134 / 289
再会
【34】
しおりを挟む
「危険を考えると確かに短いです。なので、なるべく長い実刑がとれるよう頑張りましょう。それと代理人は、私が引き受けましょう」
そう言ってにこやかに笑ってくれた。まさか、そのまま引き受けてくれるとは思っていなかったため、思わず「いいんですか!?」と身を乗り出す。
「ええ。友人を紹介するでも、律に依頼するでもかまいませんが、律は雇われの身なので。いくらあなたが被害者でも弁護士費用がかかります。私なら、報酬は私が決められますから」
そう穏やかに言ってくれる。恐らく、あまねくんの顔を立てる意味でも、相場よりも安く引き受けてくれるということだろう。
まさか、そんな理由で自ら申し出てくれるだなんて。
弁護士の費用なんて全く想像はつかないが、おそらく何十万かはかかるだろう。
示談にすれば、何百万か賠償金をもらってそこから支払う形になるのだろうが、今回はなるべく重い実刑判決を望むもの。そうなると、こちらに金銭的な利益は恐らくない。それでも相談料やら、今後の展開に応じて金額は膨らんでいくと思えた。
しかし、たとえそうであったとしても、このまま泣き寝入りはできないし、示談に応じるつもりもない。費用がかかったって、彼が刑務所に入っていてくれるならその方が安全に決まっている。
仕事を辞めるのであれば、退職金も入るし、ある程度の貯金もある。実家にいれば生活費くらい親が負担してくれるだろう。戻ってこいと言ったのは、あくまでも父なのだから。
そんなことで、少なからず弁護士費用がかかることは覚悟の上だった。しかし、父親の方から提案をしてくれたことに驚き、感謝が込み上げてくる。恐らく、こちらからは気を遣って言えないだろうという配慮からくるものだ。
「ありがとうございます。ですが、相手は全く見知らぬ人間ではありませんし、こんなことになったのも、私にも少し責任があると思うので、通常の料金で行ってもらってかまいません」
まだ籍もいれていないのに、あまねくんの家族にそんなに寄りかかるような真似はできない。気持ちはとてもありがたいけれど、そこまで甘えられない。
「そうですか? 私の弁護士費用は他と比べても高いですよ。支払えますか?」
彼は、穏やかな口調のまま、そう言った。支払えるのか。そんなふうに言われ、どれ程高いのだろうかと心臓が跳ね上がる。自分で事務所を構えるベテランの弁護士さんだし、経験が多い分、値が張るのだろうか。
「が、頑張って支払わせていただきます」
そう言って腿に両手を乗せて頭を下げれば、前面からクスクスと2人の笑い声が聞こえる。
様子を伺うように顔だけ挙げれば、「冗談ですよ。今回は周も関わっていることですし、金銭的な部分も含めてこちらに任せてください」そう笑って彼は言った。
そう言ってにこやかに笑ってくれた。まさか、そのまま引き受けてくれるとは思っていなかったため、思わず「いいんですか!?」と身を乗り出す。
「ええ。友人を紹介するでも、律に依頼するでもかまいませんが、律は雇われの身なので。いくらあなたが被害者でも弁護士費用がかかります。私なら、報酬は私が決められますから」
そう穏やかに言ってくれる。恐らく、あまねくんの顔を立てる意味でも、相場よりも安く引き受けてくれるということだろう。
まさか、そんな理由で自ら申し出てくれるだなんて。
弁護士の費用なんて全く想像はつかないが、おそらく何十万かはかかるだろう。
示談にすれば、何百万か賠償金をもらってそこから支払う形になるのだろうが、今回はなるべく重い実刑判決を望むもの。そうなると、こちらに金銭的な利益は恐らくない。それでも相談料やら、今後の展開に応じて金額は膨らんでいくと思えた。
しかし、たとえそうであったとしても、このまま泣き寝入りはできないし、示談に応じるつもりもない。費用がかかったって、彼が刑務所に入っていてくれるならその方が安全に決まっている。
仕事を辞めるのであれば、退職金も入るし、ある程度の貯金もある。実家にいれば生活費くらい親が負担してくれるだろう。戻ってこいと言ったのは、あくまでも父なのだから。
そんなことで、少なからず弁護士費用がかかることは覚悟の上だった。しかし、父親の方から提案をしてくれたことに驚き、感謝が込み上げてくる。恐らく、こちらからは気を遣って言えないだろうという配慮からくるものだ。
「ありがとうございます。ですが、相手は全く見知らぬ人間ではありませんし、こんなことになったのも、私にも少し責任があると思うので、通常の料金で行ってもらってかまいません」
まだ籍もいれていないのに、あまねくんの家族にそんなに寄りかかるような真似はできない。気持ちはとてもありがたいけれど、そこまで甘えられない。
「そうですか? 私の弁護士費用は他と比べても高いですよ。支払えますか?」
彼は、穏やかな口調のまま、そう言った。支払えるのか。そんなふうに言われ、どれ程高いのだろうかと心臓が跳ね上がる。自分で事務所を構えるベテランの弁護士さんだし、経験が多い分、値が張るのだろうか。
「が、頑張って支払わせていただきます」
そう言って腿に両手を乗せて頭を下げれば、前面からクスクスと2人の笑い声が聞こえる。
様子を伺うように顔だけ挙げれば、「冗談ですよ。今回は周も関わっていることですし、金銭的な部分も含めてこちらに任せてください」そう笑って彼は言った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる