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鰻の館
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とある運命共同体の
鰻の養殖で生計を立てる
人びとの館
白くて酷い殻を破って
真緑の鰻が出てくるも
すぐに黒くなるから
鰻
プラスティックの
容器に入ってうねうね
お魚とも言い難いが
天然物は美味
だが養殖も丁寧
蒲焼きセイロ
秘伝のタレよ
といってもその
共同体が鰻料理を
出しているわけではなく
主に街の鰻屋に
卸している
でも時々夕食が鰻だ
タレは適当に作るらしい
畳のそそけた
六畳間に女が二人寝る
板張りの部屋には
二段ベッドが二つ
男の若いのが四人寝る
その他
一人で寝るのもいた
ハンモックがぶら下がる
コンクリままの台所
それと食堂
裏に葱、紫蘇などの薬味が
栽培されていて
食卓を和ます
全部で何人の住人が
いるのかわからない
鰻はうねうね
人は千九百六十年代の
顔と服飾をしている
何かしら教義があるのかと
身構えたが特にはなく
宗教でも政治でもなかった
ただ、
見捨てられた
あるいは見限った
精神科系のヤマイの人びと
だってさ
精神病に
クスリは漢方の
怪しいやつをのんでるし
釜で炊く
白飯が臭い
ボロい木造の平屋の館
入口横に鶏
卵を産ませて食べる
台風で
瓦が飛んだところは
ブルーシートに覆われたきり
直す気もなく
車は軽トラが一台
鰻を運ぶ
その他街への買い物に
使用されている
運転できるのは
一人だけ
その人が仕切ってる
生活共同体
テレビもラジオも新聞も
なく
質流れの碁盤と碁石で
五目並べが白熱する
花札
トランプ
などもある
皆が安らぐ部屋は
ソファがでたらめに配置され
そこに腰かけて
本を読むのだ
意外と東野圭吾、とか
街の図書館で
週一、十冊ほど借りてくる
日本の作家の
小説を
何が楽しくて
鰻でやってくんだろう
夕食をすすめられて
全力で断った
はあ
気持ち悪い鰻に
臭い飯など
たまらんわ
軽トラで二十分
街につく
街の中ほどに住んでるので
家まで送ってもらった
部屋に帰って
テレビをつけた
わけの分からぬ歌番組に
なぜだか凄く
安堵した
間違いなく
馴染みのある
二千二十数年の日本だ
冷蔵庫から
よく冷えた缶ビールを取り出し
一口飲んだら
めちゃくちゃ美味しくて
もしかしたら
もう鰻を敢えて食べることは
ないかも、
と
思ったりした
鰻の養殖で生計を立てる
人びとの館
白くて酷い殻を破って
真緑の鰻が出てくるも
すぐに黒くなるから
鰻
プラスティックの
容器に入ってうねうね
お魚とも言い難いが
天然物は美味
だが養殖も丁寧
蒲焼きセイロ
秘伝のタレよ
といってもその
共同体が鰻料理を
出しているわけではなく
主に街の鰻屋に
卸している
でも時々夕食が鰻だ
タレは適当に作るらしい
畳のそそけた
六畳間に女が二人寝る
板張りの部屋には
二段ベッドが二つ
男の若いのが四人寝る
その他
一人で寝るのもいた
ハンモックがぶら下がる
コンクリままの台所
それと食堂
裏に葱、紫蘇などの薬味が
栽培されていて
食卓を和ます
全部で何人の住人が
いるのかわからない
鰻はうねうね
人は千九百六十年代の
顔と服飾をしている
何かしら教義があるのかと
身構えたが特にはなく
宗教でも政治でもなかった
ただ、
見捨てられた
あるいは見限った
精神科系のヤマイの人びと
だってさ
精神病に
クスリは漢方の
怪しいやつをのんでるし
釜で炊く
白飯が臭い
ボロい木造の平屋の館
入口横に鶏
卵を産ませて食べる
台風で
瓦が飛んだところは
ブルーシートに覆われたきり
直す気もなく
車は軽トラが一台
鰻を運ぶ
その他街への買い物に
使用されている
運転できるのは
一人だけ
その人が仕切ってる
生活共同体
テレビもラジオも新聞も
なく
質流れの碁盤と碁石で
五目並べが白熱する
花札
トランプ
などもある
皆が安らぐ部屋は
ソファがでたらめに配置され
そこに腰かけて
本を読むのだ
意外と東野圭吾、とか
街の図書館で
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日本の作家の
小説を
何が楽しくて
鰻でやってくんだろう
夕食をすすめられて
全力で断った
はあ
気持ち悪い鰻に
臭い飯など
たまらんわ
軽トラで二十分
街につく
街の中ほどに住んでるので
家まで送ってもらった
部屋に帰って
テレビをつけた
わけの分からぬ歌番組に
なぜだか凄く
安堵した
間違いなく
馴染みのある
二千二十数年の日本だ
冷蔵庫から
よく冷えた缶ビールを取り出し
一口飲んだら
めちゃくちゃ美味しくて
もしかしたら
もう鰻を敢えて食べることは
ないかも、
と
思ったりした
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