憂い視線のその先に

雪村こはる

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変化の理由

30

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 1月30日 土曜日

 律は、顔をひきつらせてビニール袋を大量に手に提げた周の姿を見ていた。

「今日来るなんて言ってなかったじゃん」

「え? うそ。母さんには言ったよ」

 周からそう言われ、母に視線を移せば「どうせ律は出かけると思って」と悪びれもなく言われた。

「ごめんね、律くん。いつも押しかけてきちゃって」

 まどかだけは申し訳なさそうに眉を下げている。

「いや、別にまどかさんが謝ることじゃ……」

「いつも俺達がいても知らん顔じゃん。何か都合が悪いことでもあんの?」

「別に……なにもないよ。ただ、千愛希が来ることになってるから」

 ふいっと周の視線を逸らした律に、周は「え!? 千愛希さん来るの? 俺、パソコン調子悪くて見てもらいたかったんだよね!」と声を弾ませた。

「お前ね、千愛希は修理屋じゃないんだから」

「下手に修理を頼むより千愛希さんの方が早いんだって」

 完全に頼りきっている物言いに、律は苦い顔をした。まどかと周がくることは千愛希には言っていない。でも、サプライズでまどかに会えたら、千愛希は喜ぶだろうかと律はいつもの千愛希を思い出して頬を緩めた。

 予定の14時ちょうどに玄関のチャイムが鳴った。今か今かと落ち着かない律が、珍しく自ら進んでドアを開けた。

「久しぶり、律」

 にっこり笑った千愛希。艶のある黒髪に、グレーのタートルネックのニット、細身の黒パンツというスタイルだった。腕には茶色のチェックのコートを掛けていた。パンツスタイルが、いつも以上に足の長さを際立たせていた。
 今までまどかの姿を見ていたからか、全く系統の異なる装いに、律は目を奪われ暫く見とれた。
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