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風雲児
【15】
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「ほら、女の子だ」
「違うよの意味かもしれないじゃん」
「いんや、女の子。俺の勘がそう言ってる」
勘じゃなくて願望でしょ。その言葉は飲み込んだ。これで男の子だったらとんでもないショックを受けそうだ。
「はいはい。じゃあ、女の子の名前考えておかなきゃね」
「うん!」
「ねぇ、それより朝ご飯、昨日の残りでいい?」
「何でもいいよ。翌日の鍋、味染み込んでて美味しいし」
「じゃあ、すぐ温めるね」
「うん! 俺、ハイジさんに電話しよー」
嬉しそうなあまねくんは、私を解放するとカウンターキッチンに置いてあったスマホを手に取り、操作する。
余程胎動を感じられたのが嬉しかったのだろう。思えば、初めて私が胎動を感じてから2ヶ月以上経つのだ。その間ずっと赤ちゃんがかくれんぼしていたのだから、嬉しくない筈がない。
微かに音が漏れるスマホは、ハイジさんを呼び出しているのだろう。暫くして「もしもし、ハイジさん!?」とあまねくんが弾むような声を出す。
「大変だよ、まどかさんのお腹が動いた」
こんな報告を朝一でハイジさんに報告するあまねくんが可愛くて仕方がない。
「5月5日だってば。俺とまどかさんの誕生日の間なんだよ? すごくない!?」
おそらく予定日を聞かれているのだろう。
「なんで夢のない話をするかな。もしかしたら、俺かまどかさんかどっちかの誕生日と同じになるかもしれないし。……え? 誕生日を祝う手間が省けるって、なんでそんなことしか言えないかなぁ。ちゃんとプレゼント用意してよね!」
あんなに嬉しそうだったあまねくんは、いつの間にかきゃんきゃんハイジさんと言い合っている。わかる、わかる。ハイジさんて、ちょっとイラッとくること言うんだもん。
そんなあまねくんの様子にまた笑みを溢し、赤ちゃんも笑っているかのようにまた動く。
私は、取り出した鍋を火にかけ、そっと冷蔵庫のドアを閉めた。
「違うよの意味かもしれないじゃん」
「いんや、女の子。俺の勘がそう言ってる」
勘じゃなくて願望でしょ。その言葉は飲み込んだ。これで男の子だったらとんでもないショックを受けそうだ。
「はいはい。じゃあ、女の子の名前考えておかなきゃね」
「うん!」
「ねぇ、それより朝ご飯、昨日の残りでいい?」
「何でもいいよ。翌日の鍋、味染み込んでて美味しいし」
「じゃあ、すぐ温めるね」
「うん! 俺、ハイジさんに電話しよー」
嬉しそうなあまねくんは、私を解放するとカウンターキッチンに置いてあったスマホを手に取り、操作する。
余程胎動を感じられたのが嬉しかったのだろう。思えば、初めて私が胎動を感じてから2ヶ月以上経つのだ。その間ずっと赤ちゃんがかくれんぼしていたのだから、嬉しくない筈がない。
微かに音が漏れるスマホは、ハイジさんを呼び出しているのだろう。暫くして「もしもし、ハイジさん!?」とあまねくんが弾むような声を出す。
「大変だよ、まどかさんのお腹が動いた」
こんな報告を朝一でハイジさんに報告するあまねくんが可愛くて仕方がない。
「5月5日だってば。俺とまどかさんの誕生日の間なんだよ? すごくない!?」
おそらく予定日を聞かれているのだろう。
「なんで夢のない話をするかな。もしかしたら、俺かまどかさんかどっちかの誕生日と同じになるかもしれないし。……え? 誕生日を祝う手間が省けるって、なんでそんなことしか言えないかなぁ。ちゃんとプレゼント用意してよね!」
あんなに嬉しそうだったあまねくんは、いつの間にかきゃんきゃんハイジさんと言い合っている。わかる、わかる。ハイジさんて、ちょっとイラッとくること言うんだもん。
そんなあまねくんの様子にまた笑みを溢し、赤ちゃんも笑っているかのようにまた動く。
私は、取り出した鍋を火にかけ、そっと冷蔵庫のドアを閉めた。
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