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第二章 一品目 ”ぽろぽろ”ごはん
15 ”ぽろぽろ”と、まだ一つ……!
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「さあ天ちゃん、召し上がれ……!」
竹志が皿を提供すると、天はほぅっと感嘆の息をついて、三色丼を眺めていた。香りを、三色の彩りを、温かな湯気を堪能している。
どうも満足している様子に、竹志も奈々も少し安心した。そして、奈々がそっと尋ねてみる。
「天ちゃん、どう? これ、天ちゃんが言うてた『ぽろぽろ』?」
「ううん」
天は、ニコニコしながらも大きく首を横に振った。
竹志と奈々、そして傍にいた野保までもががっくりと項垂れてしまった。
「ち、違うの……?」
泣き出しそうな竹志の声に、天はきっぱりと「うん」と言った。
「おばちゃんの『ぽろぽろ』は黄色とか緑とか、なかった。茶色だけ」
「……ああ、三色丼じゃなかったんだ」
どうも、ただのそぼろ丼だったらしい。それならば、ちょっとアレンジしたということで、なんとかなるだろうか。そう思ったその時……天は言った。
「あとな、おばちゃんの『ぽろぽろ』な、もっとびよーんてした」
「……び、びよーん?」
また、新たな擬音語が出現した……。竹志だけではなく、野保も晶も、全員が首を捻って『びよーん』とやらについて唸りながら考え込んだ。
「もう……天ちゃん、いい加減にしぃ。一生懸命作ってくれはったんやから」
「でも『ぽろぽろ』作ってくれるって言った」
「ちゃんと『ぽろぽろ』載ってるやろ。何なん、びよーんて」
奈々は必死にこの一皿で納得させようとしてくれている。だが、確かに天の言う通りだ。竹志が自分で言ったのだ。晩ご飯に、天が食べたいと言った『ぽろぽろ』を作ると。
竹志は、もう一度考え込んだ。
『茶色』はあると言った。ということは、半分は正解なのだろう。ご飯にそぼろが載っている……そこまでは。天が作った粘土のご飯でも、茶色い細かいものが載っていた。そういえば、粘土では、もう一つあった。ご飯に『ぽろぽろ』を載せて、その上に更に白い粘土を載せていた。
「あれが『びよーん』? てことは、もしかして……!」
竹志の頭の中で、急速に天の作った粘土と証言が結びついていく。
「天ちゃん、このお皿、ちょっとだけもらっていい?『びよーん』を足してくるから」
「……黄色と緑は? 食べたい」
「え、ああ……じゃあ避けとくね」
天が食べやすいように用意していたもう一つの小さな取り皿に、卵とほうれん草をとりわけ、丼にしていた皿にはご飯とそぼろだけになった。
竹志はその皿を持って台所に向かった。
すぐに耐熱皿を取り出して、中身を移し替える。そして冷蔵庫から小さな袋を取り出し、耐熱皿のそぼろ丼にパラパラとふりかけた。そぼろ丼を覆うくらいにそれを載せると、トースターに皿を入れ、五分にセットした。
セットしたら、トースターはすぐに真っ赤になった。高熱で一気に熱されているとわかる。庫内のそぼろ丼は、上にかかった白いものと見る見る間に溶け合っていく。最初は個体だったそれが、形をなくしてとろっと変わっていくのを、祈るような気持ちで竹志は見守った。
五分は、あっという間だった。
チンと、甲高い音が出来上がりを知らせる。蓋を開けて、皿を取り出すと、こんがり香ばしい香りがした。真っ白い……チーズが焦げ目をつけたり、溶けたりしながらそぼろ丼に覆い被さっている。
キッチンミトンでそっと取り出し、落とさないように気をつけながら、リビングで待つ天のもとに運ぶ。
目の前に置くと、天の目が一際輝いた。聞かなくても、わかった。
