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いざ、出発
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次の日。前日と同じように噴水広場で待ち合わせてアズノストと合流した。
ひとまず城に向かい、騎士団で武器や装備を貸してもらった。戦闘はしない予定だけど、それを言うわけにはいかないので、形だけでも整えるために鎧を着たけど……
「重い……! キツイ……!」
「似合ってるよ、フォル」
ずっしりと全身にのしかかる負荷に足を踏ん張る。同じものを身にまとう陽凪は余裕そうに、にこにこ笑っている。陽凪だって細いのに……やっぱ騎士やってるだけあるな。
「剣も取ってくるね。軽めなの選ぶから」
「これに剣も加わるのか……」
隣の部屋に向かった陽凪の背中を見送っていると、
(ああ……本当にとても似合っている。現代日本ではこんなに立派な鎧を身につける機会はそうそうない。叶空が出演するドラマは現代ラブストーリーが多かったからな。制服姿も似合っていたが、ファンタジーものは貴重だ。いいものを提供してくれて感謝する、騎士団)
……アズノストの心の声が、頭の中で垂れ流しされている。
(アズノスト……聞こえてるけど)
(!? ……すまない、興奮のあまり魔力操作を間違った)
自分の身は魔法で守れる、と装備を断ったアズノストは少し離れたところでこっちを見ている。その頬は赤く染まった。
(まずい、オタクムーブは気持ち悪いよな……聞こえないように気をつけねば。しかし、この世界には写真の技術がないのが困るな。フォルの晴れ姿を残しておきたいのだが……あ、俺が作ればいいのか。こういう時は魔王の力に感謝だな。スマホのようなものを作ろう。現像もできるようにして……)
(まだ聞こえてるって!!)
ハッと我に返ったアズノストは気まずそうに目を逸らした。腕を背中に回している。まさかスマホを……!? すぐに前に戻ってきた手にはそれっぽい、レンズがついたものが存在した。作るのが早すぎる。
(頼む、撮らせてくれ)
(いいけど……)
(感謝する)
そんな熱意を見せられたらOKするしかない。まあ撮られるのは慣れてるし……それでも媒体として残るんだから少しだけ背筋を伸ばした。陽凪と楓月の目をかいくぐり、アズノストはシャッターを……押したのか? 音もフラッシュもなかったけど……スマホっぽいものはいつの間にか手から消え、アズノストは満足そうにした。
(撮れた?)
(ああ、よく撮れた)
(無音カメラか。便利なもの作ったな)
(無音かつ、構えなくても完璧な画角でシャッターが切れ、いつでも現像ができる。あとで撮った写真を見せよう)
(ちゃっかりスマホより高性能なもの作ってる……)
すると、陽凪が鞘に入れた剣を持って戻ってきた。
「はい、剣だよ」
「ありがと……重っ!」
「頑張って。それを腰につけるんだよ」
さらに重苦しくなった。こんなんでまともに戦えないだろ……騎士、すごすぎる……筋トレしないとだな……
すでに支度を終えていた楓月がもっと大きい剣を持ち、立ち上がった。ゴリラになったのか、楓月は。
「時間が惜しい。すぐに出発するぞ」
セイレーンの洞窟は海岸沿いにあるらしい。中央の国からは距離があるため、天真が用意してくれた馬車に4人で乗り込んだ。
アズノストと2人だったら、魔法ですぐに移動できただろうけど……と思いながら窓の外を覗く。馬の駆ける音に合わせて揺れる馬車。だんだん景色が流れていく。街並みを過ぎて門を抜けると、青々とした草原の景色に変わった。
俺の正面に座る陽凪も一緒になって窓を覗き、微笑みかけてくれた。
「綺麗だね」
「うん」
王様が倒れてるっていうのに呑気だけど、馬車移動をしないとこんな景色は見れなかった。住んでいた田舎町とも日本ともまるで違う異国の風景は見ていて飽きない。
(魔法で移動するのとは違う体験ができたなあ。これはこれで楽しいな)
(そうか……)
(元気ない? 俺怒ってないよ)
(いや、そうではなく……その、陽凪と距離が近いなと……)
陽凪の端正な顔は目と鼻の先。水晶みたいに煌めく透明な陽凪の瞳に俺が映っている。小さい窓を一緒に覗きこんでいるからそりゃ近くもなる。それにいつもこのぐらいの距離感だったから特に気にすることもなかったけど……
窓から体を離して隣に座るアズノストを見やると、どこか不機嫌そうに陽凪を睨んでいた。一方の陽凪はしたり顔で満足げ。一緒に旅してるんだから仲良くしてくれないもんかな……そのことに楓月も気づいたみたいだ。
