170 / 387
変化の理由
08
しおりを挟む
千愛希が不在の間、社長秘書代理がついたのだが、仕事量が膨大でたった3週間ほど離れていただけなのに、更に膨れ上がっていた。
「どうしたらこうなるんですか」
「あー……やっぱり土浦じゃなきゃダメだな。来て3日で根を上げてたよ。二度と秘書代理なんてやりませんって泣かれてさ」
「そんな仕事量を私に押し付けていることをお忘れなく」
「厳しいねぇ。なんだかんだ言ってやれちゃうからね、きみは」
「キャパオーバーです」
千愛希が顔をしかめれば、大崎は肩を揺らして笑っていた。淡々と仕事をこなし、あれから1ヶ月以上経ってようやく仕事量も減りつつあった。
睦月と会うのは1ヶ月振り。配信後、忙しなくしていた睦月を置いて千愛希はさっさと事務所を後にしたのだ。
預かった封筒を持って、歩いて5分圏内の事務所に向かった。千愛希の顔を見た受付の女性がすぐに睦月を呼んだ。
「土浦、わざわざ悪かったな」
「いえ。中身、確認していただいてもよろしいですか」
そう言った千愛希から封筒を受け取る睦月。周りの目があるからか、2人は事務的に会話を続けた。
「大丈夫、全部ある。拓也によろしく言っといてよ」
「はい」
大崎の名前が出てきて、千愛希はふっと頬を緩めた。その美しい微笑みに、睦月は言葉を失った。
先月の最後に会った日、千愛希はすっかり容姿を変えて出勤してきた。日曜日で他の社員はおらず、不具合がないか2人で作業を行った。
その前日までは、睦月のよく知る普段の千愛希だったはずなのに、可愛らしさは息を潜めただただ恐ろしい程の色気を放っていた。
「どうしたらこうなるんですか」
「あー……やっぱり土浦じゃなきゃダメだな。来て3日で根を上げてたよ。二度と秘書代理なんてやりませんって泣かれてさ」
「そんな仕事量を私に押し付けていることをお忘れなく」
「厳しいねぇ。なんだかんだ言ってやれちゃうからね、きみは」
「キャパオーバーです」
千愛希が顔をしかめれば、大崎は肩を揺らして笑っていた。淡々と仕事をこなし、あれから1ヶ月以上経ってようやく仕事量も減りつつあった。
睦月と会うのは1ヶ月振り。配信後、忙しなくしていた睦月を置いて千愛希はさっさと事務所を後にしたのだ。
預かった封筒を持って、歩いて5分圏内の事務所に向かった。千愛希の顔を見た受付の女性がすぐに睦月を呼んだ。
「土浦、わざわざ悪かったな」
「いえ。中身、確認していただいてもよろしいですか」
そう言った千愛希から封筒を受け取る睦月。周りの目があるからか、2人は事務的に会話を続けた。
「大丈夫、全部ある。拓也によろしく言っといてよ」
「はい」
大崎の名前が出てきて、千愛希はふっと頬を緩めた。その美しい微笑みに、睦月は言葉を失った。
先月の最後に会った日、千愛希はすっかり容姿を変えて出勤してきた。日曜日で他の社員はおらず、不具合がないか2人で作業を行った。
その前日までは、睦月のよく知る普段の千愛希だったはずなのに、可愛らしさは息を潜めただただ恐ろしい程の色気を放っていた。
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる