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恋人編ー3年生前期
オレに看病させろ!②
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インターホンの音で目が覚めた。パートに出る前だった母さんが出て、会話してるのがうっすら聞こえる。時間的にもたぶん璃央だろう。
少ししてから部屋の扉が開いた。
「よー、和真。生きてっか?」
「なんとか……」
「あ、思ってたよりもしんどそうだな」
手に持っていたナイロン袋を机に置いて、心配そうに眉を寄せて覗き込んでくる。
「大丈夫か?」
「わ……」
目の前いっぱいに美麗な璃央の顔が……弱ってるからか、なおさら輝いて見える。ソシャゲだったらSSRになってる。心に沁み入る……
「さらに顔赤くなったぞ」
「なんか……璃央がいつもよりかっこいい……」
「オレはいつでもかっこいいだろ。まあオレの存在は熱に効く。オレで治せ」
過言じゃねえ……
堂々と胸を張るのが自信に満ちてて可愛い。はは、と笑うと、急にスイッチが切り替わるように艶めいた空気を纏った。形の整った唇が近づいてくる……のを手で防いだ。
「風邪じゃないだろうけど、なんかうつるかも!」
「むぐ……」
申し訳ないが璃央を守るために必要なことだ。俺の手をどかした璃央は不満そうだ。
「んじゃ口じゃないとこにする」
「え、ちょ……」
止めようとした両手をまとめられた。熱のせいで力が入らない。そのまま頰にちゅーっと可愛いキスされた。璃央はにんまりと笑って、スウェットの首元を引っ張った。
「キスマ、薄くなってるけどまだ残ってんな」
つつ……となぞられて同じところを吸われると、身体にチリチリ痺れがまわる……
「これでよし。また濃くしといたぞ」
「うぅ……熱上がる……」
「やべ、刺激しすぎた」
急いでナイロン袋からスポドリを出し、首の血管に当てて冷やしてくれた。ああ、いろいろ買ってきてくれたんだなあ。
ぼーっと璃央を眺めていると、トントン……と階段をのぼってくる足音が聞こえた。
「か、母さん来る……!」
「!」と反応した璃央は俺の服をサッと戻して、ベッドから離れて床に座り何気ない感じを装った。素早くてありがたい。やがてドアがコンコン、とノックされた。
「和真、どう体調? 雑炊置いとくよ」
「あ、ありがと……」
「せっかく来てくれたのにごめんね、璃央くん。雑炊多めに作ったから、お腹空いてたら食べて」
「ありがとうございます! んじゃ遠慮なく」
「それじゃあパート行ってくるから。璃央くん、本当に任せて大丈夫?」
「今日は和真の面倒見に来たので!」
母さんは「ありがとう、よろしくね」とドアを閉めた。璃央はさっそく雑炊の入った鍋の蓋を開けて器によそっている。
「和真、雑炊ベッドで食うか? りんごもあるぞ」
「そっちで食う……」
身を起こして、璃央のななめ隣に座る。璃央も腹が減ってたのか、「いただきまーす」と俺より先に食べ始めた。
「おばさんの雑炊美味いな。オレが作ってもこうはならないな。これちゃんと出汁から取ってね?」
「出汁とかはわからんけど、いつもこの味……」
「へー、丁寧だな。やっぱオレもそんぐらいしないとか……美味いもん作りたいしなあ」
「璃央の作ったもんは全部美味いよ……」
「おお……」
無言になった璃央は黙々と雑炊を食べている。照れてるみたいだ。
「そうやってさあ……ノータイムで褒めてくるとこがさぁ……」
「?」
「……好き」
「あ、ありがと……?」
なんだこのいじらしくて可愛い生き物は……こんなん熱じゃなくても体温上がるわ……
お互いモゾモゾと甘ったるい雰囲気のまま雑炊とりんごを食べ終えた。空いた食器を璃央がテキパキと片してくれる。
「寝るか?」
「うん……ごめん、せっかく来てくれたのに……」
「まあセックスしたかったけどな」
「ゔ……」
「冗談だっつの。真に受けんな」
ベッドに潜ると、布団を肩までしっかりかけてくれる。璃央はベッドに腰をかける。伸びてきた手が、頰に触れた。少し冷たくて気持ちいい。
「こうやってお前に会えるだけでいいんだよ。それに和真を看病できるなんて、そうそうないだろ。逆にこっちのが貴重だ」
「璃央……」
熱出て予定を台無しにして、申し訳なさでへこんでたけど……嬉しい言い方してくれるな。前向きな璃央の考え方って感じで、好きだ。
なんかたまらない気持ちになって、璃央の服の袖をぎゅっと掴んでしまう。璃央は少し意地悪に笑った。
「お、一緒に寝てやろうか?」
「……うん」
「甘やかしてやんよ」
