現代摩訶不思議詩集

yoh_okazaki

文字の大きさ
14 / 21

ノスタルジックフラワー

しおりを挟む
悲しいときには太陽もなく
夜が来ても月もなかった
闇の中
それだけが頼りだった
心もとない星くずの
集まったところに咲く
淡いひかりの
ノスタルジックフラワー

どんな人生もあるけれど
孤独ならもう少し布がほしい
まとってまもる布がほしい
よわい光の窓辺にだけ
咲くうすい色した
ノスタルジックフラワー

わたしは何をまちがったの
こんなにこんなに一人きり
わたしです
親、というのは見届けるもの
わたしを
親、の希望にしちゃだめだった
わたしは
親、が死んだら何のため
生きてるんだかわからない
でもたぶん
墓石に供える
なかなか枯れない
ノスタルジックフラワー

さあ楽しいことをしよう
きっと愉快な気分だよ
そうして行ったパラダイス
ハリボテのケバい音楽横丁
爆音と人の揺れ揺れ
ヤニとエアコンのニオイにやられ
うすいうすいういすきー
これで千円するんだもの
水商売ってもうかるね
カウンターに活けてあった
やっばりケバい
ノスタルジックフラワー

とめどなくあふれる言葉
わたしのありあまる才能に
みんな、あ然としていました
生きてる意味からして
たぶんちがったのだろうと
噂される始末
そんな時代もあったなあ
わたしはもう
卵を持たない
ノスタルジックフラワー

ひと一人で生きる強さ
信じているものはないが
風にしなう竹のように
どんな北風にも飛ばされず
太陽のぬくもりをうけて
道ばたに咲くのも
ノスタルジックフラワー

いつだって自分の
思い通りになんて
なるわけがないけど
あなた方の思うようにも
わたしはならないの
せいぜい今のうちに
笑っていてくれ
わたしなんか
崖っぷちに咲く
ノスタルジックフラワー

おふとんの中のパラダイス
踊っているのが天使なら
あなたももはや天国行きの
チケットを手にしたんだよ
さよならさよなら
別れはつらいけど
またいつか会ったら
散歩でもしたいな
多分そこにも咲く
色鮮やかな
ノスタルジックフラワー
ノスタルジックフラワー

どうしょうもないくらい
好きでした
あなたのことを
思うだけで心が
あたたかい
どんなさみしい夜も
痛い雨も
お腹空いても
あなたがいてくれるから
のりこえてきた、あるいは
よけてきた
すすんだことにはちがいなく
うしろには道ができていた

とうめいなそら
なみだ、かなしみは
きっと目には見えなくても
そこにあるもの
わたしが見えますか?
両手にかかえた
めいいっぱいの
ノスタルジックフラワー

振り返ってみる
まちがいもごまかしもある
ただの色にしか見えなくても
ちゃんと意味があるのです

ここでこのお話は
終わりになりそうです
最後まで
1DKのせまい
シンクの中で咲いていた
ノスタルジックフラワー
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...