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第1章 荷物運びの(魔)王様
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ライたちの住む北側の国と違い、ここ南の諸国は魔力濃度が低い。つまり、漂う魔力が薄く、少ない。
よってそこで暮らす人々も、魔力には疎く、扱いに長けた者はほぼいないと聞いている。
ライがこれまで仕事で赴いた街はどこも洗練された印象ではあるが、魔力についての知識や認識は皆無に近かった。
こんな風に、何かを魔力で封じ込めようという発想そのものが、ないだろう。
(この中にいるのは、何だ……?)
気のせいか、箱の中のモノが先ほどよりもガタガタと動いている。
威嚇しているのかと思ったが、少し様子が違う気がしていた。
(これは……もがいている?)
音は聞こえない。箱の中の音は外には届かないのだ。だが、動きまでは封じられない。
さっきから小刻みに動いていたのが、だんだんと大きく、荒い動きへと変わっている。
中にいるモノが抵抗しているかもがいているか、いずれかで激しい動きをしているのは確かだ。
(まさか……な)
ライの中で、直感が働いた。
魔力の張り巡らされた檻に閉じ込められた生物――確信はないが、ライの思いつく限りは、一つしかなかった。
「待ってろよ、すぐに助けてやる」
そう呟いた途端、ベルリが立ち止まり、くるりと振り返った。
「何か?」
「いや何も」
ライが首を横にふると、ベルリは再び歩き出した。
道はどこまでも続いていた。先ほどいた場所から、随分歩いたように思う。こんな目立つ割に隠したい大荷物を運ぶ距離としてはかなり長い。
しかも暗い。さっきの部屋と同じく、灯りが一つもない真っ暗な通路だ。
案内されてはいるが、たどり着くまでの道のりを曖昧にぼかされている。そう感じた。
だからこそ、箱の中身に確信が持てる。
(この中にいるのは、ただの生き物じゃない)
獰猛な獣か、稀少な生物か、はたまた海の向こうから取り寄せた真新しい珍獣か――ライの直感では、箱の中にいるのは、そのどれでもない。
どれもこれも、魔力で封じ込める必要などないからだ。
こんな土地で、魔力を駆使してまで閉じ込めておきたいものといえば――
よってそこで暮らす人々も、魔力には疎く、扱いに長けた者はほぼいないと聞いている。
ライがこれまで仕事で赴いた街はどこも洗練された印象ではあるが、魔力についての知識や認識は皆無に近かった。
こんな風に、何かを魔力で封じ込めようという発想そのものが、ないだろう。
(この中にいるのは、何だ……?)
気のせいか、箱の中のモノが先ほどよりもガタガタと動いている。
威嚇しているのかと思ったが、少し様子が違う気がしていた。
(これは……もがいている?)
音は聞こえない。箱の中の音は外には届かないのだ。だが、動きまでは封じられない。
さっきから小刻みに動いていたのが、だんだんと大きく、荒い動きへと変わっている。
中にいるモノが抵抗しているかもがいているか、いずれかで激しい動きをしているのは確かだ。
(まさか……な)
ライの中で、直感が働いた。
魔力の張り巡らされた檻に閉じ込められた生物――確信はないが、ライの思いつく限りは、一つしかなかった。
「待ってろよ、すぐに助けてやる」
そう呟いた途端、ベルリが立ち止まり、くるりと振り返った。
「何か?」
「いや何も」
ライが首を横にふると、ベルリは再び歩き出した。
道はどこまでも続いていた。先ほどいた場所から、随分歩いたように思う。こんな目立つ割に隠したい大荷物を運ぶ距離としてはかなり長い。
しかも暗い。さっきの部屋と同じく、灯りが一つもない真っ暗な通路だ。
案内されてはいるが、たどり着くまでの道のりを曖昧にぼかされている。そう感じた。
だからこそ、箱の中身に確信が持てる。
(この中にいるのは、ただの生き物じゃない)
獰猛な獣か、稀少な生物か、はたまた海の向こうから取り寄せた真新しい珍獣か――ライの直感では、箱の中にいるのは、そのどれでもない。
どれもこれも、魔力で封じ込める必要などないからだ。
こんな土地で、魔力を駆使してまで閉じ込めておきたいものといえば――
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