憂い視線のその先に

雪村こはる

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見据える未来、払拭できない過去

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 北山紗奈! そうか……そこだ。

 律は両指を素早く動かして、フォルダを開けた。そこにあったのだ。曽根紗奈の名前が。現在は北山紗奈という芸名で女優として活躍している。
 まどかが周と付き合う前に付き合っていた男、雅臣の元婚約者だ。そして、その名前の下には曽根睦月の名前があった。

 ……ここは兄妹だったのか。

 律はぐっと下唇を噛んだ。律は雅臣の詐欺容疑についてクライアントの依頼で調べていた。その延長で辿り着いた情報。
 まどかが雅臣とのトラブルに巻き込まれた際、まどかの弁護士として対応したのは律の父だった。律はあくまでも雅臣の事務所の件についてが担当でまどかとは関係ない。しかし、まどかを傷付けたことは事実だった。

 まどかと付き合っていながら、曽根紗奈とも婚約していた。まどかと別れて紗奈と結婚するつもりだったのだ。
 後に、雅臣の気持ちはまどかだけに向いており、結婚も親が勝手に決めたことだと知ったが、それを知るまでは裏切られたことをひどく悲しんでいたまどか。

 周が支えていなければ、彼女はどうなっていただろうかと思うと、律は今でも胸が苦しくなる。

 紗奈の方も彼女がいるとは知らず、雅臣との結婚を楽しみにしていた。全てが明るみに出てからは、結婚詐欺だと訴訟を起こす動きもあった。
 こちらも被害者とはいえ、彼女の存在でまどかは傷付いたのだ。そして、睦月はその紗奈の兄にあたる。

 あんなところで顔を見ることになるなんてな……。ふーん、曽根睦月ね。それで、千愛希の元婚約者か……。兄妹揃って俺達の周りをうろちょろするつもりか。

 律は氷のように冷たい瞳でパソコン画面をじっと見つめた。
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