ひとまず城に向かい、騎士団で武器や装備を貸してもらった。戦闘はしない予定だけど、それを言うわけにはいかないので、形だけでも整えるために鎧を着たけど……
「重い……! キツイ……!」
「似合ってるよ、フォル」
ずっしりと全身にのしかかる負荷に足を踏ん張る。同じものを身にまとう陽凪は余裕そうに、にこにこ笑っている。陽凪だって細いのに……やっぱ騎士やってるだけあるな。
「剣も取ってくるね。軽めなの選ぶから」
「これに剣も加わるのか……」
隣の部屋に向かった陽凪の背中を見送っていると、
(ああ……本当にとても似合っている。現代日本ではこんなに立派な鎧を身につける機会はそうそうない。叶空が出演するドラマは現代ラブストーリーが多かったからな。制服姿も似合っていたが、ファンタジーものは貴重だ。いいものを提供してくれて感謝する、騎士団)
……アズノストの心の声が、頭の中で垂れ流しされている。
(アズノスト……聞こえてるけど)
(!? ……すまない、興奮のあまり魔力操作を間違った)
自分の身は魔法で守れる、と装備を断ったアズノストは少し離れたところでこっちを見ている。その頬は赤く染まった。
(まずい、オタクムーブは気持ち悪いよな……聞こえないように気をつけねば。しかし、この世界には写真の技術がないのが困るな。フォルの晴れ姿を残しておきたいのだが……あ、俺が作ればいいのか。こういう時は魔王の力に感謝だな。スマホのようなものを作ろう。現像もできるようにして……)
(まだ聞こえてるって!!)
ハッと我に返ったアズノストは気まずそうに目を逸らした。腕を背中に回している。まさかスマホを……!? すぐに前に戻ってきた手にはそれっぽい、レンズがついたものが存在した。作るのが早すぎる。
(頼む、撮らせてくれ)
(いいけど……)
(感謝する)
そんな熱意を見せられたらOKするしかない。まあ撮られるのは慣れてるし……それでも媒体として残るんだから少しだけ背筋を伸ばした。陽凪と楓月の目をかいくぐり、アズノストはシャッターを……押したのか? 音もフラッシュもなかったけど……スマホっぽいものはいつの間にか手から消え、アズノストは満足そうにした。
(撮れた?)
(ああ、よく撮れた)
(無音カメラか。便利なもの作ったな)
(無音かつ、構えなくても完璧な画角でシャッターが切れ、いつでも現像ができる。あとで撮った写真を見せよう)
(ちゃっかりスマホより高性能なもの作ってる……)
すると、陽凪が鞘に入れた剣を持って戻ってきた。
「はい、剣だよ」
「ありがと……重っ!」
「頑張って。それを腰につけるんだよ」
さらに重苦しくなった。こんなんでまともに戦えないだろ……騎士、すごすぎる……筋トレしないとだな……
すでに支度を終えていた楓月がもっと大きい剣を持ち、立ち上がった。ゴリラになったのか、楓月は。
「時間が惜しい。すぐに出発するぞ」
セイレーンの洞窟は海岸沿いにあるらしい。中央の国からは距離があるため、天真が用意してくれた馬車に4人で乗り込んだ。
アズノストと2人だったら、魔法ですぐに移動できただろうけど……と思いながら窓の外を覗く。馬の駆ける音に合わせて揺れる馬車。だんだん景色が流れていく。街並みを過ぎて門を抜けると、青々とした草原の景色に変わった。
俺の正面に座る陽凪も一緒になって窓を覗き、微笑みかけてくれた。
「綺麗だね」
「うん」
王様が倒れてるっていうのに呑気だけど、馬車移動をしないとこんな景色は見れなかった。住んでいた田舎町とも日本ともまるで違う異国の風景は見ていて飽きない。
(魔法で移動するのとは違う体験ができたなあ。これはこれで楽しいな)
(そうか……)
(元気ない? 俺怒ってないよ)
(いや、そうではなく……その、陽凪と距離が近いなと……)
陽凪の端正な顔は目と鼻の先。水晶みたいに煌めく透明な陽凪の瞳に俺が映っている。小さい窓を一緒に覗きこんでいるからそりゃ近くもなる。それにいつもこのぐらいの距離感だったから特に気にすることもなかったけど……
窓から体を離して隣に座るアズノストを見やると、どこか不機嫌そうに陽凪を睨んでいた。一方の陽凪はしたり顔で満足げ。一緒に旅してるんだから仲良くしてくれないもんかな……そのことに楓月も気づいたみたいだ。
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