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恋人編ー3年生前期
オレに看病させろ!①
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ゴールデンウイークから2週間経った週末。今週も璃央はこっちに帰ってきた。
今回も友達の家に泊まると嘘をついてホテルに来た。ごめんなさい、母さん。ヤることヤり終えて、シャワーを浴びてベッドに潜る。今日もめちゃくちゃ激しく求められて体力は限界だけど、引っ付いてきた璃央は幸せそうだ。だからいっか……と許してしまう。
「璃央、あれだけ春休み離れるときぐずってたけど、けっこう頻繁に帰ってくるよな」
「お前に会わないとストレス溜まって仕方ねぇからな。和真も嬉しいだろ?」
自信満々に言われたが、本当にその通りだ。「そりゃあな」と返すと璃央はうんうんと頷いた。
「それに、ストレス以外にも溜まるもんは溜まるだろ」
「だから最近さらに激しいのか……お、オナったりとかは……?」
「……和真は?」
璃央が質問を質問で返してくるときは、言うのが恥ずかしい時だ。んなの、俺だって言うの恥ずいわ。返す言葉に詰まり目を逸らすと、璃央は何かを感じ取って、ピン!と背筋を伸ばした。
「まさかオレ以外でオナったりしてねぇよな!? めるちゃんとか、他の推しの女とか!」
「俺は推しをそういう目で見ない主義なんだよ! 純粋な姿が好きなの!」
「ほーん、じゃあどうやって発散してんだ。年頃の成人男性が2週間もエロいこと我慢できるわけねーだろ?」
聞いてることは下ネタなのに、綺麗な瞳でじっと見つめられて困る。つくづく俺は璃央のこの視線に弱いなあと思う……
「……可愛い璃央の写真を見て抜いてます……」
「それならよし」
満足そうに鼻を鳴らした璃央は俺を抱きしめて目をつむった。こいつ、俺の話だけうまく聞き出して、この話をうやむやにしようとしている。これは何かを隠している。前にカラオケ行った後に俺の動画で抜くとか言ってたけど……いつもはどうしてるんだ。
「待て、寝るな。俺は言ったんだから、璃央のも聞かないと不公平だ」
「前に言ったろ、お前の動画をオカズにするって」
「本当にそんだけかぁ……!?」
顔をしかめてみせると璃央はギクリと固まって唸った。少しの葛藤のあと、きまり悪そうに口を開いた。
「……和真の秘蔵写真フォルダがある」
「は?」
「高校ん頃から今までの間、撮り溜めたやつ」
「は?」
「それ使ってる」
「は? いつどこで撮ってた?」
「教えねー」
マジで全く気づかなかった。水戸が「璃央は隙あらば木山のこと見てた」って言ってたけど……璃央が盗撮を……そんな変態っぽい特性(?)があったとは、衝撃だ……
「初めて抜いたのは中学生でそれも和真だし、童貞捨てたのは、別のやつ、だけど……誰とセックスしようが和真のこと思い浮かべながらしたし、ほぼ毎日和真で抜いてんだよこっちは!」
「そ、そこまで言えとは言ってないんだけど!?」
「ずっとお前の声を録音しときたいぐらいだわ! やってねぇけど!」
よかった……やってなかった……
「重くて悪かったな。引いたろ……」
ムキになって喋るだけ喋って、しょんぼりしてる……語りすぎて後悔するオタクみたいになってる……
「いや、俺もめるちゃんや他の推しのキャラがひと言喋るだけでスクショ撮ってるし、動画も撮るし、CDやASMRも買うし、俺だってそんくらいするよ」
「そこは『俺も璃央の写真撮って声録音したいよ』って言うとこだろ。フォローがクソ下手だな」
「すみません……」
急に辛辣になった……ほんとに態度がコロコロとよく変わるよ……
カミングアウトひとつひとつ、思ったよりも重たかったし、恥ずかしいけど、そんなに俺のことが好きなのかと知れてじわじわ嬉しさがこみあげてくる。
「でもやっぱ、自分で抜くより和真とヤるほうが何万倍も気持ちいいし……我慢なんてできねぇだろ」
「そ、それは俺も……」
「よかった。また早いうちに帰ってくるわ。正直2週間が限界」
甘い蜜の存在を知ってしまうと我慢はできないわけで。実は最近オナってると腹の中うずいて尻まで触っちゃうし……それでも璃央のじゃないと本気で満足できなくて、割と困ってるから、璃央が帰ってきてくれて嬉しい。これはさすがに言えないけど……
「んで、えーえす?なんとかって何だ?」
「あっ……えっとぉ、それは……内緒」
「はぁ? 気になるな……」
璃央は枕元のスマホを手に取り、検索し始めた。
「だ、だめ! 待て!」
「えー、えす……あ、出てきた。ASMR、これか」
スマホを奪おうとしても素早さで璃央に勝てるわけはなく、簡単に検索されてしまった。絶対、疑われる。俺が買ってるのは健全なやつなのに……!