上着を脱いだ璃央が隣に入ってくる。ふんわり香る上品で爽やかな璃央のにおいも、全身を包んでくれる暖かさも、少し速い鼓動も、璃央の隣は心地よくて安心する。
*
……和真はすうすうと規則正しい寝息を立てはじめた。オレも一緒に寝れればよかったけど……こんな状況で寝れるわけねーだろ。和真のベッドで和真を抱きしめて和真の匂いでいっぱいで、はいおやすみ、って寝れるわけねーだろ。
正直、熱出して弱った和真が思ったよりエロかった。病人をエロい目で見るのはどうかと思うけど、これは不可抗力ってやつだ。顔は赤いし、へにゃって笑うし、口調もふわふわしてるし、あんま頭回らないからか甘えてくるし……いつもオレが甘えてるけど、甘えられるのもいいな。苦しそうな和真には悪いけど、いつもと違う良さがある。
あー……興奮して勃ちそ……マジで勃つわ……でも病人相手はよくねぇ。我慢だ。天井に貼られたポスターの憎き女(めるちゃん)にガン飛ばしていれば……つか、めるちゃんとすげえ目ぇ合うな。こんな視界で寝てんのかよ。いつかオレのポスター作ってすり替えてやろうか。
その時、和真がさらに身を寄せて頭を擦り付けてきた。んでスウ……と大きく息を吸われた。
「ん……りお、いいにおい……」
勃った。
マジでなんだよ、こいつ……可愛すぎてムカついてきた……こっちはすっげー我慢してんだよ、なんも知らん顔して寝やがって……! いやいや、落ち着け。今ヤるわけにはいかねえ。我慢だ。いっぱい寝て治してもらわねーと。紳士なオレに感謝しろよ。
とりあえずちんこが痛い。トイレで抜いてこようと体を起こそうとした……
が。
「……まって……りお……」
寝てるくせに腕を回してきて、抱き枕にされてしまった。オレが抱きしめるばっかで、こんなことあんまりないのに……ラッキーがすぎる。
そうじゃねえ、動くに動けなくなった! せっかく抜いてこようとしたのに!
「くっそ……お前のせいだからな……!」
手の届く範囲に、ティッシュがあってよかった。
*
数時間後……
「んあ……いまなんじ……?」
「17時前……」
和真が何も知らない顔して起きるから、オレは病人で抜いてしまった罪悪感でいっぱいだ。
「なんかよく寝れたわ……」
「だな。ぐっすりだったぞ」
「朝より良くなったよ。璃央のおかげだな」
「……おう」
罪悪感でいっぱいだ……
その後、木山家で晩飯までごちそうになった。
おばさんに「ついでに泊まってく? 和真もけっこう元気になってきたみたいだし」と誘われて何も考えずにOKしてしまい、オレは眠れない夜を過ごすことになったのだった。
少ししてから部屋の扉が開いた。
「よー、和真。生きてっか?」
「なんとか……」
「あ、思ってたよりもしんどそうだな」
手に持っていたナイロン袋を机に置いて、心配そうに眉を寄せて覗き込んでくる。
「大丈夫か?」
「わ……」
目の前いっぱいに美麗な璃央の顔が……弱ってるからか、なおさら輝いて見える。ソシャゲだったらSSRになってる。心に沁み入る……
「さらに顔赤くなったぞ」
「なんか……璃央がいつもよりかっこいい……」
「オレはいつでもかっこいいだろ。まあオレの存在は熱に効く。オレで治せ」
過言じゃねえ……
堂々と胸を張るのが自信に満ちてて可愛い。はは、と笑うと、急にスイッチが切り替わるように艶めいた空気を纏った。形の整った唇が近づいてくる……のを手で防いだ。
「風邪じゃないだろうけど、なんかうつるかも!」
「むぐ……」
申し訳ないが璃央を守るために必要なことだ。俺の手をどかした璃央は不満そうだ。
「んじゃ口じゃないとこにする」
「え、ちょ……」
止めようとした両手をまとめられた。熱のせいで力が入らない。そのまま頰にちゅーっと可愛いキスされた。璃央はにんまりと笑って、スウェットの首元を引っ張った。
「キスマ、薄くなってるけどまだ残ってんな」
つつ……となぞられて同じところを吸われると、身体にチリチリ痺れがまわる……
「これでよし。また濃くしといたぞ」
「うぅ……熱上がる……」
「やべ、刺激しすぎた」
急いでナイロン袋からスポドリを出し、首の血管に当てて冷やしてくれた。ああ、いろいろ買ってきてくれたんだなあ。
ぼーっと璃央を眺めていると、トントン……と階段をのぼってくる足音が聞こえた。
「か、母さん来る……!」
「!」と反応した璃央は俺の服をサッと戻して、ベッドから離れて床に座り何気ない感じを装った。素早くてありがたい。やがてドアがコンコン、とノックされた。
「和真、どう体調? 雑炊置いとくよ」
「あ、ありがと……」
「せっかく来てくれたのにごめんね、璃央くん。雑炊多めに作ったから、お腹空いてたら食べて」
