【R18】スパダリ幼なじみは溺愛ストーカー

湊未来

文字の大きさ
9 / 45

忘れられない恋心


 どれくらいの時間、泣いていたのだろう。
 室内から見える窓の外は、すでに暗くビル群の夜景だけがキラキラと輝いていた。

 何時なのかな?

 手探りでベッド脇のチェストから、スマホを取り時間を確認する。

「十二時……」

 もう廉は寝たかな?
 流石に夕飯冷めちゃったよね。
 あんな事にならなければ、一緒に夕飯を食べられたのかな。

 落ち込みそうになる気持ちと共に、廉に押し倒された時のことを思いだし、止まったはずの涙が込み上げ、小さく嗚咽を漏らす。

 あんな事をされて気づくなんて、皮肉よね。
 結局、今でも廉が好きなのだ。

 廉と別れてから三年、彼の存在を忘れようと手を尽くして来た。でも今思えば常に廉の存在を意識していた三年間だった。

 良い雰囲気になった男性がいなかったわけではない。ただ、付き合うとなると無意識に廉と比べている自分に気付き、恋人関係になることはできなかった。

 いつだって廉の存在を意識していた。

「本当、最低な女よね……」

 好意を寄せてくれた過去の男性の顔が脳裏をよぎり罪悪感で心が沈んでいく。

 廉に身体をまさぐられ、裸を見られて泣いてしまったのも、性のはけ口としてしか見られていない現実に絶望したからだ。好きな人をキッチンで押し倒すなんて、野蛮な行為をするはずがない。
 廉の想い人、川口さん相手なら大切に大切に扱うに決まっている。

 三年前に勝手に別れを切り出し、音信不通になったことに怒っているとしても、あんな仕打ちは酷過ぎる。
 泣くほど悲しくてみじめでも、逃げ出せない今の状況は絶望でしかない。

「あんな最低な男を嫌いになれない自分が一番たちが悪いんだろうな……」

 ぽつり呟いた言葉が静かな部屋に響き、消えていく。次から次へと流れ落ちた涙が、握りしめた手に落ち濡らす。静かな部屋に響く嗚咽は、やむことなく続き、時間だけが過ぎていった。



「喉渇いたな。三時か……、流石に廉も起きていないよね」

 ひとしきり泣いて、やっと涙が枯れた美咲は、ベッドから起き上がり、リビングへと歩き出した。

 物音を立てないようにリビングの扉を開け、キッチンへと向かう。冷蔵庫からミネラルウォーターを取ると、リビングにある大きなソファへと座り、腫れぼったい目にペットボトルを当てた。

 冷たくて、気持ちいい……
 明日の朝は、絶対ひどい顔になってる。目がパンパンに腫れて、顔も浮腫んでいるんだろうなぁ。
 そんな顔で大学に行けば、友達に色々詮索されそうで嫌だ。

 休みたい……

 美咲は、目元からペットボトルを外し、ひと口飲む。冷たい水が混乱した頭を冷やしてくれる。
 部屋に戻るのも嫌で、ボンヤリと外の夜景を見ていた美咲に声がかかった。

「美咲? 起きてたのか……」

 背後から呼びかけられた声に、反射的に振り向き後悔した。廊下の間接照明に照らされ、ネクタイを緩めたワイシャツ姿の廉が立っていた。

 美咲は慌ててソファから立ち上がり駆け出す。しかし、廉の横を通り過ぎる瞬間、腕を掴まれ引き寄せられていた。

「――離して!!」

「頼むから落ち着いて。美咲ときちんと話をしたい」

「何を話すことがあるって言うのよ! 私は廉にとって何なのよ。勝手にアパートを解約されて、両親も懐柔されて、家無しの私は廉を頼るしかない。私を支配して思い通りに扱って満足!? 廉にとって私なんか性のはけ口にするには丁度いいんでしょうね!」

 今までの惨めな想いがせきを切ったようにあふれ出す。一度ぶち撒けてしまった想いを止めることなど出来なかった。
 廉に酷いことを言っているのも分かっていた。しかし、美咲の想いは止まらない。

「――でも、身体は廉に許しても、心まではあげない。貴方を好きになんて、絶対にならないんだから!」

「美咲への想いを性のはけ口と切り捨てるのか! 美咲と連絡すら取れなくなった俺が、どんな想いで三年間過ごして来たかなんて、考えもしないんだな」

 激情を押し殺した静かな声が、美咲の恐怖をあおる。しかし、血が昇った美咲もまた引けなくなっていた。

「廉の気持ち? そんなの知りたくもない!」

「分かったよ……、望み通り、性のはけ口にしてやるよ!!」

 廉の激情に触れ、怒鳴りつけられた美咲は廉に担ぎ上げられ彼の寝室のベッドの上へと放り投げられていた。慌てて起き上がろうとした美咲の上に廉が馬乗りになる。

「性のはけ口なら雑に扱ってもいいよな!」

 かぶりつくようなキスを落とされ、無理矢理歯列をこじ開けた廉の舌が、口腔内を犯す。
 抵抗するべく伸ばされた美咲の手だったが、掴まれ廉の首元から解いたネクタイでひとまとめに括られ、ベッドヘッドに固定されてしまった。

「なっ、何をする気よ!?」

「三年間、俺から逃げ回ったツケを払ってもらう。望み通り、ひどく抱いてやるよ」

 ギラついた目を向けられ美咲の喉が鳴る。

 今更後悔しても遅かった。
 廉の怒りに燃える瞳を見つめ美咲は覚悟を決めた。

 こんな悲惨な状態で、好きで好きでたまらない人と結ばれるなんてね。
 あの時、廉から逃げた報いなのかな……
感想 13

あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

野獣御曹司から執着溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
野獣御曹司から執着溺愛されちゃいました