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友人の悩み
【14】
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帰宅途中、夕食の買い物に寄る。普段は家の近くのスーパーに寄るのだけれど、本日はあまねくんの実家から近いところ。
普段とは違う道を通り、裏道に出た。
「あ、ここ……」
ゆっくり車を走らせながら辺りを見渡せば、懐かしい通りだった。
10年近く前、この道をよく使った。
「ここに出るんだ……」
思いがけず、懐かしい道に出て嬉しくなる。
地元のテレビ局がある道だった。あの頃は撮影のためによく通ったものだ。たった数ヶ月ではあったけれど、収録をまとめてするため、何度も通っては長時間撮影に挑んだ。
今考えると、いい経験をさせてもらった。そのお陰であまねくんにも私を知ってもらえたのだから。
近くにスーパーを見つけ、そこに駐車する。初めて寄るスーパーだったが、懐かしい気分になったこともあり、そのまま買い物をしていくことにした。
野菜を選ぶ。街中のスーパーで買うよりもかなり安くて驚く。
そんなに遠い距離じゃないし、こんなに安いなら今度からこっちに来ようかなぁ……。
なんてことを考えながら物色していると、「まどかさん?」そう声をかけられた。
名前を呼ばれて振り返る。聞いたことのない声だった。
顔を見れば知らない男性。しかし、向こうは私のことを知っているようだった。
「あ! やっぱりまどかさんじゃないですか! うわー、久しぶりだなぁ」
彼はそう言って嬉しそうに笑った。無邪気な笑顔は、どことなくあまねくんを思い出させる。
オレンジに近い赤茶色の髪。耳の後ろ側が刈られていて、セットされた髪からその部分が少し覗いていた。
こういうのなんて言うんだっけ? ツーブロック?
頭の中でクエスチョンマークを浮かべていると、「あれ? もしかしてわかりませんか?」と首を傾げた彼。
申し訳ない気持ちでいっぱいだが、記憶を辿っても思い当たる人物はいなかった。
「すみません……、ちょっと」
「ははっ、無理もないですね。あれから10
年近く経ってますから」
そう彼は笑い、胸の内ポケットから名刺入れを出した。一枚取り出し、渡される。
軽く会釈をして両手で受け取った。
「まみやいおり……えぇ!?」
ゆっくり名前を読み上げ、聞き覚えのある名前に目を見張る。
「思い出しました?」
「う、うん……」
思い出したもなにも、当時の面影なんて残ってないんじゃないか。そう思える程、私の知ってる間宮伊織とは印象がかけ離れていた。
普段とは違う道を通り、裏道に出た。
「あ、ここ……」
ゆっくり車を走らせながら辺りを見渡せば、懐かしい通りだった。
10年近く前、この道をよく使った。
「ここに出るんだ……」
思いがけず、懐かしい道に出て嬉しくなる。
地元のテレビ局がある道だった。あの頃は撮影のためによく通ったものだ。たった数ヶ月ではあったけれど、収録をまとめてするため、何度も通っては長時間撮影に挑んだ。
今考えると、いい経験をさせてもらった。そのお陰であまねくんにも私を知ってもらえたのだから。
近くにスーパーを見つけ、そこに駐車する。初めて寄るスーパーだったが、懐かしい気分になったこともあり、そのまま買い物をしていくことにした。
野菜を選ぶ。街中のスーパーで買うよりもかなり安くて驚く。
そんなに遠い距離じゃないし、こんなに安いなら今度からこっちに来ようかなぁ……。
なんてことを考えながら物色していると、「まどかさん?」そう声をかけられた。
名前を呼ばれて振り返る。聞いたことのない声だった。
顔を見れば知らない男性。しかし、向こうは私のことを知っているようだった。
「あ! やっぱりまどかさんじゃないですか! うわー、久しぶりだなぁ」
彼はそう言って嬉しそうに笑った。無邪気な笑顔は、どことなくあまねくんを思い出させる。
オレンジに近い赤茶色の髪。耳の後ろ側が刈られていて、セットされた髪からその部分が少し覗いていた。
こういうのなんて言うんだっけ? ツーブロック?
頭の中でクエスチョンマークを浮かべていると、「あれ? もしかしてわかりませんか?」と首を傾げた彼。
申し訳ない気持ちでいっぱいだが、記憶を辿っても思い当たる人物はいなかった。
「すみません……、ちょっと」
「ははっ、無理もないですね。あれから10
年近く経ってますから」
そう彼は笑い、胸の内ポケットから名刺入れを出した。一枚取り出し、渡される。
軽く会釈をして両手で受け取った。
「まみやいおり……えぇ!?」
ゆっくり名前を読み上げ、聞き覚えのある名前に目を見張る。
「思い出しました?」
「う、うん……」
思い出したもなにも、当時の面影なんて残ってないんじゃないか。そう思える程、私の知ってる間宮伊織とは印象がかけ離れていた。
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