236 / 387
勘違いがいっぱい
11
しおりを挟む
開けてもらえばいいのに……。新井以外はそう思うが、本人は実に楽しそうにコルクをいじる。何でも自分でやってみたい。そんな好奇心がまるで子供だと全員が呆れる中、睦月が戻ってきて静かに席に着いた。
千愛希はチラリと視線を感じたが、気付かない振りを通した。それから、飲み会が終わったら話がしたいと律に追加でメッセージを送っておけばよかったと後悔した。
『ポンッ』
大きな音がした途端、千愛希の左鎖骨下に鋭い痛みが走った。撃たれた!? 一瞬そう思ったものの、どうやら原因は新井が飛ばしたコルクのようだった。
「いった……」
激痛、とまではいかないまでも鈍い痛みがズキズキと残る。この男は……と沸々と沸いてくる憤り。
「ご、ごめん! ちーちゃん、大丈夫!?」
慌てた様子で千愛希のもとに駆けてきた新井。他のメンバーも目を丸くさせて腰を上げた。
わたわたと焦る新井が座っていた席で、スパークリングワインが吹き出しテーブルを汚していた。
「大丈夫です……」
「ごめんね、ごめん!」
「大丈夫ですってば」
「でも痛かったよね!? ごめんね、ちーちゃん!」
わぁんと泣き出しそうな新井に千愛希は額に青筋を浮かべ「泣かないで下さい。そもそも子供じゃないんだからもうちょっと落ち着いて食事できないんですか」と唸った。
珍しく怒っている様子の千愛希におう……っと大崎も顔をひきつらせた。
「ちーちゃん……」
「ほら、だから店員に任せておけばよかっただろ」
言わんこっちゃない、と青木が左隣のテーブルを拭きながら言った。あの男の正面に座ったのが間違いだった、と頭を抱える千愛希。
「もういいから、席に戻ってください。お酒は静かに飲みましょうね」
そう千愛希が言うと、新井はしゅんと肩を落としてもといた席にとぼとぼと戻って行った。
千愛希はチラリと視線を感じたが、気付かない振りを通した。それから、飲み会が終わったら話がしたいと律に追加でメッセージを送っておけばよかったと後悔した。
『ポンッ』
大きな音がした途端、千愛希の左鎖骨下に鋭い痛みが走った。撃たれた!? 一瞬そう思ったものの、どうやら原因は新井が飛ばしたコルクのようだった。
「いった……」
激痛、とまではいかないまでも鈍い痛みがズキズキと残る。この男は……と沸々と沸いてくる憤り。
「ご、ごめん! ちーちゃん、大丈夫!?」
慌てた様子で千愛希のもとに駆けてきた新井。他のメンバーも目を丸くさせて腰を上げた。
わたわたと焦る新井が座っていた席で、スパークリングワインが吹き出しテーブルを汚していた。
「大丈夫です……」
「ごめんね、ごめん!」
「大丈夫ですってば」
「でも痛かったよね!? ごめんね、ちーちゃん!」
わぁんと泣き出しそうな新井に千愛希は額に青筋を浮かべ「泣かないで下さい。そもそも子供じゃないんだからもうちょっと落ち着いて食事できないんですか」と唸った。
珍しく怒っている様子の千愛希におう……っと大崎も顔をひきつらせた。
「ちーちゃん……」
「ほら、だから店員に任せておけばよかっただろ」
言わんこっちゃない、と青木が左隣のテーブルを拭きながら言った。あの男の正面に座ったのが間違いだった、と頭を抱える千愛希。
「もういいから、席に戻ってください。お酒は静かに飲みましょうね」
そう千愛希が言うと、新井はしゅんと肩を落としてもといた席にとぼとぼと戻って行った。
0
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる