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モテ期到来!?
強引な彼
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ぐぬぬっと顔を歪めながら、考える暇もなく次の言葉がやってくる。
「九ノ瀬が先生のことを本気で好きなら仕方ないとも思ったけど、そういうわけじゃないなら俺と付き合ってほしい」
「え!? はい!?」
「久我先生とは出会ってまだ日が浅いし、あの人より俺の方が九ノ瀬のこと理解できると思うし」
「あの、それは……」
「それに久我先生、あと2ヶ月もしたらいなくなるでしょ? 九ノ瀬が本気で好きになったら寂しい思いをすると思うんだよね。俺ならずっと傍にいてあげられるし」
えっと……槙さんってこんな人だったかな。もっといつもは聞き役で、相手の話を聞いてから自分の意見を言うような人だと思ってたんだけど。
こんなふうに強引に攻めてくるなんてことはなかった。
てか、困るんですけど……。槙さんの気持ちは凄くありがたい。だけど、男性避けの件を槙さんに話したらそれは本気のお付き合いじゃないわけだから、付き合うなら俺とっていう答えにはならないし。
かといって先生とは解消するので、偽彼氏でよければどうぞというのも違う。
それに、本命ができたから遊びはしていないと周知してもらうのが目的なのに、槙さんと付き合ったりなんかしたら逆効果じゃない!
簡単に乗り換えたアバズレだって絶対に言われる。絶対に。
それは無理。またふりだしに戻るもの。今、せっかく順調に噂が回ってるのに、ここで槙さんとの噂を蔓延させるわけにはいかない。
「あの……槙さんの気持ちは凄くありがたいんですけど……。お付き合いをすると承諾したのは私なので、誠実に先生とは向き合いたいと思っておりまして……。その、正直……槙さんに乗り換えたと言われるのも困りますし……」
「あぁ……そうか。それは、そうだよね。すぐにはまずいよね。俺も九ノ瀬にとって不利益な噂が出るのは本意じゃないからその誠実にっていうのはいいと思う」
あっさり納得してくれて拍子抜けだが、私はほっと胸を撫で下ろす。しかし、その刹那「じゃあ……予定ではいつ頃別れるつもり?」と彼は続けた。
「えっと……槙さん?」
「本気で好き合って付き合ってるわけじゃないんでしょ? だったら期間を設けて、期間満了したら俺と付き合うっていうのはどう?」
……槙さん。車のリースじゃないんだからそれはちょっと違いませんか? もう5年も彼氏がいなかった私が急に久我先生と付き合い始めたものだから、おかしくなっちゃったのかしら……。
私は益々どうしていいかわからなくなってしまった。こんな時なんて言えばいいんだろう。「とりあえず先生にどうすればいいか聞いてみます!」これは絶対に違うよね……。
私は顔をひきつらせたまま、がくっと項垂れた。
「九ノ瀬が先生のことを本気で好きなら仕方ないとも思ったけど、そういうわけじゃないなら俺と付き合ってほしい」
「え!? はい!?」
「久我先生とは出会ってまだ日が浅いし、あの人より俺の方が九ノ瀬のこと理解できると思うし」
「あの、それは……」
「それに久我先生、あと2ヶ月もしたらいなくなるでしょ? 九ノ瀬が本気で好きになったら寂しい思いをすると思うんだよね。俺ならずっと傍にいてあげられるし」
えっと……槙さんってこんな人だったかな。もっといつもは聞き役で、相手の話を聞いてから自分の意見を言うような人だと思ってたんだけど。
こんなふうに強引に攻めてくるなんてことはなかった。
てか、困るんですけど……。槙さんの気持ちは凄くありがたい。だけど、男性避けの件を槙さんに話したらそれは本気のお付き合いじゃないわけだから、付き合うなら俺とっていう答えにはならないし。
かといって先生とは解消するので、偽彼氏でよければどうぞというのも違う。
それに、本命ができたから遊びはしていないと周知してもらうのが目的なのに、槙さんと付き合ったりなんかしたら逆効果じゃない!
簡単に乗り換えたアバズレだって絶対に言われる。絶対に。
それは無理。またふりだしに戻るもの。今、せっかく順調に噂が回ってるのに、ここで槙さんとの噂を蔓延させるわけにはいかない。
「あの……槙さんの気持ちは凄くありがたいんですけど……。お付き合いをすると承諾したのは私なので、誠実に先生とは向き合いたいと思っておりまして……。その、正直……槙さんに乗り換えたと言われるのも困りますし……」
「あぁ……そうか。それは、そうだよね。すぐにはまずいよね。俺も九ノ瀬にとって不利益な噂が出るのは本意じゃないからその誠実にっていうのはいいと思う」
あっさり納得してくれて拍子抜けだが、私はほっと胸を撫で下ろす。しかし、その刹那「じゃあ……予定ではいつ頃別れるつもり?」と彼は続けた。
「えっと……槙さん?」
「本気で好き合って付き合ってるわけじゃないんでしょ? だったら期間を設けて、期間満了したら俺と付き合うっていうのはどう?」
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私は顔をひきつらせたまま、がくっと項垂れた。
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