憂い視線のその先に

雪村こはる

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視線の先

06

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 そこで律と出会ったのだが、千愛希は彼に出会って人生初の挫折を味わった。学力では誰にも負けない自信があった。同級生が誰も知らないパソコンの技術を身に付けていると自負もあった。
 けれど、どんなに努力しても律にだけは勝てなかった。

 忌々しい男。遠くから守屋律の姿を見る度にそう思っては、下唇を噛んで屈辱に耐える日々。
 学年1位の成績に加えて、律は校内でも有数の美少女でさえも振り返るほどの美形だった。
 艶のある髪は流れるように美しく、ほとんど左右均等に整った目は彫刻のよう。決め細やかな肌に、血色の良い唇。
 その長身がなければ、女性と間違われてもおかしくないほど中性的な顔立ちをしていた。それは、母親の血が大きく関係している。

 高校2年になる頃には、身長は180cmを超えていたし、運動神経だって抜群だった。
 モデル体型に、整った顔立ち。それから類い稀な頭脳。両親の秀でた部分を全て受け継いだ、いわゆる『完璧』と言われる存在だった。

 他人が羨むものを全て手にしている律。そんな律のことが千愛希は嫌いだった。律の姿を見る度、優れていると悦に入っていた自分がとんでもなく惨めに思えたから。

 在学中に一度だっていい、律の成績を塗り替えてやる! そう思っていたのに結局それは叶わないまま、高校を卒業した。
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