「ありがとうございます! んじゃ遠慮なく」
「それじゃあパート行ってくるから。璃央くん、本当に任せて大丈夫?」
「今日は和真の面倒見に来たので!」
母さんは「ありがとう、よろしくね」とドアを閉めた。璃央はさっそく雑炊の入った鍋の蓋を開けて器によそっている。
「和真、雑炊ベッドで食うか? りんごもあるぞ」
「そっちで食う……」
身を起こして、璃央のななめ隣に座る。璃央も腹が減ってたのか、「いただきまーす」と俺より先に食べ始めた。
「おばさんの雑炊美味いな。オレが作ってもこうはならないな。これちゃんと出汁から取ってね?」
「出汁とかはわからんけど、いつもこの味……」
「へー、丁寧だな。やっぱオレもそんぐらいしないとか……美味いもん作りたいしなあ」
「璃央の作ったもんは全部美味いよ……」
「おお……」
無言になった璃央は黙々と雑炊を食べている。照れてるみたいだ。
「そうやってさあ……ノータイムで褒めてくるとこがさぁ……」
「?」
「……好き」
「あ、ありがと……?」
なんだこのいじらしくて可愛い生き物は……こんなん熱じゃなくても体温上がるわ……
お互いモゾモゾと甘ったるい雰囲気のまま雑炊とりんごを食べ終えた。空いた食器を璃央がテキパキと片してくれる。
「寝るか?」
「うん……ごめん、せっかく来てくれたのに……」
「まあセックスしたかったけどな」
「ゔ……」
「冗談だっつの。真に受けんな」
ベッドに潜ると、布団を肩までしっかりかけてくれる。璃央はベッドに腰をかける。伸びてきた手が、頰に触れた。少し冷たくて気持ちいい。
「こうやってお前に会えるだけでいいんだよ。それに和真を看病できるなんて、そうそうないだろ。逆にこっちのが貴重だ」
「璃央……」
熱出て予定を台無しにして、申し訳なさでへこんでたけど……嬉しい言い方してくれるな。前向きな璃央の考え方って感じで、好きだ。
なんかたまらない気持ちになって、璃央の服の袖をぎゅっと掴んでしまう。璃央は少し意地悪に笑った。
「お、一緒に寝てやろうか?」
「……うん」
「甘やかしてやんよ」
上着を脱いだ璃央が隣に入ってくる。ふんわり香る上品で爽やかな璃央のにおいも、全身を包んでくれる暖かさも、少し速い鼓動も、璃央の隣は心地よくて安心する。
*
……和真はすうすうと規則正しい寝息を立てはじめた。オレも一緒に寝れればよかったけど……こんな状況で寝れるわけねーだろ。和真のベッドで和真を抱きしめて和真の匂いでいっぱいで、はいおやすみ、って寝れるわけねーだろ。
正直、熱出して弱った和真が思ったよりエロかった。病人をエロい目で見るのはどうかと思うけど、これは不可抗力ってやつだ。顔は赤いし、へにゃって笑うし、口調もふわふわしてるし、あんま頭回らないからか甘えてくるし……いつもオレが甘えてるけど、甘えられるのもいいな。苦しそうな和真には悪いけど、いつもと違う良さがある。
あー……興奮して勃ちそ……マジで勃つわ……でも病人相手はよくねぇ。我慢だ。天井に貼られたポスターの憎き女(めるちゃん)にガン飛ばしていれば……つか、めるちゃんとすげえ目ぇ合うな。こんな視界で寝てんのかよ。いつかオレのポスター作ってすり替えてやろうか。
その時、和真がさらに身を寄せて頭を擦り付けてきた。んでスウ……と大きく息を吸われた。
「ん……りお、いいにおい……」
勃った。
マジでなんだよ、こいつ……可愛すぎてムカついてきた……こっちはすっげー我慢してんだよ、なんも知らん顔して寝やがって……! いやいや、落ち着け。今ヤるわけにはいかねえ。我慢だ。いっぱい寝て治してもらわねーと。紳士なオレに感謝しろよ。
とりあえずちんこが痛い。トイレで抜いてこようと体を起こそうとした……
が。
「……まって……りお……」
寝てるくせに腕を回してきて、抱き枕にされてしまった。オレが抱きしめるばっかで、こんなことあんまりないのに……ラッキーがすぎる。
そうじゃねえ、動くに動けなくなった! せっかく抜いてこようとしたのに!
「くっそ……お前のせいだからな……!」
手の届く範囲に、ティッシュがあってよかった。
*
数時間後……
「んあ……いまなんじ……?」
「17時前……」
和真が何も知らない顔して起きるから、オレは病人で抜いてしまった罪悪感でいっぱいだ。
「なんかよく寝れたわ……」
「だな。ぐっすりだったぞ」
「朝より良くなったよ。璃央のおかげだな」
「……おう」
罪悪感でいっぱいだ……
その後、木山家で晩飯までごちそうになった。
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