冷やし上手な彼女

カラスヤマ

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再び現代

それでも

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「体調は、どう?」

「うん。元気……」

「学校さぁ……色々あったけど大丈夫だよな?」

「大丈夫だよ。今も二川と番条が、学校を元通りにしてくれてるから。退学にされた生徒も徐々に戻ってきてる」

「それなら良かった。やっぱり、この学園は、会長の七美がいないとダメだしな」

「………その事なんだけど、私ね。会長の仕事をしばらくお休みすることにしたの。その間は、二川が会長代理。なんだか……少し疲れちゃったから」

「そっか……。分かった。じゃあさ、ゆっくりしよう。七美は、今まで頑張り過ぎてたし」

「……………………」

「…………………………」

「タマちゃんは……私のこと……恐い?」

「恐くない」

「化け物になっても? 人を食べても?」

「恐くない」

「どうして?」

「七美は、七美だから。どんなに姿が変わっても、化け物になったとしても。それは俺が愛した七美本人だから。恐くないよ」

「やっぱり……バカだよ。タマちゃんは……」

「かもな。よし! 気分転換にさ、散歩しない?」

「…………」

「どうした?」

「今は、タマちゃんとこうやって一緒にくっついていたい」

「七美っ~! 愛してるよ~」

ふざけながら、七美を抱きしめ、その胸に顔を埋めた。

俺は、誤魔化した。この動揺をーーー。

「ありがとう。大好き……」

頭にポタポタと七美の涙が落ちてきた。
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