したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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将来の夢

29

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 直ぐに保険屋との連絡を付け、依も車の状態について詳しく伺った。

「亜純には事故のこと言わないでね。あの子、心配するから」

 電話を切る前、真白はそう言った。

「そりゃ友達ならするだろ。入院するなら見舞いに」

「来なくていいわ。多分そんなに長引かないから」

「でも」

「亜純には私から言うから。説明するのも長くなるし、入院とか保険の手続きで忙しくなりそうなの」

「それはそうか……」

 そこに関しては依も納得するしかなかった。相手がいるならそこのやり取りもあるだろうし、心配した亜純が電話をしたところで説明している暇もないだろう。
 そう思って落ち着いてから真白が直接亜純に連絡をするのならそれでいいと思った。

 しかしそれから1週間後、真白が電話をかけたのは亜純ではなく、またしても依の所だった。

「亜純から連絡が来なかったってことは、事故の件は言わなかったのね」

 自分が言うなと言ったくせに何を言ってるんだと依は面倒くさそうに息を吐いた。

「言うなって言ったから言ってねぇよ」

「そう。それより今日は別件で。ねぇ、同窓会きてくれるでしょ?」

 そこで初めて依は同窓会が開かれることを知った。覚えのない同窓会の存在に依は顔をしかめた。

「同窓会って?」

「幹事に依と亜純にも言っておいてって言われたの。来月の2週目の土曜日」

「高校の?」

「当たり前でしょ。亜純にも言っておいてくれない?」

「事故のこと話ついでに連絡してやればいいだろ」

「亜純と話したら、レスのこと聞いちゃいそうで」

「は?」

 一々気に障ることを言う真白に、依は軽く舌打ちをした。この間から電話をする度何なんだと思いながらスマホを握る手に力がこもった。

「同窓会、千景もくるから絶対にきてって言っておいて。4人で写真撮りたいの」

「千景は忙しいだろ」

「でも亜純が来るなら行くって。皆、千景が来るのを楽しみにしてる」

 有名絵本作家となった千景が出席するとあって、当時のクラスメイト達は皆会いたがっていた。有名人となってしまったかつての親友が特別な存在なのはわかる。
 しかし、亜純がくるなら千景も来るという真白の言葉が解せなかった。
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