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将来の夢

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「千景からなんの連絡も入ってない。それに、千景が俺が来るなら行くっていうならわかるけど、亜純が来るならってどういう意味だよ」

 依はまたいつもの嫌がらせかと思いつつも聞かずにはいられなかった。暫く千景とも会っていない。仲良し4人組みだったはずの友人達は、今ではバラバラだ。
 その中でも亜純と自分は特別な関係なのに、今更他人を入れたくはなかった。

「そのままの意味だけど? 依、もしかしてまだ本当に千景は依のために裏切らなかったと思ってるの?」

「は?」

「千景は高校の時から亜純のことが好きだったのよ。でも亜純が依と付き合うって言ったから、千景は手を引いたの」

「何言ってんだよ……。千景がそう言ったのかよ」

「言わなくたってわかるのよ。千景はずっと亜純のことを見てたんだから」

「なんだよ……お前の憶測かよ」

 依はどこまでも引っ掻き回そうとする真白に疲れていた。自分と真白のように亜純への協力を仰いだのかとも思ったし、真白からなにかを提案したとも考えられた。
 ただ、真白の言う千景が亜純のことを好きだったという言葉には確証はないし、千景からの発言も聞かれてはいない。

 完全なる真白の憶測だ。それなのに彼女がどこまでも自信満々に話すから、本当なのではないかと疑心暗鬼になった。
 加えて「千景にすればよかったのに」なんて言われたら何がなんでも亜純と千景を合わせたくはなかった。当然セックスレスについて知っている真白とも亜純を近付かせたくはなかった。

 だから同窓会の件も、事故の件も黙っていたというのにこんなタイミングで千景から亜純に連絡がいくとは思っていなかった。
 亜純がなぜ言わなかったのかと不機嫌になってしまったからには行かせないわけにはいかなくなった。
 依は決して亜純と喧嘩をしたいわけではないのだ。2人の関係を誰にも邪魔されたくないだけで。
 同窓会に行くか行かないかで亜純から嫌われるなんて本末転倒ではないか。そう考える依は、自分勝手な真白にも、間の悪い千景にも佛々と憤りを募らせるのだった。
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