【完結】美人過ぎる〇〇はワンコ彼氏に溺愛される

雪村こはる

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婚姻届

【6】

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 楽しい時間はあっという間で、2人で過ごせばすぐに夕方だった。
 たまには泊まりもいいねなんて話していたが、来週になればあまねくんも大型連休に入るため、そこで改めて出掛けようということになった。

 本日はおとなしく守屋家に帰る。雅臣が勾留されたからといってまだ全てが解決したわけではない。そのため、新しくアパートを借りることも、私の実家に帰ることも許可が降りなかった。
 相変わらず私はまだ守屋家にお世話になっている。今日は、あまねくんも実家に泊まってくれるため、余計に心は弾んでいた。

 せっかく客間を私にと、あまねくんの父親が提案してくれたのだけれど、初日からあまねくんの部屋で過ごしてしまったため、今ではすっかりあまねくんの部屋は私の部屋になってしまった。
 ほとんど使っていなかった部屋は、人の気配がなく、あまねくんの匂いもしない程だったが、私が住み始めたことにより、少しずつ埃っぽさもなくなってきていた。

 そんな家に今から2人で帰宅する。道のりは少し長いが、それさえも久しぶりのドライブで楽しかった。
 彼といればどんなことをしていたって楽しい。少し先の話までできて、私としてはとても満足な1日だった。

「楽しかったね。来週はどこに行くか決めておかないと」

「うん。最初の予定通り、温泉でも行ってみようか」

「そうだね。温泉が有名なところってどこかな? 草津かな? 登別かな。でも、北海道は、この時期混むよね」

「夏の北海道はきっと混むだろうね。こっちより過ごしやすいだろうから。でも、大型連休だから、飛行機使うと大変かも。それなら、皆のお盆休みが終わった辺りで群馬行く?」

「それもいいよね。群馬もちょっと遠いけど」

「まどかさんと一緒ならすぐに着くよ」

 今デート帰りなのに、もう次のデートの話をする。もともとインドア派だったくせに、出掛けることを制限されていたら、行きたいところがどんどんでてくる。
 好きな時に好きなところへ行けるって幸せなことなんだとつくづく思った。

 家の車庫に車を入れ、あまねくんが不意にスマホを手に取り「あれ、律から電話あったんだ」と呟いた。
 あまねくんのスマホは車のナビと繋がっているため、運転中に電話がくればわかったはずだ。しかし、気付かなかったということは、まだ牧場にいる時に着信があったのだろう。

 車を降りて、彼はスマホを耳にあてている。おそらく律くんにかけ直しているのだろう。
 一緒に玄関まで歩いていると、「律? 電話気付かなかった。何だった?」とあまねくんが話す。律くんはすぐに電話に出たようだ。

「え……?」

 あまねくんが足を止めたものだから、私も数歩進めてから止まり、彼の方を振り向いた。

 その瞬間、ざわっと全身の毛穴が開き、一気に鳥肌が立つのがわかった。

「あまねくん! 後ろ!」

 私が思わず叫び、あまねくんが振り向いた瞬間、あの男が刃物を振りかざした。
 間一髪のところであまねくんは避けたが、スマホが手から落ち、カシャンと大きな音を立て、コンクリートの上に叩きつけられた。
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