憂い視線のその先に

雪村こはる

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糖度150%、スパイス多め

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「なに、その顔。気持ち悪いんだけど」

 低い声で唸る律だが、威勢はいつもの半分以下だ。母親も千愛希も目の前にいて、怯む必要のない周は依然としてにやけ顔を浮かべたまま「いつ入籍するの?」と言った。

「は、はぁ!? だからっ、まだそんなんじゃないし!」

 必死に否定する律に、照れたまま顔を伏せる千愛希。ゆっくり大根を拾って流水で洗うと、きゅっとそれを握りしめた。

「どうせ籍入れるつもりなら早くしちゃったらいいのに。千愛希ちゃんだってもう30過ぎてそろそろ落ち着きたいと思ってたんでしょ?」

 そんな話はしたことなどないのだが、心境を察するダリアはよしよしと千愛希の頭を優しく撫でる。高身長の千愛希よりも更に目線の高いダリアは、はっきりしない律に目を細めた。

「そっ、それは……ですね……まぁ、色々ありまして……」

「色々ってなぁに? 律と結婚は不満?」

 口ごもる千愛希におかまいなしのダリアは、今度は標的を千愛希に変えた。

「めっ、滅相もございません! そんな、私にはもったいないくらいでっ」

「やだ、そんなに謙遜しなくていいのよ。こんなに賢くて綺麗な子なんだから貰い手はいくらでもあるでしょ? でもね、律にはあなたしかいないのよ。ね?」

 周の時も、学生時代からまどかを追いかけていたことに不安を募らせていた。それがようやく念願のまどかと付き合って結婚までに至り、安心したところだ。
 奏はまだ若く心配はしていなかったが、律も30歳を過ぎ、弟の周の方が先に孫を見せてくれたものだから、律はいつになるのかと逸る気持ちを隠せない。

 千愛希を逃したら、このまま一生独身を続けるつもりなんじゃないかと気が気でないダリアは、どうしても律と千愛希を結婚させたいと思っていた。
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