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毒草事件【5】
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「泣く程のことではないよ」
梓月はふっと笑って琥太郎の頭を撫でる。たった三つしか変わらない筈なのに、琥太郎は自分よりも遥かに幼く見えた。
「泣く程のことです。姫様が、強くなる方法を教えてくれたのです」
「強くなる方法?」
「それはですね……」
琥太郎が話して聞かせたのは、実に初歩的な稽古であった。しかし、確実に伸びる方法。梓月も琥太郎の稽古を見てやれるほどの暇もなく、日頃どのように稽古を行っているのかを知らずにいた。
基礎を教えられる程だから、琥太郎は余程力がないのだな、と軽く息をついた。
「明日から頑張ろうと思います! 梓月様をお守りするために!」
「お守り? 琥太郎が俺を守ってくれるの?」
「そうです! 姫様に言われてしまいました。僕が弱いから、梓月様は僕のことが心配で自ら戦わなければならないんだと」
他郷の姫の分際で、そんなことを言ったのかと梓月は憤りを感じた。すっと目を細め、声の音を下げた。
「そんなことはない。俺も、歩澄様をお守りするのが役目だからね。俺が戦うのは歩澄様のためでもあるんだよ」
「はっ! そ、そ、そうですよね! 申し訳ありません!」
口をあんぐりとさせた後、額を何度も畳にぶつけて頭を下げる琥太郎。
梓月はその姿を見てくすくすと笑い、「謝らなくていい。それより、その姫様に他に何か言われなかったか?」と聞いた。
「はい! 梓月様に大切にされて幸せだねと言ってくれました! 姫様は、とてもいい人です! 優しくて、暖かい人です!」
目を輝かせてそう話す琥太郎に、梓月は目を見張った。
「嫌なことを言われたんじゃないのか?」
「言われてません! 弱いのは僕が悪いのです。姫様はちゃんと謝ってくれましたし、頑張って強くなろうねって励ましてくれました!」
「……そう」
梓月は拍子抜けだった。他の家来のように弱い琥太郎を笑い、貶し、馬鹿にしているのかと思ったのだ。
仲間外れにされ、べそをかいていたことも多かった琥太郎がこんなにも他人のことを嬉しそうに話すのは五平の時以来だった。
匠閃城の外で一瞬見えた澪の姿。普段貴婦人達に愛想を振り撒くことが多い梓月は、女性の澪を見て反射的に微笑みかけてしまったのだった。
とにかく琥太郎の無事は確認できたため、得られた情報だけでも歩澄に報告しようと梓月は歩澄の元へと向かった。
その途中で見つけた澪の姿。琥太郎が言っていたような活気はなく、ぐったりとしている。
梓月はその体を抱え、自室へと向かった。
梓月はふっと笑って琥太郎の頭を撫でる。たった三つしか変わらない筈なのに、琥太郎は自分よりも遥かに幼く見えた。
「泣く程のことです。姫様が、強くなる方法を教えてくれたのです」
「強くなる方法?」
「それはですね……」
琥太郎が話して聞かせたのは、実に初歩的な稽古であった。しかし、確実に伸びる方法。梓月も琥太郎の稽古を見てやれるほどの暇もなく、日頃どのように稽古を行っているのかを知らずにいた。
基礎を教えられる程だから、琥太郎は余程力がないのだな、と軽く息をついた。
「明日から頑張ろうと思います! 梓月様をお守りするために!」
「お守り? 琥太郎が俺を守ってくれるの?」
「そうです! 姫様に言われてしまいました。僕が弱いから、梓月様は僕のことが心配で自ら戦わなければならないんだと」
他郷の姫の分際で、そんなことを言ったのかと梓月は憤りを感じた。すっと目を細め、声の音を下げた。
「そんなことはない。俺も、歩澄様をお守りするのが役目だからね。俺が戦うのは歩澄様のためでもあるんだよ」
「はっ! そ、そ、そうですよね! 申し訳ありません!」
口をあんぐりとさせた後、額を何度も畳にぶつけて頭を下げる琥太郎。
梓月はその姿を見てくすくすと笑い、「謝らなくていい。それより、その姫様に他に何か言われなかったか?」と聞いた。
「はい! 梓月様に大切にされて幸せだねと言ってくれました! 姫様は、とてもいい人です! 優しくて、暖かい人です!」
目を輝かせてそう話す琥太郎に、梓月は目を見張った。
「嫌なことを言われたんじゃないのか?」
「言われてません! 弱いのは僕が悪いのです。姫様はちゃんと謝ってくれましたし、頑張って強くなろうねって励ましてくれました!」
「……そう」
梓月は拍子抜けだった。他の家来のように弱い琥太郎を笑い、貶し、馬鹿にしているのかと思ったのだ。
仲間外れにされ、べそをかいていたことも多かった琥太郎がこんなにも他人のことを嬉しそうに話すのは五平の時以来だった。
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とにかく琥太郎の無事は確認できたため、得られた情報だけでも歩澄に報告しようと梓月は歩澄の元へと向かった。
その途中で見つけた澪の姿。琥太郎が言っていたような活気はなく、ぐったりとしている。
梓月はその体を抱え、自室へと向かった。
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