【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜

湊未来

文字の大きさ
1 / 49

突然のメール

しおりを挟む
『12月24日○○ホテルのレストランの予約が取れた。誕生日一緒に過ごそう』

仕事が忙しいと最近ろくに電話をかけてくることもなかった彼からの突然のメールだった。

単純に嬉しかった。やっと私との結婚を本気で考えてくれる気になったと。
30歳の誕生日に夜景の見えるレストランでロマンチックなプロポーズをしてくれるのだと、本気で思っていたのだ。

あの時まではーーー



「鈴香!今日はどうしたの?
朝からウキウキしちゃって。仕事中もソワソワしてたでしょ。さては、彼氏とデートだな~」

就業時間を目前に、隣の席に座る腐れ縁の同期、菊池明日香きくちあすかから鋭いツッコミが入る。

「まぁ、それゃそうか!今日はクリスマスイブだもんね。カップルにとっては一大イベントかぁ。サンタも裸足で逃げ出す、アッつ~い夜を過ごす恋人達が街中にあふれる日だもんね。しかも鈴香誕生日でしょ。彼氏と過ごさなきゃ誰と過ごすんだいって感じか」

「はは。想像にお任せしまーす」

「なに⁈その乾いた笑い。
どうせ私はボッチで寂しいクリスマスですよぉ~だ」

「何言ってるの。大好きな推しのクリスマス生配信観るって張り切ってたくせに。明日香もそろそろ二次元じゃなくて三次元の男を好きになりなさいよぉ。お互いもうすぐ30歳なんだから」

「嫌よ。三次元の男なんて気持ち悪い!」

「ーーーさようですか。
あっ!定時になった。じゃ行くね」

「こらぁ。逃げるなぁ」

同期の叫びを背後に聴きつつ、駆け足で扉に向かい廊下へ出ると、その足で更衣室へと向かった。




私の名前は冬野鈴香ふゆのすずか。製薬企業に勤める29歳のOL。
お察しの通り、クリスマスのこの日、目出度く三十路を迎える。

この日の為に買った黒のワンピースを着て、脚元はスパンコールがキラキラ輝く黒のピンヒールのパンプスを履く。胸元で輝く一粒ダイヤのネックレスは彼からのプレゼントだった。付き合い出して初めての誕生日、彼も背伸びをしていたのだと今なら分かる。

あれから五年。

色々な事があった。彼の浮気が発覚し別れを切り出したこともあった。必死で謝る彼に絆され、関係を続ける決心をした。社交的で交友関係も広かった彼とは、価値観の違いで何度も何度も喧嘩になった。でも、決まって最後は謝ってくれた。自分の非を認めて、謝る事が出来る彼を尊敬していた。

いつか彼と結婚したいと本気で思っていた。

その想いが今日実を結ぶ。

仕事が忙しいと連絡が来なかったのも、今日の日の為に仕事を調整していたからなのだ。

営業職で忙しい彼の事だ。電話すら出来ない程、仕事を詰め込んでいたのだろう。

あまりの連絡の無さに浮気を疑っていたなんて、彼に申し訳ない。

ーーー最高の誕生日になる。

そんな想いを胸にエントランスを飛び出す。

「雪………」

手の平に落ちた雪を見つめ、空を見上げる。

ホワイトクリスマス………

きっとこの日を忘れない。

雪を見るたび想い出す。30歳の特別な誕生日の事を。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ワケあり上司とヒミツの共有

咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。 でも、社内で有名な津田部長。 ハンサム&クールな出で立ちが、 女子社員のハートを鷲掴みにしている。 接点なんて、何もない。 社内の廊下で、2、3度すれ違った位。 だから、 私が津田部長のヒミツを知ったのは、 偶然。 社内の誰も気が付いていないヒミツを 私は知ってしまった。 「どどど、どうしよう……!!」 私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

入海月子
恋愛
有本瑞希 仕事に燃える設計士 27歳 × 黒瀬諒 飄々として軽い一級建築士 35歳 女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。 彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。 ある日、同僚のミスが発覚して――。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

19時、駅前~俺様上司の振り回しラブ!?~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
【19時、駅前。片桐】 その日、机の上に貼られていた付箋に戸惑った。 片桐っていうのは隣の課の俺様課長、片桐課長のことでいいんだと思う。 でも私と片桐課長には、同じ営業部にいるってこと以外、なにも接点がない。 なのに、この呼び出しは一体、なんですか……? 笹岡花重 24歳、食品卸会社営業部勤務。 真面目で頑張り屋さん。 嫌と言えない性格。 あとは平凡な女子。 × 片桐樹馬 29歳、食品卸会社勤務。 3課課長兼部長代理 高身長・高学歴・高収入と昔の三高を満たす男。 もちろん、仕事できる。 ただし、俺様。 俺様片桐課長に振り回され、私はどうなっちゃうの……!?

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

処理中です...