろうよ」
「は? お前、何トチ狂ったこと言ってんだ。魔王様に伴侶は必要ねぇんだよ。死ぬ時に、次期魔王様をこの世に生み出し、消えるんだからよ。まぁ、愛人なら山のようにいるんだろうがな」
「はぁ、そうだったな。なんで忘れてたんだろう……、まぁ、いいか。じゃあ、最近ひっきりなしに来る女魔族共は、魔王様の愛人枠狙いってわけか」
「だろうな。まぁ、俺達には関係ない話さ。魔王様のおこぼれをもらう立ち位置でもないしな。中級魔族なんぞ、あの高慢ちきな女魔族どもは歯牙にもかけんよ」
「ははは、確かに、そうだ」
そんなたわいない話を交わした男達は、己の仕事に戻っていく。一人は床磨きの続きを。そして、女オークの存在を口にした男は、持ち場へと戻るため、床磨きを再開した男の側を離れ歩き出す。ふと、床磨きをしていた男が手を止め、王城の奥へと歩き去る男の後ろ姿を眺める。
綺麗な赤髪を持つ女オークの姿が脳裏をよぎり、頭を振る。
まさかな……、そんな女、いない……、絶対に……
魔界には、魔界の住人ですら知らない禁忌が存在する。
オークの花嫁……
それは、魔族の世界から秘された『魔王の伴侶』のことである。
そんな中、ある使用人の男が、隣で床磨きに精を出す男に声をかけた。
「なぁ、最近、あの女オーク見ていないよな? 魔王様の護衛騎士の」
「は? 女オーク? そんな奴いたか? 魔王城で働く使用人は、皆、中級魔族以上だろうが。あんな、下級魔族が魔王城にいるわけないだろう」
「……、それもそうだな。俺の勘違いか」
「お前、それ他の奴に言うなよ。そもそも魔王となられるお方の護衛騎士が、女オークなんて言う下級魔族のはずがないだろう。それこそ魔王様に対する不敬だって、首をはねられるぞ。絶大な魔力を持つ魔王様の側に侍るには、それ相応の魔力を持つ高級魔族のお方でなければならないだろうが」
「確かに……、やっぱり、俺の勘違いか。それよか、魔王様のお妃様は、どんな御方がなるんだろうな? あれだけ美しい魔王様だぜ。きっと、妃になる女魔族も、絶世の美女だろうよ」
「は? お前、何トチ狂ったこと言ってんだ。魔王様に伴侶は必要ねぇんだよ。死ぬ時に、次期魔王様をこの世に生み出し、消えるんだからよ。まぁ、愛人なら山のようにいるんだろうがな」
「はぁ、そうだったな。なんで忘れてたんだろう……、まぁ、いいか。じゃあ、最近ひっきりなしに来る女魔族共は、魔王様の愛人枠狙いってわけか」
「だろうな。まぁ、俺達には関係ない話さ。魔王様のおこぼれをもらう立ち位置でもないしな。中級魔族なんぞ、あの高慢ちきな女魔族どもは歯牙にもかけんよ」
「ははは、確かに、そうだ」
そんなたわいない話を交わした男達は、己の仕事に戻っていく。一人は床磨きの続きを。そして、女オークの存在を口にした男は、持ち場へと戻るため、床磨きを再開した男の側を離れ歩き出す。ふと、床磨きをしていた男が手を止め、王城の奥へと歩き去る男の後ろ姿を眺める。
綺麗な赤髪を持つ女オークの姿が脳裏をよぎり、頭を振る。
まさかな……、そんな女、いない……、絶対に……
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