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将来の夢

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 1人で処理することはあるのに、亜純とのセックスはしない。あんなにも毎日求めて好きだと言ってくれたのに、パッタリとなくなった。

「依、ちゃんと子供のことについて話し合いたい。30になる前には産みたいんだよ」

 解決しないことには子供は望めない。快楽のためのセックスではなく、子供が欲しいから性行為をするのだ。それは夫婦として当然のことではないか。そう思った亜純は、真剣な表情でそう言った。

「俺はもうちょっと亜純と2人でいたいかな……。2人でいても楽しいじゃん」

 依は気まずそうにそう言って目を逸らした。2人でいて楽しいことは事実だ。こんなにも仲良く生活できているのだから、不満はない。けれど、子供がいたらもっと賑やかで楽しいはず。
 お互いに好きだと思える人の子供なのだから、可愛くないはずがない。そう思うのに、それは依には伝わらなかった。

 たまに実の母から電話がくれば「早く孫の顔が見たいわぁ」なんて言われる。それは義母も同じだった。
 さすがに義母に「おたくの息子さんが抱いて下さらないので、授かるものも授かりません」とは言えず、実母に相談をした。

「男の人はいつまで経っても自分が子供だからね。父親になる自信がないのかしら」

 母はそう言うが、女性だって最初から自信満々で出産するわけじゃないのだ。保育園に子供を預けているお母さん達だって、毎日育児に奮闘して、それぞれ違った悩みを抱えている。

「ちゃんと依くんと話し合ってみたら? あまり歳とってから産むと大変よ」

 そう言われて終わりだ。話し合いなど何度も重ねた。その度に逃げられての現状なのだ。いつになったら子供を持つ気になれるのか。それとも一生子供は作らないつもりなのか。

 そうだとしたらこの結婚って一体何だったんだろう……。

 子供が欲しくて結婚したと言っても過言ではない。そんな亜純にとって、子供が望めない結婚ならなんの意味もないように思えてしまうこともあった。
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