したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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今夜は同窓会

21

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 亜純はまだ恋を知らないし、その体は誰にも触れさせておらず綺麗なまま。
 きっとこのまま大人になって、亜純が言ったようにいつかは彼氏ができて結婚して子供ができる。

 真白は胸の奥がギューッと痛くなった。どんなに頑張っても自分はそのポジションにはなれない。亜純のためならなんだってできるのに、亜純の好きな人にはなれないし、性別の壁を超えることもできない。

 なにより、真白は亜純に隠していることが山ほどある。これから先もそれを話すつもは全くないが、側にはいたいと強く思った。

 男女のカップルは別れる可能性が高いが、女同士の友情はきっと壊れることはない。真白から離れない限り、亜純は側にいてくれる気がした。
 それならこのままずっと友達でいられる方がいいに決まってる。真白はそう無理やり自分を納得させようとした。

 しかしどうしても考えてしまう。亜純の初めての彼氏の存在を。自分よりも亜純のことを大事に思っている人間でなければとても許せない。
 少しでも自分にふらついてくるような男なんて論外だ。そんな男がもしも亜純に触れたりしたら……。

 真白はそこまで考えて、まるで家畜の交尾のように鼻息を荒くした醜い父親の姿を思い出した。あんなふうに亜純を傷付けるようなことがあったら……。

 今度は殴るだけではすまないかもしれない。誤って殺してしまうかも……いや、確実に仕留めるために計画をするかも……なんてどんどん物騒なことを考えた。

 男は醜くて汚い生き物だ。いつか亜純を穢してしまう。こんなにも純粋で美しい生き物が、その聖域に踏み込んだ男の手によって色を失っていく。

 まだ見ぬ未来の彼氏を想像して吐き気がした。亜純が男に奪われてしまう……。

 真白は無意識に顔を近付けて、そっと唇を重ねた。ふわりと柔らかくて、甘い香りがした。感じたことのない感触だった。

 今までキスなんて脂臭くて気持ち悪い行為だったのに。真白が知っているものとはまるで別物だった。

 これがキスなんだ……。真白は涙が滲むほど感動し、亜純の体温をすぐ側に感じた。
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