【R18】美人過ぎる○○は今日も旦那様からの寵愛を受ける

雪村こはる

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友人の悩み

【14】

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 帰宅途中、夕食の買い物に寄る。普段は家の近くのスーパーに寄るのだけれど、本日はあまねくんの実家から近いところ。
 普段とは違う道を通り、裏道に出た。

「あ、ここ……」

 ゆっくり車を走らせながら辺りを見渡せば、懐かしい通りだった。
 10年近く前、この道をよく使った。

「ここに出るんだ……」

 思いがけず、懐かしい道に出て嬉しくなる。
 地元のテレビ局がある道だった。あの頃は撮影のためによく通ったものだ。たった数ヶ月ではあったけれど、収録をまとめてするため、何度も通っては長時間撮影に挑んだ。

 今考えると、いい経験をさせてもらった。そのお陰であまねくんにも私を知ってもらえたのだから。

 近くにスーパーを見つけ、そこに駐車する。初めて寄るスーパーだったが、懐かしい気分になったこともあり、そのまま買い物をしていくことにした。

 野菜を選ぶ。街中のスーパーで買うよりもかなり安くて驚く。
 そんなに遠い距離じゃないし、こんなに安いなら今度からこっちに来ようかなぁ……。
 なんてことを考えながら物色していると、「まどかさん?」そう声をかけられた。

 名前を呼ばれて振り返る。聞いたことのない声だった。
 顔を見れば知らない男性。しかし、向こうは私のことを知っているようだった。

「あ! やっぱりまどかさんじゃないですか! うわー、久しぶりだなぁ」

 彼はそう言って嬉しそうに笑った。無邪気な笑顔は、どことなくあまねくんを思い出させる。
 オレンジに近い赤茶色の髪。耳の後ろ側が刈られていて、セットされた髪からその部分が少し覗いていた。

 こういうのなんて言うんだっけ? ツーブロック? 

 頭の中でクエスチョンマークを浮かべていると、「あれ? もしかしてわかりませんか?」と首を傾げた彼。

 申し訳ない気持ちでいっぱいだが、記憶を辿っても思い当たる人物はいなかった。

「すみません……、ちょっと」

「ははっ、無理もないですね。あれから10
年近く経ってますから」

 そう彼は笑い、胸の内ポケットから名刺入れを出した。一枚取り出し、渡される。
 軽く会釈をして両手で受け取った。

「まみやいおり……えぇ!?」

 ゆっくり名前を読み上げ、聞き覚えのある名前に目を見張る。

「思い出しました?」

「う、うん……」

 思い出したもなにも、当時の面影なんて残ってないんじゃないか。そう思える程、私の知ってる間宮伊織とは印象がかけ離れていた。
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