謀られ妻による綿密な復讐

雪村こはる

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制裁

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「……小泉?」

 亜月の名前が出て、遥はそこでようやく気付いた。この逮捕の裏側に亜月がいることに。

「まさか……お前らグルだったのか!? 俺を嵌めたのか!」

「やめないか! 大人しくしろ!」

 暴れだした遥を警察官が取り押さえる。床に伏せさせ、上から強く押さえつけるが、遥は勢いようやく顔を上げた。

「ふっざけんな!」

「私と小泉さんを嵌めようとしたのはあなたですよね。あなたがしたことは立派な犯罪です」

「くっそ! やっぱり西川と福本のこともっ……お前か!」

 叫ぶ遥に、花は呆れたようにため息をつく。

「課長がご自分で言ってたじゃないですか。社内であんなことをする方が悪いって。私もそう思います」

 薄ら微笑む花に、遥はゾクリと身震いをした。

 いつからだ……? いつから俺は操られていた? 西川と福本の件も菅原と小泉の仕業なのか……?

 床に這いつくばった状態で見上げた先にいた花は、遥よりも随分大きく見えた。幻覚か、花の後ろに立ち、遥を睨みつける亜月の姿まで見える始末だ。

「教えてくれ! いつから小泉と繋がってた!」

「こら! 喋るな! いくぞ!」

 暴れたことで手錠をかけられた遥は、警察官2人に挟まれて、立ち上がらされる。

「全て、警察の方々に話してください」

 花は、遥の質問には答えずにそう言った。花は、無理やり連れていかれる遥がずっと叫び続けている姿を見て、ふっと微笑んだ。

 よかった……。あの時死んだりしないで。諦めなくてよかった。あんなにみっともないあの人の姿が見られたんだから。

 花は、満足感でいっぱいだった。亜月の話を聞いた時、遥と奏士と由乃を酷い人間だと思ったものの、自分には復讐などとても無理だと感じた。
 亜月のように強くはないし、賢くもない。仕事をしていても既婚者である奏士を目で追っていたような人間だ。

 それなのに、亜月と同じように相手を追い詰めるなんてできるわけがない。

「私には菅原さんの協力が必要なの。自分のことを責めなくていいし、私に謝らなくていい。ただ、自分のためにできたら私のためにも協力してほしい」

 亜月がそう言って頼ってくれたから、勇気を出して踏み出せた。この成功体験は、より一層花の心を強くさせた。
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