売れ残り男爵令嬢は、うたた寝王女の愛ある策略に花ひらく

湊未来

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第4章 思惑は交錯する【ルティア編】

6 ※R18 微エロ

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トマトスープをひと口啜ると、磯の香りが口一杯に広がる。白身魚は骨まで柔らかく、海老はぷりっぷりで噛みごたえ抜群だ。一緒に入っているジャガイモもニンジンも玉ねぎもよく煮込まれ柔らかい。

インゲン豆と塩漬けの魚の和え物もオイルとほのかに香るニンニクが絶妙にマッチして食べれば食べるほど、ついつい手が伸びてしまう癖になる味だ。
塩気が抜群でエールもどんどん進んでしまう。

始め甘めのエールを飲んでいた私だったが、料理と一緒に飲みたくて二杯目は僅かな苦味があるがマイルドでさっぱりしたエールを頼んだ。

「………ルティ………あまり飲みすぎると後が大変ですよ!」

「大丈夫よぉ~♪だって私以外とお酒強いのよぉ~ぶどう酒だってよく飲んでたも~ん♪」

すでにイアンの目の前には完全なる酔っ払いが出来上がっていたが、楽しそうに飲んだり食べたりしているルティアを止めることは出来なかった。

………隣の席の体格のいいおじさんが話しかけてくる………

「嬢ちゃん!いい飲みっぷりだなぁ‼︎
おっちゃん感心しちまったよ!
これ俺の奢りだ。もらってくれ!」

私の目の前には小さなガラスコップに入った透明な液体があった。

「………何ですか~これ………?」

「ルティ‼︎それはダメです‼︎‼︎」

「待ちな兄ちゃん!飲むか決めるのは嬢ちゃんだ。それは、ショットって言ってなめちゃくちゃアルコール度数が高い酒だが、一気に飲んだ時の喉越しが抜群なんだ。
一瞬喉が焼けるように熱くなるが、最後に数滴垂らしたライムが爽やかな後味を残す癖になる酒だぜ。まだ子供の嬢ちゃんには早過ぎる酒かぁ~?」

おじさんの最後のからかい口調に私の闘争心に火がつく。

私はショットを持ち立ち上がると、隣に座るおじさんを見下ろし不敵に笑ってみせる………

「子供扱いしないでくださるかしら~
本当………美味しそうなお酒………
頂くわ~」

私は、ショットを掲げ一気に飲み干した。

喉に焼けつく様な痺れが走ったあと、爽やかなライムの香りが鼻を抜ける。
何とも言えない爽快感に思わず笑ってしまう。

「………本当………癖になりそう………」

「だろぅ~嬢ちゃん分かってるじゃねえか。」

おじさんと私のやり取りを伺っていた周りの男達が私達の周りに押し掛ける。

それからが大変だった………

レストランへ入って来た時から、毛色の変わった私達は他の客から注目を浴びていた様だ。

沢山の男達に質問責めにあい、酒に誘われる………
イアンに助けを求めたが、あちらは妖艶な美女に囲まれている。

大混乱の店内にとうとう女将さんの怒号が響きわたる。

私達がいると収拾がつかない為、イアンと一緒に店を追い出された。

まだ追ってこようとする客を振り切るため、フラフラの千鳥足の私をイアンが抱き上げ走り出す………

イアンに抱き上げられ、心地よい揺れに更に酔いが回る。

街の外れの広場のベンチに下された時には座っていることも出来ないほどフラフラだった。

ベンチに横になり、焦点の合わない瞳で私を覗き込むイアンを見つめようとする。

「本当にこんなに飲むなんて………
一歩間違えていたら危ない事になっていた………
女将さんが間に入ってくれて本当に良かった………」

イアンの心配そうな声が聞こえてくるが、見つめたイアンの顔が二つにも三つにも見えて可笑しくなってくる。

「イアンったら二人も三人もいるのね~」

顔を掴もうと伸ばした手を掴まれる………

「この酔っ払いめ!心配ばかりさせて………」

「…ふふ………ふふふふ………
イアンが怒ってるぅ~怖いぃ~」

「本当に怖いのは酔っ払いをどうにかしたい僕の欲望なんだけどねぇ………」

「………へっ⁈」

みるみる近づいてきたイアンの唇に唇を塞がれていた。

………ちゅっ………くちゃ………

侵入してきた舌に口内を蹂躙される………

…くちゃくちゃ………ぴちゃ………

イアンの唇が、銀色の糸をひいて離れていく。

「女が男の前で酩酊するとどうなるか教えてあげようか?」

頭がはっきりしない私はイアンが何を言っているか理解出来ない。

再度塞がれた唇は痺れたように動かない………
イアンの舌にただ翻弄され、私の中の快感の芽が咲き始める。

………なんて気持ちいいのかしら………

私の口内を離れた舌が、首筋を舐め徐々に下に降りてくる。

いつの間にかワンピースのボタンが外され肌けられた服の間からイアンの手が侵入し乳房を触られる。
優しく触られ、揉み込まれると何とも言えない気持ちになってくる………

初めての感覚に焦らされた体は貪欲に快感を欲しがる。

「………イアン………気持ちいいのぉ………
…もっと………もっと欲しいのぉ…………」

素面では絶対言えない言葉を紡いでしまう。

「ルティ………どうなっても知りませんよ………」

「いいのぉ………どうなってもいいの………
………イアンが好きだから………」

酩酊状態の私は、心の奥底にある気持ちをとうとう解放してしまった。

イアンが乳房への愛撫を開始し、私の望みに答えるように頂きを指で弾いた。

「ひっ………いやぁ………」

強すぎる快感に身悶える………

乳首を弾かれ摘まれ与えられる刺激に、私の蜜壺が潤み出す………

スカートをめくられ侵入した手に太ももを撫でられ徐々に上がってきた指が下着のクロッチを擦る。

「………ルティ…濡れている………
僕の愛撫に感じてくれてるんだね。」

下着を下ろされ、露わになった下腹部をイアンの視線が犯す。

軽く膝を割り開かれ、淡い茂みを掻き分けイアンの指が蜜粒に到達した時、乳首を噛まれると同時に蜜粒を摘まれ揺すられた。

「ひっ‼︎………きゃぁ………」

足先から脳天に突き抜けた快感に達してしまった私はそのまま意識を手放した。





人気のない広場には、乱れた服を整えられた意識のない私を掻き抱いたイアンの姿が柔らかい月の光に照らされていた。
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