憂い視線のその先に

雪村こはる

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糖度150%、スパイス多め

40

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 慌てて身なりを整える千愛希は、不貞腐れたように律と目を合わそうとはしなかった。

「怒ってるの?」

「……別に」

「どっち? セックスしたこと? あの状態でプロポーズしたこと?」

「……」

「ああ、まどかさんに声をかけられて反応したこと?」

 しれっとそんなことを言う律に、ひぃっと肩を震わせた。ブラジャーを隠すように胸の前でキャミソールを抱く千愛希は歯を食いしばって律を一睨した。

「そんな顔しないでよ。俺が悪いみたいじゃん」

「律が悪くなきゃ誰が悪いっていうの!?」

「悪いことした自覚なんてないし。周とまどかさんだって俺達と同じことしてるんだから今更恥じらったところで」

 律が話している途中で、律のグレーのニットが飛んできた。照れ隠しに千愛希が投げつけたものだ。それをいとも簡単にキャッチして頭を通す律。
 裾を引っ張り、髪を手ぐしで整えながら、いつかの周とまどかを思い出していた。まだ2人が結婚する前、まどかが一時この家に住んでいたことがあった。
 今のまどかと同じようにドアをノックした律。ドアの向こう側から甘い気配を感じた。あの時は平然を装ったが、思えばあの頃からまどかのことを更に意識し始めた気がした。

 あの時には実家で性行為に及ぶなんて常識のない2人だなんて呆れもしたものだ。今となっては、まったく役に立たない理性があの頃の律を、嘲笑っていた。

 まあ、仕方ないよね。千愛希がスカートで来るのが悪いんだし。曽根睦月の存在が邪魔するから悪いんだし。そもそも、千愛希が可愛いのが悪いんだから、俺に非はないし。

 どこまでも自分を正当化する律は、全ての原因を千愛希に擦り付けた。
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