したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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今夜は同窓会

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 感動したのも束の間、真白は眠っている隙を狙ってキスをするなんてあの男と同類じゃないかと体が震えた。
 本能に突き動かされるままキスをしてしまったが、無意識に行動した自分が恐ろしく感じた。

 あの男と血は繋がっていなくとも、自分を見捨てた母の子供であることには変わりない。好意を持っていたら同意なしにキスをしていいわけではない。
 それなのに……。

 真白は少しずつ後退り、頭から布団をすっぽりと被って蹲った。自分が幸せを感じるためには、そこに誰かの犠牲がある。
 亜純のことを大切にしたかったはずなのに、誰も触れたことのないそこに穢れた自分が触れてしまった。

 全てを知ったら亜純はどんな気持ちになるだろうか。軽蔑した目を向けるだろうか。そう考えたら怖くてたまらなくなった。
 嫌われてしまうくらいなら、付かず離れずの関係でいい。

 どうせ亜純は誰かのものになってしまうのだ。好きな気持ちも辛い気持ちも自分が飲み込めばそれで済む。
 真白はギュッと強く目を瞑り、亜純の存在をかき消すように自分の体温に集中して目を閉じた。

 それからというものは、亜純に対する感情をなるべく殺そうと努力した。好きな気持ちが溢れてしまったら、きっといつかこの手で傷付けてしまう。
 だから亜純に好きな人ができて、その人に託せるまではちゃんと友達として接しようと心に決めた。

 そうして現れたのが依だったのだ。彼は真白の想像を上回るほど、亜純のことを好きでいてくれた。最初は真白も信じられなかったが、ずっと見張っていると依は本当に亜純にしか興味がないようでその内真白の方が諦めることになった。

 亜純が依を好きになったと言ったからだ。亜純が好きならもう止める権利はない。そう思った。彼女は幸せそうだったし、結婚もした。結婚式には行ったし、その後も仲良くやっていると聞いた。

 それなのに今、亜純はとんでもなく悲しそうな顔をしている。こんな顔をさせたくなかったから、亜純を幸せにできる男を選んだのに。
 そう思ったら、真白は依に対する怒りでどうにかなりそうだった。
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