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空港で
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最終日。アンさんがバイクで僕を空港まで送ってくれる。
彼女はその日遅番だということで、昼間の時間を使って僕を見送ることになった。
僕のアンさんへの好意はもうすっかりバレているし、帰国までの残りわずかな時間で、僕は真剣に彼女に想いを伝えようと決意していた。
次にまたベトナムに来る口実ではなく、本気で付き合いたいという気持ちを伝えるために。
付き合うってどうやって?
そんなことはわからないけどこのまま日本に帰ったところで日本で新しい恋を探す気にはなれないだろう。
バイクに2ケツで乗りながら、僕は後ろから一生懸命に英語で恋愛感情を伝えた。
「アン、君が本当に好きだ。付き合ってほしい。」
けれど、アンさんは振り返ることなく、少しはにかみながらこう言った。
「ん~、わからない。」
どうやら、英語がわからないのか、それとも話をかわしているのか、どちらともとれる返事だった。
空港に着いてからもカフェスペースで彼女に想いを伝え続けた。
日本とベトナムの距離なんて関係ない。年に何度でも会いに来るし、なんなら日本に招待したい。僕の真剣さをどうにかして伝えようとしたが、アンさんの返事は曖昧なままだった。
彼女は嫌がっているわけではなく、むしろ僕との会話を楽しんでいる様子だったけれど、それ以上の関係には踏み込むつもりがないのがはっきりと伝わってきた。
そしてついにタイムアップが訪れた。
出発ゲートに向かう前、アンさんがこれまで筆談に使っていたノートに「ありがとう楽しかった」と英語で書き込んだ後、ベトナム語で長いメッセージを添えてくれた。
「帰ったらこれを調べてね」と微笑むアンさん。
僕はノートを胸に抱えながら飛行機に乗り込み、帰国の途についた。
機内では旅行中の思い出や、アンさんとの筆談のやり取りを書き留めたそのノートを何度も見返した。
でも、アンさんが残してくれたベトナム語のメッセージが何と書かれているのかは全くわからなかった。
家に帰ると早速、そのメッセージを翻訳する作業に取り掛かった。
声調記号の入力方法すらわからず、試行錯誤を繰り返しながらようやく意味を解読することができた。
そこには、こんな内容が書かれていた。
「あなたのことは兄弟のように大事に思っています。これからも兄弟として仲良くしていきたいです。タムと一緒にこれからも仲良くしてくださいね。英語の勉強や日本のこともいろいろ教えてください。それに、私はクリスチャンだから。」
予想はできていたしショックは無かった。
アンさんはやんわりと、でも確実に僕の告白を断っていた。
彼女はその日遅番だということで、昼間の時間を使って僕を見送ることになった。
僕のアンさんへの好意はもうすっかりバレているし、帰国までの残りわずかな時間で、僕は真剣に彼女に想いを伝えようと決意していた。
次にまたベトナムに来る口実ではなく、本気で付き合いたいという気持ちを伝えるために。
付き合うってどうやって?
そんなことはわからないけどこのまま日本に帰ったところで日本で新しい恋を探す気にはなれないだろう。
バイクに2ケツで乗りながら、僕は後ろから一生懸命に英語で恋愛感情を伝えた。
「アン、君が本当に好きだ。付き合ってほしい。」
けれど、アンさんは振り返ることなく、少しはにかみながらこう言った。
「ん~、わからない。」
どうやら、英語がわからないのか、それとも話をかわしているのか、どちらともとれる返事だった。
空港に着いてからもカフェスペースで彼女に想いを伝え続けた。
日本とベトナムの距離なんて関係ない。年に何度でも会いに来るし、なんなら日本に招待したい。僕の真剣さをどうにかして伝えようとしたが、アンさんの返事は曖昧なままだった。
彼女は嫌がっているわけではなく、むしろ僕との会話を楽しんでいる様子だったけれど、それ以上の関係には踏み込むつもりがないのがはっきりと伝わってきた。
そしてついにタイムアップが訪れた。
出発ゲートに向かう前、アンさんがこれまで筆談に使っていたノートに「ありがとう楽しかった」と英語で書き込んだ後、ベトナム語で長いメッセージを添えてくれた。
「帰ったらこれを調べてね」と微笑むアンさん。
僕はノートを胸に抱えながら飛行機に乗り込み、帰国の途についた。
機内では旅行中の思い出や、アンさんとの筆談のやり取りを書き留めたそのノートを何度も見返した。
でも、アンさんが残してくれたベトナム語のメッセージが何と書かれているのかは全くわからなかった。
家に帰ると早速、そのメッセージを翻訳する作業に取り掛かった。
声調記号の入力方法すらわからず、試行錯誤を繰り返しながらようやく意味を解読することができた。
そこには、こんな内容が書かれていた。
「あなたのことは兄弟のように大事に思っています。これからも兄弟として仲良くしていきたいです。タムと一緒にこれからも仲良くしてくださいね。英語の勉強や日本のこともいろいろ教えてください。それに、私はクリスチャンだから。」
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