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勘違いがいっぱい
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「私、飲み会終わったら彼に会ってくる」
「え……?」
「睦月のおかげ」
そう言って微笑んだ千愛希に、睦月はごくりと唾を飲む。
「あ……曽根さん、私先に戻ります」
はっとしたように眉を上げた千愛希は、するりとその腕を抜けて会場に向かった。睦月と一緒に戻ればまた何を言われるかわかったもんじゃない、と足早に上司達のもとに向かった。
相変わらず、会場内は騒がしく広々とした個室の中は笑い声に包まれていた。
「あれ、ちーちゃん睦月と一緒じゃないの?」
新井は可愛らしく小首を傾げる。30代後半にもなって20代前半に見えるのだから、この人はバケモノかと千愛希は思う。
「さっきすれ違いましたよ」
「ふーん。イチャイチャしてたんでしょ」
にこっと笑う新井に、『やめろ』と目で訴える男3人。
「するわけないじゃないですか。私、今他の人とお付き合いしてるんですよ」
千愛希が唇を尖らせて言えば、「え? そうなの!? え? 龍ちゃんも仁くんも知ってた!?」と交互に本間と青木を見つめた。
「知ってたよ。けっこう前だろ?」
「ええ。もう1年ですかね」
青木の声に、千愛希は苦笑しながら答えた。
「なーんだ。じゃあもう睦月完全に脈なしじゃん」
「本人いないところでそういう事言わないの」
「じゃあ、本人に言えばいいの?」
「お前な……」
懸命に諭そうとする本間の揚げ足を取る新井に、全員がまた大きくため息をついた。
話が途切れるのを見計らって入ってきた店員がスパークリングワインを持ってきた。
「あ、きたきた。やっぱこってりにはさっぱりだよねー。いいよ、いいよ。自分で開けるから。いいってば」
コルクを開けようとする店員から無理にスパークリングワインを奪う新井はしっしっと手を払う。
「あぁ、いいです。好きにさせてもらって。すみません」
子供のような新井に、大崎が代わりに謝罪する。店員は困惑しながらもそのまま去っていった。
「え……?」
「睦月のおかげ」
そう言って微笑んだ千愛希に、睦月はごくりと唾を飲む。
「あ……曽根さん、私先に戻ります」
はっとしたように眉を上げた千愛希は、するりとその腕を抜けて会場に向かった。睦月と一緒に戻ればまた何を言われるかわかったもんじゃない、と足早に上司達のもとに向かった。
相変わらず、会場内は騒がしく広々とした個室の中は笑い声に包まれていた。
「あれ、ちーちゃん睦月と一緒じゃないの?」
新井は可愛らしく小首を傾げる。30代後半にもなって20代前半に見えるのだから、この人はバケモノかと千愛希は思う。
「さっきすれ違いましたよ」
「ふーん。イチャイチャしてたんでしょ」
にこっと笑う新井に、『やめろ』と目で訴える男3人。
「するわけないじゃないですか。私、今他の人とお付き合いしてるんですよ」
千愛希が唇を尖らせて言えば、「え? そうなの!? え? 龍ちゃんも仁くんも知ってた!?」と交互に本間と青木を見つめた。
「知ってたよ。けっこう前だろ?」
「ええ。もう1年ですかね」
青木の声に、千愛希は苦笑しながら答えた。
「なーんだ。じゃあもう睦月完全に脈なしじゃん」
「本人いないところでそういう事言わないの」
「じゃあ、本人に言えばいいの?」
「お前な……」
懸命に諭そうとする本間の揚げ足を取る新井に、全員がまた大きくため息をついた。
話が途切れるのを見計らって入ってきた店員がスパークリングワインを持ってきた。
「あ、きたきた。やっぱこってりにはさっぱりだよねー。いいよ、いいよ。自分で開けるから。いいってば」
コルクを開けようとする店員から無理にスパークリングワインを奪う新井はしっしっと手を払う。
「あぁ、いいです。好きにさせてもらって。すみません」
子供のような新井に、大崎が代わりに謝罪する。店員は困惑しながらもそのまま去っていった。
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