「自律感覚絶頂反応……!? エロいやつかぁ……!?」
「ちが、俺は健全なやつしか買ってない!」
「めるちゃんのエロいボイスで抜いてんのか!」
「ライルセはまだそこまでデカいジャンルじゃない! いずれ出たらいいなって思ってるけど……」
「俺で抜いてるって言ったのに! 和真のアホ!」
「誤解だって!」
*
そんなやり取りをした1週間後、今週の土曜日も璃央が帰ってくる。
……のだが。
「さ、寒い……」
土曜の朝起きると、異常な悪寒がした。もうそろそろ暑くなってくるころなのに。絶対熱出てると確信して体温を測ると38度以上。咳は出ないし季節の変わり目のせいかな……
それよりも璃央に連絡しないと、今の時間だと家を出るか出ないかギリギリの時間だ。
「あっ、璃央、もう家出た!?」
『いんや? 今からだけど』
「あの、今起きたら熱出てて……」
『は!? 熱!?』
「どこも行けそうにないし、その、セックスもできそうじゃないし……ごめんけど今日は」
『行くに決まってんだろ、アホ!』
電話越しにガチャガチャとドアを開けて鍵をかける音がする。
「いやでも、俺寝てるしかできないし、来てもらうの悪いって!」
『おばさんは家いるのか?』
「昼間はパートで出るはず……」
『んじゃ、なおさらだ。オレが看病してやる。待ってろ』
有無を言わせず、電話が切られた。
母さんに熱が出たことと璃央が来ること言っとかないと……
今回も友達の家に泊まると嘘をついてホテルに来た。ごめんなさい、母さん。ヤることヤり終えて、シャワーを浴びてベッドに潜る。今日もめちゃくちゃ激しく求められて体力は限界だけど、引っ付いてきた璃央は幸せそうだ。だからいっか……と許してしまう。
「璃央、あれだけ春休み離れるときぐずってたけど、けっこう頻繁に帰ってくるよな」
「お前に会わないとストレス溜まって仕方ねぇからな。和真も嬉しいだろ?」
自信満々に言われたが、本当にその通りだ。「そりゃあな」と返すと璃央はうんうんと頷いた。
「それに、ストレス以外にも溜まるもんは溜まるだろ」
「だから最近さらに激しいのか……お、オナったりとかは……?」
「……和真は?」
璃央が質問を質問で返してくるときは、言うのが恥ずかしい時だ。んなの、俺だって言うの恥ずいわ。返す言葉に詰まり目を逸らすと、璃央は何かを感じ取って、ピン!と背筋を伸ばした。
「まさかオレ以外でオナったりしてねぇよな!? めるちゃんとか、他の推しの女とか!」
「俺は推しをそういう目で見ない主義なんだよ! 純粋な姿が好きなの!」
「ほーん、じゃあどうやって発散してんだ。年頃の成人男性が2週間もエロいこと我慢できるわけねーだろ?」
聞いてることは下ネタなのに、綺麗な瞳でじっと見つめられて困る。つくづく俺は璃央のこの視線に弱いなあと思う……
「……可愛い璃央の写真を見て抜いてます……」
「それならよし」
満足そうに鼻を鳴らした璃央は俺を抱きしめて目をつむった。こいつ、俺の話だけうまく聞き出して、この話をうやむやにしようとしている。これは何かを隠している。前にカラオケ行った後に俺の動画で抜くとか言ってたけど……いつもはどうしてるんだ。
「待て、寝るな。俺は言ったんだから、璃央のも聞かないと不公平だ」
「前に言ったろ、お前の動画をオカズにするって」
「本当にそんだけかぁ……!?」
顔をしかめてみせると璃央はギクリと固まって唸った。少しの葛藤のあと、きまり悪そうに口を開いた。
「……和真の秘蔵写真フォルダがある」
「は?」
「高校ん頃から今までの間、撮り溜めたやつ」
「は?」
「それ使ってる」
「は? いつどこで撮ってた?」
「教えねー」
