憂い視線のその先に

雪村こはる

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初恋

06

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 律と周の妹である奏が2人の結婚を反対したことが始まりだった。以前、奏が紹介した女性が原因で周がトラブルに巻き込まれたことから、周に近付く女をよく思っていなかった奏。その相手が5つも年上だと知ったら余計に面白くなかった。
 当時23歳だった奏はまだ人間として未熟だった。心優しい部分はありながら、上手に感情をコントロールできず、まどかを罵ったのだ。

 大体の女性は奏にここまで言われたら泣きながら去っていくのに、彼女はそうしなかった。真っ向から奏と向き合い、説教までしたのだ。
 異性の兄弟がいないまどかにとって性別問わず仲良くできる存在は素晴らしいものだった。大黒柱として威張っている父と、何でも「はいはい」と言っていうことを聞く母。そんな両親にほとほと嫌気がさして「結婚なんかしない」そう口にしてさっさと家を出た姉。決して悪くはないが、良いともいえない家族仲。姉とは仲が良くても、両親とはなんとなく溝がある。
 けれど守屋家の家族は皆仲良く見えた。その仲で奏だけが祖母に悪態をついたり、家族に心ない言葉を浴びせたりしたものだから、まどかはそれが許せなかったのだ。
 律や周に対しては、慕っている雰囲気はあるものの、2人の面子も気にせず客人にくってかかる様子も理解し難いものがあった。

 いくら結婚するとはいえ、まだ他人の家族なんだから放っておけばいいのに。そう思う律だったが、まどかのちゃんと1人の人間と向き合おうとする姿勢は自分にはないもののように思えた。

 律にとって昔の記憶は嫌なものばかりだ。女性は自分の見た目と経済力に興味があるだけだし、自分を嫌っている者からはわかりやすいほどの嫌悪を感じる。
 純粋に慕ってくれ、人として扱ってくれる家族や友人は大切にするが、自分を敵と見なしている人物とはそれ以上深入りする気などなかった。
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