これこそが彼の求めていた『ぽろぽろ』だったのだと。
「よし、今度こそ召し上がれ。『ぽろぽろドリア』だよ」
竹志が皿を提供すると、天はほぅっと感嘆の息をついて、三色丼を眺めていた。香りを、三色の彩りを、温かな湯気を堪能している。
どうも満足している様子に、竹志も奈々も少し安心した。そして、奈々がそっと尋ねてみる。
「天ちゃん、どう? これ、天ちゃんが言うてた『ぽろぽろ』?」
「ううん」
天は、ニコニコしながらも大きく首を横に振った。
竹志と奈々、そして傍にいた野保までもががっくりと項垂れてしまった。
「ち、違うの……?」
泣き出しそうな竹志の声に、天はきっぱりと「うん」と言った。
「おばちゃんの『ぽろぽろ』は黄色とか緑とか、なかった。茶色だけ」
「……ああ、三色丼じゃなかったんだ」
どうも、ただのそぼろ丼だったらしい。それならば、ちょっとアレンジしたということで、なんとかなるだろうか。そう思ったその時……天は言った。
「あとな、おばちゃんの『ぽろぽろ』な、もっとびよーんてした」
「……び、びよーん?」
また、新たな擬音語が出現した……。竹志だけではなく、野保も晶も、全員が首を捻って『びよーん』とやらについて唸りながら考え込んだ。
「もう……天ちゃん、いい加減にしぃ。一生懸命作ってくれはったんやから」
「でも『ぽろぽろ』作ってくれるって言った」
「ちゃんと『ぽろぽろ』載ってるやろ。何なん、びよーんて」
奈々は必死にこの一皿で納得させようとしてくれている。だが、確かに天の言う通りだ。竹志が自分で言ったのだ。晩ご飯に、天が食べたいと言った『ぽろぽろ』を作ると。
竹志は、もう一度考え込んだ。
『茶色』はあると言った。ということは、半分は正解なのだろう。ご飯にそぼろが載っている……そこまでは。天が作った粘土のご飯でも、茶色い細かいものが載っていた。そういえば、粘土では、もう一つあった。ご飯に『ぽろぽろ』を載せて、その上に更に白い粘土を載せていた。
「あれが『びよーん』? てことは、もしかして……!」
竹志の頭の中で、急速に天の作った粘土と証言が結びついていく。
「天ちゃん、このお皿、ちょっとだけもらっていい?『びよーん』を足してくるから」
「……黄色と緑は? 食べたい」
「え、ああ……じゃあ避けとくね」
天が食べやすいように用意していたもう一つの小さな取り皿に、卵とほうれん草をとりわけ、丼にしていた皿にはご飯とそぼろだけになった。
竹志はその皿を持って台所に向かった。
すぐに耐熱皿を取り出して、中身を移し替える。そして冷蔵庫から小さな袋を取り出し、耐熱皿のそぼろ丼にパラパラとふりかけた。そぼろ丼を覆うくらいにそれを載せると、トースターに皿を入れ、五分にセットした。
セットしたら、トースターはすぐに真っ赤になった。高熱で一気に熱されているとわかる。庫内のそぼろ丼は、上にかかった白いものと見る見る間に溶け合っていく。最初は個体だったそれが、形をなくしてとろっと変わっていくのを、祈るような気持ちで竹志は見守った。
五分は、あっという間だった。
チンと、甲高い音が出来上がりを知らせる。蓋を開けて、皿を取り出すと、こんがり香ばしい香りがした。真っ白い……チーズが焦げ目をつけたり、溶けたりしながらそぼろ丼に覆い被さっている。
キッチンミトンでそっと取り出し、落とさないように気をつけながら、リビングで待つ天のもとに運ぶ。
目の前に置くと、天の目が一際輝いた。聞かなくても、わかった。
これこそが彼の求めていた『ぽろぽろ』だったのだと。
「よし、今度こそ召し上がれ。『ぽろぽろドリア』だよ」
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