【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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再会

【28】

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 翌日はまず、早朝から職場に連絡をした。日勤で出勤だったため、今日に今日欠勤するのは申し訳ないが、命の危険もある以上、そうも言っていられない。
 部長に電話を変わってもらい、彼女にだけは事実を話した。

「大丈夫なの!? とりあえず、勤務調整はこっちでやるから暫く休みなさい。何かあってからじゃ私達も責任とれないから」

「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ないです」

「そんなことはいいから」

「それと、職場が彼に知られているので、もしかしたら、退職させていただくかもしれません……」

「そう……。引き留めたいところだけど、そんな危険な目に遭った以上、仕方ないわよね。とりあえず、皆には適当な理由をつけておくから。施設長にも話させてもらうけど」

「はい、すみません」

「1週間は休みにしておくから、その間に出勤できるか、退職を考えるのかまた教えてくれる?」

「わかりました。また連絡させていただきます」

 部長がものわかりのいい人でよかった。まあ、刑事事件だし施設側に何かあっても責任とれないし。
 とにかく仕事はなんとかなった。
 律くんとあまねくんのお父さんとは遅くなってもいいのならと本日の夜会ってくれることになった。
 勾留期間がある以上、早い方がいいと言ってくれたのだ。まさかこんな形で守屋家にお世話になるだなんて思ってもみなかった。
 先日は、興味本意で律くんの話を聞いていたが、まさか自分が弁護士を必要とする日がくるなんて……。

 私は大きなため息を付き、運ぶのに大変そうな家具を見てうんざりした。
 引っ越しだって楽じゃない。どうして被害者の私がこんなに大変な思いをしなければならないのか。
 実家からアパートに越した時には、ここで家具を揃えたから然程大変ではなかった。しかし、今回は全て運び出さなければならない。引っ越し業者に依頼するにしても、全て段ボールの中にまとめなければならないし、それを雅臣の勾留期間中に行うのだから一苦労だ。
 家族に手伝ってもらうとして、私以外は全員仕事だし、夜に総出でやるにしてもなんだか夜逃げみたいだ。とはいえ、夜逃げ同然の状況である。

 朝食は、冷蔵庫の中にあったヨーグルトを食べていいにした。
 その後は、引っ越し業者に電話して、明日の14時に荷物をとりに来てくれることになった。そのため、後程段ボールを持っていきますと言ってくれた。

 自分でできるところはやっておこうと、衣類や食器などを出した。テレビラックの中に入っているものや、クローゼットに仕舞い込んだものも全て出す。
 昼前には段ボールが届き、それらを詰めていった。思ったよりも作業は捗った。せっかく整理整頓してあったものが全て段ボールへ収まっていくのは、悲しい気分でもあった。
 守屋家に行く洋服と、メイク道具はそのままに、片付けを進める。
 5時間程作業を続けていれば、体はぐったりとしてしまい、空腹感も増す。こんなことなら、昨日の雑炊もらってくればよかったと少し後悔した。
 本日2つめのヨーグルトを食べ、仕方がないので自分で雑炊を煮た。食べ終わった食器も洗って乾かして段ボールに詰めるのかと思ったら、投げ出したくなってしまった。
 昨日のこともあり、疲弊仕切った体をフローリングのラグの上に預ける。

 ソファーの上は、雅臣に押し倒された記憶が残っているため、そこに横たわる気にはなれなかった。
 ラグの上は、あまねくんとの思い出の場所。クリスマス前に、ここで彼に組敷かれた。
 綺麗な顔をあんなにも近付けられて、ドキドキした。付き合ってからは、私のお気に入りのこの場所で一緒に寝転がって、日向ぼっこをした。
 こんなふうに太陽の光を身体中に浴びて、光合成でもしているかのような気分になる。骨粗鬆症対策のためにも、ビタミンDが必要だから、ちゃんと日光に当たりましょうと誰かが言っていた。窓を開けると、心地よい風が入ってきて、うっとりとする。
 ぽかぽかと暖かくて、そこにそよそよと風が掠めて心地良い。お日様の匂いがする……気がする。
 その内にうとうとと眠気が襲い、私は静かに目を閉じた。
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