マジで全く気づかなかった。水戸が「璃央は隙あらば木山のこと見てた」って言ってたけど……璃央が盗撮を……そんな変態っぽい特性(?)があったとは、衝撃だ……
「初めて抜いたのは中学生でそれも和真だし、童貞捨てたのは、別のやつ、だけど……誰とセックスしようが和真のこと思い浮かべながらしたし、ほぼ毎日和真で抜いてんだよこっちは!」
「そ、そこまで言えとは言ってないんだけど!?」
「ずっとお前の声を録音しときたいぐらいだわ! やってねぇけど!」
よかった……やってなかった……
「重くて悪かったな。引いたろ……」
ムキになって喋るだけ喋って、しょんぼりしてる……語りすぎて後悔するオタクみたいになってる……
「いや、俺もめるちゃんや他の推しのキャラがひと言喋るだけでスクショ撮ってるし、動画も撮るし、CDやASMRも買うし、俺だってそんくらいするよ」
「そこは『俺も璃央の写真撮って声録音したいよ』って言うとこだろ。フォローがクソ下手だな」
「すみません……」
急に辛辣になった……ほんとに態度がコロコロとよく変わるよ……
カミングアウトひとつひとつ、思ったよりも重たかったし、恥ずかしいけど、そんなに俺のことが好きなのかと知れてじわじわ嬉しさがこみあげてくる。
「でもやっぱ、自分で抜くより和真とヤるほうが何万倍も気持ちいいし……我慢なんてできねぇだろ」
「そ、それは俺も……」
「よかった。また早いうちに帰ってくるわ。正直2週間が限界」
甘い蜜の存在を知ってしまうと我慢はできないわけで。実は最近オナってると腹の中うずいて尻まで触っちゃうし……それでも璃央のじゃないと本気で満足できなくて、割と困ってるから、璃央が帰ってきてくれて嬉しい。これはさすがに言えないけど……
「んで、えーえす?なんとかって何だ?」
「あっ……えっとぉ、それは……内緒」
「はぁ? 気になるな……」
璃央は枕元のスマホを手に取り、検索し始めた。
「だ、だめ! 待て!」
「えー、えす……あ、出てきた。ASMR、これか」
スマホを奪おうとしても素早さで璃央に勝てるわけはなく、簡単に検索されてしまった。絶対、疑われる。俺が買ってるのは健全なやつなのに……!
「自律感覚絶頂反応……!? エロいやつかぁ……!?」
「ちが、俺は健全なやつしか買ってない!」
「めるちゃんのエロいボイスで抜いてんのか!」
「ライルセはまだそこまでデカいジャンルじゃない! いずれ出たらいいなって思ってるけど……」
「俺で抜いてるって言ったのに! 和真のアホ!」
「誤解だって!」
*
そんなやり取りをした1週間後、今週の土曜日も璃央が帰ってくる。
……のだが。
「さ、寒い……」
土曜の朝起きると、異常な悪寒がした。もうそろそろ暑くなってくるころなのに。絶対熱出てると確信して体温を測ると38度以上。咳は出ないし季節の変わり目のせいかな……
それよりも璃央に連絡しないと、今の時間だと家を出るか出ないかギリギリの時間だ。
「あっ、璃央、もう家出た!?」
『いんや? 今からだけど』
「あの、今起きたら熱出てて……」
『は!? 熱!?』
「どこも行けそうにないし、その、セックスもできそうじゃないし……ごめんけど今日は」
『行くに決まってんだろ、アホ!』
電話越しにガチャガチャとドアを開けて鍵をかける音がする。
「いやでも、俺寝てるしかできないし、来てもらうの悪いって!」
『おばさんは家いるのか?』
「昼間はパートで出るはず……」
『んじゃ、なおさらだ。オレが看病してやる。待ってろ』
有無を言わせず、電話が切られた。
母さんに熱が出たことと璃央が来ること言っとかないと……
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