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効果覿面
【4】
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伊織くんは、ただ私と連絡を取りたいだけ。そう言っていた。しかし、そこに恋愛感情があるなら話は別だ。私にはあまねくんもいてお腹に子供もいる。後3ヶ月ちょっとで産まれてくるこの子のためにも面倒事は避けたい。
「どうにかしてあまねくんの粗捜しをしてまどかさんを奪いたいのかもしれませんね」
千愛希さんの物騒な言葉。何だかどこかで聞いたことのあるような話だ。
「結城さんが落ち着いたと思ったら今度はこっちだもんね……」
あまねくんが大きく溜め息をついたことで思い出した雅臣の存在。そういえばあれ以来検事さんからも連絡がない。お義父さんも精神的に回復するまでは裁判も延期になるだろうと言ってそのままになっている。
彼が麻友という女性に刺されてからもう半年が経つが、あれからどうなったのか。
産まれてきた子をみながら裁判に臨むのも大変だろうと行く先の不安を感じていた。
「まどかさんは変な人から好かれるんですね」
「そうなんですよ! 本当に身の程知らずな変な男が寄ってきて困るんです」
あまねくんは、そんな悪態をついている。かく言うあまねくんも個性溢れる人から好かれて困っているじゃないか。
「でも、妹さんのテレビ出演があるから強気にも出られないんだよね? いつ放送なの?」
「いつだっけ?」
「えっとね、1月7日って言ってたかな? お正月が落ち着いてからだね」
「てことは後1週間くらいか……って、え? 明日もう大晦日!?」
あまねくんは目を見開いている。
「そうだよ。3日前くらいに休日出勤して、そのまま仕事納めになったって言ってたじゃん」
「う、うん……。何か、今月忙しくない? もう今年が終わろうとしてるなんて全く実感ないんだけど」
「忙しかったよ。お姉ちゃんの出産に私達の結婚式にバタバタだったじゃん……」
その後にはハイジさんのこともあり、とてもクリスマスを甘い気分で味わう余裕もなかった。プレゼントだけはしっかりいただいてしまったけれど……。
「結婚式の写真、律からも見せてもらいました! とっても素敵でしたー!」
千愛希さんは目を輝かせてこちらを見る。
「ありがとう。慌ただしい式になっちゃったけどねぇ……」
「お姉さん、参加できなかったんですよね?」
「うん。まだ子供の首も据わってないからね。でも、最初から予定日はわかってたから、仕方ないの。来月に入ればあまねくんが繁忙期で結婚式どころじゃなくなるし、4月になればこの子が産まれて余計に結婚式どころじゃないし。
この子が落ち着くまで式はしないってなると何年後になるかわかんないから、強行突破だけど安定期入ったらすぐに式挙げちゃいなってお姉ちゃんも言ってくれたから」
家族とも話し合って決めたことだ。式の前にはテレビ電話でウエディングドレス姿を見せたし、お姉ちゃんも「自分達の式なんだから、気にせずお祝いされてきな」と笑顔で見送ってくれた。
マイナスな理由で欠席になるわけではないため、私達は姉の言葉に甘えて先週式を挙げたのだ。
「いいお姉さんですね」
「ね。もう今月しかなかったからね。でも、やってよかったよね?」
「うん。お義姉さんには申し訳ないけど俺は嬉しかったよ」
あまねくんも嬉しそうにしてくれている。結局姉の方は式は挙げないと言って写真だけで済ませてしまったので、私だけでも両親に見せてあげられてよかったと思っている。
「そんなおめでたいところに邪魔しにくる悪い人はなんとかしなきゃですね 」
千愛希さんはパソコンの画面を見ながらそう呟く。
「でも逆にあと1週間我慢すれば解放されるわけだからね」
私がそう言うと、「でも今後も広くテレビ出演を妹さんが望むなら、不利な状況になりますね」なんて言われてしまった。
「うーん……そんなにその人が俺のこと気になってるなら1回会おうか?」
暫く考えた後、突然あまねくんがそんなことを言い出した。
「どうにかしてあまねくんの粗捜しをしてまどかさんを奪いたいのかもしれませんね」
千愛希さんの物騒な言葉。何だかどこかで聞いたことのあるような話だ。
「結城さんが落ち着いたと思ったら今度はこっちだもんね……」
あまねくんが大きく溜め息をついたことで思い出した雅臣の存在。そういえばあれ以来検事さんからも連絡がない。お義父さんも精神的に回復するまでは裁判も延期になるだろうと言ってそのままになっている。
彼が麻友という女性に刺されてからもう半年が経つが、あれからどうなったのか。
産まれてきた子をみながら裁判に臨むのも大変だろうと行く先の不安を感じていた。
「まどかさんは変な人から好かれるんですね」
「そうなんですよ! 本当に身の程知らずな変な男が寄ってきて困るんです」
あまねくんは、そんな悪態をついている。かく言うあまねくんも個性溢れる人から好かれて困っているじゃないか。
「でも、妹さんのテレビ出演があるから強気にも出られないんだよね? いつ放送なの?」
「いつだっけ?」
「えっとね、1月7日って言ってたかな? お正月が落ち着いてからだね」
「てことは後1週間くらいか……って、え? 明日もう大晦日!?」
あまねくんは目を見開いている。
「そうだよ。3日前くらいに休日出勤して、そのまま仕事納めになったって言ってたじゃん」
「う、うん……。何か、今月忙しくない? もう今年が終わろうとしてるなんて全く実感ないんだけど」
「忙しかったよ。お姉ちゃんの出産に私達の結婚式にバタバタだったじゃん……」
その後にはハイジさんのこともあり、とてもクリスマスを甘い気分で味わう余裕もなかった。プレゼントだけはしっかりいただいてしまったけれど……。
「結婚式の写真、律からも見せてもらいました! とっても素敵でしたー!」
千愛希さんは目を輝かせてこちらを見る。
「ありがとう。慌ただしい式になっちゃったけどねぇ……」
「お姉さん、参加できなかったんですよね?」
「うん。まだ子供の首も据わってないからね。でも、最初から予定日はわかってたから、仕方ないの。来月に入ればあまねくんが繁忙期で結婚式どころじゃなくなるし、4月になればこの子が産まれて余計に結婚式どころじゃないし。
この子が落ち着くまで式はしないってなると何年後になるかわかんないから、強行突破だけど安定期入ったらすぐに式挙げちゃいなってお姉ちゃんも言ってくれたから」
家族とも話し合って決めたことだ。式の前にはテレビ電話でウエディングドレス姿を見せたし、お姉ちゃんも「自分達の式なんだから、気にせずお祝いされてきな」と笑顔で見送ってくれた。
マイナスな理由で欠席になるわけではないため、私達は姉の言葉に甘えて先週式を挙げたのだ。
「いいお姉さんですね」
「ね。もう今月しかなかったからね。でも、やってよかったよね?」
「うん。お義姉さんには申し訳ないけど俺は嬉しかったよ」
あまねくんも嬉しそうにしてくれている。結局姉の方は式は挙げないと言って写真だけで済ませてしまったので、私だけでも両親に見せてあげられてよかったと思っている。
「そんなおめでたいところに邪魔しにくる悪い人はなんとかしなきゃですね 」
千愛希さんはパソコンの画面を見ながらそう呟く。
「でも逆にあと1週間我慢すれば解放されるわけだからね」
私がそう言うと、「でも今後も広くテレビ出演を妹さんが望むなら、不利な状況になりますね」なんて言われてしまった。
「うーん……そんなにその人が俺のこと気になってるなら1回会おうか?」
暫く考えた後、突然あまねくんがそんなことを言い出した。
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